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謎のありがたピラミッド




雰囲気に弱いのよ

私は、意外に「雰囲気」に弱いです。
科学的なツッコミも好きなくせに、ちょっと「トンデモ」な雰囲気たっぷりの話にも乗せられます。

「KUROさんてば、石のことをよく知っている」と行っていただくこともあるのですが、そう思っていただけるのは、とてもありがたく恐縮なのですが、その真相は「知っている」のではなくて「知らないので、調べたことを忘れないように書いている」のです。ハイ。

では、なぜいろんなことを(または重箱の隅をつつくようなことを)調べるのか。
まず、シュフ(シェフではない)という環境では、私の場合ちょっとは頭を使わないと脳がサビそうだ……ということがひとつ。
そしてもうひとつは、実はとっても雰囲気に流されやすいので、自分の意識(意見/好み/方向性……etc.)はこうなんだ、と自分自身に釘をさしておくか、「実はこれにはこんな意味がある」と、意味づけ(=いいわけ)しておかないと、収拾がつかなくなりそうだからです。

そこで今回の話題です。
私がいかに雰囲気に弱いか……を物語るこんなモノ。
これはいったい何なんでしょう?
インディアングッズをあつかっているお店で見つけたのですが、あきらかにインディアンものではありません(笑)。

うすい金属の板を曲げて作ったピラミッドで、底はなくて中は空洞。
大きさは底辺と斜辺が9.5センチ、高さが約7センチです。
4つの面にはそれぞれ異なる模様が描かれていて、3つは幾何学的な模様ですが、ひとつはまごうことなくガネーシャ。
このガネーシャと、それぞれの面のてっぺんに書かれている卍マーク(正確には逆卍)のおかげで、ヒンズー教とかのたぐいのグッズだろうということしかわかりません。

この一筆書きのようなガネーシャがちょっとかわいかったのと、幾何学模様が意味ありげなことと、昔なつかし「ピラミッドパワー」なんて言葉が頭をよぎり、「おもしろそう♪」というノリで買ってしまいました。
いちおう、傷の少ないもの(手作りらしくけっこう傷が多い)を選んで、「おお〜、まったく読めないけど、なにやらいろいろ書いてあるぞ」とうれしくなったのですが、さて、コレをどうするべきか。

調査開始?

さすが、雰囲気に弱いと自覚しているだけあります。意味ありげな雰囲気だけで買っちゃいました。
せっかくピラミッド型で中が空洞なんだから、ピラミッドパワー(笑)を期待して、石の上にかぶせてパワーの充電とか、浄化気分を楽しんでみようか……と思ったのですが、気になるのは表面の模様です。
充電や浄化と何の関係もないならまだしも、まったく逆の……たとえば、悪い気を中に吸収するとかいう意味だったりしたら、シャレになりません。

そこで、調べてみることにしました。
そうです。私の調べものはたいていこんな感じで始まります。
さて、調べるにしても何の手がかりもないのでは調べようがありません。
繰り返しになりますが、わかるのはガネーシャ(3の画像)のみ。ガネーシャが使われているからには、ヒンズー教グッズだろうということだけです。

そうそう。もうひとつ手がかりがありました。
同じお店に小さな銅板(数センチ角程度)があって、そこには(1)と同じ模様が描かれていて、
「ヤントラ」というお守りだと説明されていました。(このピラミッドには何の説明もなし……)

さっそく「ヤントラ」で検索することからはじめました。
まずは、(1)の図形が「ヤントラ」であると確認しなければなりません。
検索し、いくつかのサイトを見ていくと……ありました、ありました。
どうやら「シュリ・ヤントラ」というものらしいです。しかも他にも種類があるようす。……すると残りの図形もヤントラなのでしょうか。
そもそもヤントラってなんなんでしょう?

そしてその結果は?

……とまあ、こんな具合ですっかりはまりこんだ私は、現れる単語を手がかり足がかりに芋蔓式にサイトからサイトを渡り歩きました。
その様子を書いてもややこしいだけなので、ここは潔く

(中略)

……ということにしておいて、結果です。
ヤントラは、仏教の密教における曼陀羅(まんだら)のヒンズーバーション……というのが一番イメージしやすい説明でしょうか。
そもそも「曼荼羅」という言葉はインド出身です。サンスクリット語の
「マンダラ」を音訳したもので、マンダラは中心・心髄、円・円還を意味する「マンダ」と所有を意味する「ラ」が合わさったものです。
「円」はすなわちはじめもなく終わりもない、あるいは始まりは終わりであり終わりは始まりである無限を象徴する形であり、意訳すると、曼荼羅とはつまり「大宇宙の本質的なものを諸仏の配置によって表現し、感覚的・現象的に把握できるようにしたもの」といえます。

よく似た言葉で「マントラ」というものがあります。
「真言」などと訳されますが、一種の呪文であり、聖なる言葉であり、宇宙のすべての源……神をも生み出す最初の領域「空」から発生した波動であるとされています。
そして、ヤントラとは、その波動が私たちが生きるこの世界にもう少し近づいてより具体的になったものなのだそうです。つまりは「聖なる波動を図式化したもの」……ということでしょうか。

最初に予測したように、ヤントラにはいくつもの種類があるようです。
なかなか画像付きで説明しているサイトが見つからなかったので、あくまでもたぶんですが……

(1)は、
シュリ・ヤントラ
このヤントラはその場のよくないエネルギーを排除したり、調和と繁栄を与える最も強力なヤントラなのだそうです。おお。
シュリ、というのは、シヴァ神と並ぶヒンズー教の最高神ヴィシュヌ神の奥さん、美と富の女神・ラクシュミーのことだとか。

(2)はたぶん
ドゥルガ・ヤントラ
ドゥルガというのはシヴァ神の奥さんのひとり……というか、シヴァ神の妻・パールヴァティーの化身とされる、美人で強〜い女神様。
内なる邪悪な傾向を取り除く。敵からの困難を和らげる。困難さからの回復……という御利益があるそうです。これもありがたや。

(3)はご存じガネーシャ。ヤントラには、ガネーシャの絵を描くものもあるようなので、
ガネーシャ・ヤントラ(またはガナバティ・ヤントラ)ということになるのかもしれません。
御利益は一般的障害除去、商売繁盛、学問成就だとか。

(4)がちょっと難しくて、これぞと思うのが見つかりません。
あえて挙げるならば、
ガーヤトゥリー・ヤントラ。知識の浄化、否定的なカルマの浄化という働きがあるそうです。
ガーヤトゥリーについてはよくわかりません。どうやら女神らしいのですが。
※ブログで、「ガーヤトゥリー」ではないようだというコメントをいただきました。もう一つの候補は、スーリヤ・ヤントラ(太陽のヤントラ)ですが、これも不確かです。

こうして見ると、良くないエネルギーを排除して調和を与えるとか、内側の邪悪な傾向を取り除くとか、障害除去とか、知識の浄化とかの意味があるようですから、石の上にカポッっとかぶせても大丈夫なようです。

なつかしや「ピラミッドパワー」

ついてにピラミッドパワーについても調べてみました。
ピラミッドパワーとは、ずばりピラミッドに働くと言われる不思議な力のこと。
20年くらい前(歳がバレる……)話題になりましたが、今では立派に「死語」でしょうか。
その不思議な力とは、エジプトなどにあるピラミッドの相似形の模型を作り、各底辺の方向を正確に南北に向けると、物が腐らない、死骸はミイラ化する、食べ物の味が変わるなどの不思議な効果が現れるというものです。

さて、このヤントラを描いたピラミッドは、ちゃんと相似形になっているのでしょうか。
正確にピラミッドの相似形でなくてはならず、少しでも違っているとだめなんだそうですが……。
というか、ひとくちにエジプトのピラミッドといっても角度はいろいろあったはずですが……やっぱ、ギザのクフ王のピラミッドなんでしょうか?
どうやって相似形かどうか確かめればいいんでしょう?

見知らぬ世界を理解する

話はちょっとヤントラに戻ります。
音のマントラに対して形のヤントラ。
なんとなくわかったようで、実はイマイチ頭の中にうまく収まってくれませんでした。
そんなとき、曼陀羅について調べていたら、ちょっと面白い説明を発見しました。

人間には空間恐怖という普遍的な感覚がある……と、その説明は始まります。
たとえば、ものすごい人混みの中に突然放り出されたとき、高い山の頂上に登って、ぐるり360度何もない空間が広がったとき……自分の身の回りがまったく未知の状態におかれると人は不安を覚え、自分自身を確認するために世界を考える。
つまり空間恐怖を乗り越えるために、世界を独特の方法で認識する……そこからマンダラの原形になるような世界観構図、宇宙をどういう構造でとらえるかという見方がでてきたというのです。

この説明は、なぜか心にすとんと入ってきました。
なんだか、自分が石に対してやっていることにとても似ているような気がしたのです。
石という未知の世界を「独自の方法で認識する」。
……カッコよく言えば、「虚空座標」は、私の石の世界に対するマンダラやヤントラなのかもしれません……(世界を認識しようとしたその成果……ということで。別に御利益はありません)

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