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最近は、いろんな石がパワーストーンとして売られています。 中には、残念なことに石ではなくてガラスだったり、石でも種類が違っていたり、加工されていたり、「思っていたものと違っていた」……とがっくりするケースもあるようです。 そんな中で鑑別書付天然石を売るショップも増えてきました。 鑑別書付というと、専門家が証明書をつけてくれたんだから、これを買えば安心! ……と思うかもしれませんが、ちょっと待ってください。 本来鑑別書の対象となるような「宝石」と、ビーズにされているような石や「パワーストーン」の場合は事情がちょっと違うんです。 鑑別書とは何かを知って、上手にお買いものしましょう。 まず。 ●「鑑定書」と「鑑別書」は違う。 鑑定書はダイヤモンドに対して付けられるものです。それ以外の石はすべて鑑別書になります。 ダイヤモンド以外の石に「鑑定書付」はありえません。 ※ダイヤモンド以外の石に「鑑定」という言葉を使うお店は……あれ? ということになります。 石を売る店なら知ってるでしょう、これくらい。 ●鑑定書とは 鑑定書というのは、ダイヤモンドの「品質保証書」みたいなものです。 よく言われる「4C:カラー(色)Colour、クラリティ(透明度)Clarity、カット Cut、カラット(重さ)Carat」について、どのレベルのものであるかを判定します。 宝石の中でダイヤモンドだけは品質の基準が決まっていて、それを判断して記載するのが「鑑定書」です。 ただし、鑑定書はダイヤモンドの品質を判断するだけで、「価格」「価値」については判断しません。 ダイヤモンドであっても品質の判断をしない場合は「鑑別書」になります。 テレビショッピングで「鑑別書付!」と説明しているものがありましたが、この場合、グレードは関係なく、「ダイヤモンドであることは確認されてます」ということになります。 ※ダイヤモンドの鑑定には、グレード判定の基準石があって、どれだけいい基準石を持っているかで鑑定に差が出ることがあります。 過去に、甘い判定をしてしまい、問題になったところもあるそうです。 ●鑑別書とは ダイヤモンド以外の石には、品質の基準がありません。 鑑別書は、その石がなんであるか、加工されているか、されていたらどんな加工かを記すものです。 基本的に産地は判断されません。 もちろん、「価格」や「価値」も関係ありません。 ●鑑別書は「本物証明書」ではない 鑑別書は調べた石がなんであるかを記載します。 もし、それがガラスだったら「(人工)ガラスである」という鑑別書が付きます。 「鑑別結果:偽物です」はありません。 「本物だから鑑別書が付く、偽物にはつかない」なんてこともありません。 加工されていたら、「こういう加工がされている」という説明が記されます。 「鑑別書付」だから、本物で加工もなし、というわけではありません。 ●鑑別書は「品質保証書」でもない 鑑別書は調べた石がなんであるかを記載します。この判断には鉱物や宝石の基準が使われます。 鉱物は成分と結晶系(結晶の基本構造のタイプ)によって分けられます。 カルサイトとアラゴナイトのように、成分が同じでも結晶系が違うと別の鉱物になります。 透明水晶とアメジスト、スモーキー・クォーツは色が違っても成分・結晶系が同じなので鉱物としては「水晶(石英)」です。 だから、ものすごく透明で傷のないものも、白濁して傷だらけのかけらのようなものでも、鑑別書では同じ「天然水晶(石英)」となります。 「鑑別書がついているから、(無条件で)品質が高いはず」というのは誤解です。
●鑑別書は本来宝石につけられるもの 宝石と天然石ビーズ・パワーストーン(原石など含む)は、石として重なっている部分が多いので、天然石ビーズにも鑑別書が付きますが、石が岩石である場合は、宝石分野での鑑別では判断しきれない場合もあるようです。 無理に判断して後で間違いだったということになるよりは「鑑別不能」という結果にしてしまうとか、長石のようにいろいろ混じっていると、たくさんあるビーズでサンプルで鑑別した「これ」はラブラドライトだったけど、別の粒では成分比がわずかに違ってアンデシンだった……みたいなことになるので、大雑把に「長石(フェルドスパー)」にしてしまう……ということもあるとか。 ●鉱物名・宝石名で判断される 天然石ビーズ・パワーストーンでも鉱物名・宝石名が使われていますが、それ以外の名前も多いです。 現地名や流通名、店が便宜上付けた名前、ヒーラーや占い師がインスピレーションで付けた名前などです。 たとえば、パワーストーンでよく見る「エレスチャル」や「スーパーセブン」、鉱物名っぽいけど実はそうではない「アゼツライト」など。これらは鑑別書の結果には使われません。 パワーストーンの分野では、何やらすごいパワーがあるとされている「レムリアンシード」も鑑別では「天然水晶」です。 「鑑別結果:レムリアンシード」はありえません。 鑑別書では、パワーストーンの名称として正しいかどうかを判断できません。 ●鑑別結果と店の説明をふるい分けよう こういうものがあったとします。 「AAAグレード! 激レア、ブラックルチルクォーツ。 効果を高めるプログラミング済。宝石鑑別書付!」 この説明(売り文句)を見て「すごそう! 鑑別書もついているし、安心だよね」と飛びつくのはちょっとお待ちを。 すでに述べたように鑑別書は石の品質(グレード)を判断しません。 良く見かけるAAAとかAAとかいうのは、お店独自のランク付けで、統一基準はありません。ある店のAAAと別の店のAAAが同じとは限りません。同じ店でも今のAAAと数年前のAAAが同じとも限りません。AAAが最高ランクとも決まっていません。 「激レア」という希少性も、パワーストーンとして効果やそれを高めるプログラミングというのも、鑑別書とは関係ないです。 ブラックルチルクォーツというのは、鉱物名でも宝石名でもないので、鑑別書は「鑑別結果:ブラックルチルクォーツ」にはなりません。 例に挙げた説明通りではありませんが、説明のモデルにした売り文句があり、鑑別書の画像があったので見てみました。 すると「鑑別結果、水晶と認む」。 これがどういうことかと言うと、黒い針状のものが内包された透明な石の「透明な部分は水晶です」といっているだけだということ。 黒い針状の部分がルチルかどうかは判断してないのです。 水晶中の黒い針状のものはルチルではなくてトルマリンの場合が多いのですが、「ルチル」の知名度が高いためか中身がトルマリンでも「ブラックルチルクォーツ」と呼んでいる例が大変多いです。 「宝石鑑別書」というから、品質の高い、すごい石と思ってしまいますが、宝石鑑別機関が発行しているから「宝石鑑別書」と言うだけです。 つまり……最初の宣伝文句で、鑑別書が「水晶と認む」だった場合、鑑別書と関係があるのは 「AAAグレード! 激レア、ブラックルチルクォーツ。効果を高めるプログラミング済。宝石鑑別書付!」 赤字の「クォーツ」の部分だけ。後は店の宣伝文句というわけです。 こんなこともあるので、「鑑別書付」だけで安心せずに、鑑別書の画像があったらチェックしましょう。
●「鑑別書」つけられます。……にもご注意 オークションなどでは、見本の鑑別書の画像を載せて、「ご希望の方には鑑別書をお付けします」という場合があります。 これもすでに述べたように「鑑別書がついているから本物」「鑑別書がついているから質も心配しなくていい」ではありません。 それどころか、「お付けします」ということは、これから鑑別書をとりますよ、……つまり、まだ鑑別結果は出てないということです。 まあ、まとめて買った一部、あるいは、以前同じ所から仕入れた石を鑑別に出してOKだったということなのでしょうが、厳密に言うと売られている石は鑑別されていません。まずないと思いますが、最悪、「鑑別結果、別の石だった」もあり得ます。 鑑別書がサービスではなく別料金という場合もあるので、ご注意。 ●鑑別書の効力は、調べたその石に対してだけ 連でたくさん仕入れたビーズから何粒か抜き出して鑑別に出しました。結果、ちゃんと「天然○○石」でした。 ……という場合。 連の中に別の石が入り込むことは少ないと思うので、他の石も○○石だろうという目安にはなりますが、厳密には「天然○○石」と保証されるのは鑑別に出した粒だけです。 鑑別書付きのブレスレットを買った。サイズが大きかったので一粒抜いてもらった。 ……この場合は、鑑別書は一粒抜く前のブレスレットに対しては有効ですが、抜いてしまった後については無効です。(厳密には) ●じゃあ、どうすれば。 「この証明書がついていれば、偽物なし、品質も良くておすすめ!」……というのがあれば楽ですけど、そうは簡単にいきません。 少なくとも「鑑別書」は「○○石である」という手がかりを与えてくれるのですから、加工のあるなしをどう判断するか、見た目の良しあしはどうか……は自分で決めましょう。 自分で一生懸命考えて選んだ石は、それだけ愛着がわくのではないでしょうか? |
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