石好きの禁断症状 石好きにとって石の店というのは、まさに娯楽の殿堂。 海外でミネラルショーがあったと聞いては、新しい石が入荷したのではないかといそいそ出かけ、そんなことがなくてもしばらく行っていないと、やはりいそいそ出かけてしまいます。 昨今、ネットでいろいろな石が買えてしまいますが、やはり実物を見てさわって買いたいので、店に足を運んでしまうのです。 そんなとき、私は鞄の中にペンライトとルーペを忍ばせていきます。 これは石好きの人にとっては常備品かもしれませんが、私の場合、ペンライトを店の照明の暗さを補うためとはちょっと違う使い方をします。 マイ・ライトのすすめ 店頭でペンライトを使う場合(もちろん店の人には許可を得て)、左手に石を持ち、右手にペンライトを持って顔の横あたりにかまえ、石全体を照らす……というのがいっぱんてきではないでしょうか。 私の場合は、石全体を上から照らすのではなく、石を「下から」照らします。 もちろん、これは透明感のある石にしかやりませんが、ペンライトを使って石の中を照らすのです。。 誰しも石を持ち上げ、天井の照明に透かしてみることがあるかと思いますが、それのもっとアクティブな方法だと思ってもらえればおわかりいただけるでしょうか。 アクティブもアクティブ、ペンライトのレンズの上に石を置いて、上からのぞき込むようなこともしたりします。(もちろん、十分注意して!) 光で石を解読する? なぜこんなことをするのかというと、それはもう、「石の表情を見るため」という一事に尽きます。 光を通すと、石が全く違った表情を見せるのです。 クラックやインクルージョンが輝いて、思いがけずドラマチックな表情を持つ石だったり、黒っぽいと思っていたのが豊かな色彩を秘めていたり。こういう石の表情は、上から照らしていたのではわかりません。 ……とまあ、石を選んで選んで選び倒して買うための道具としてペンライトを使っているわけですが、買って帰った石も、今度は心おきなく照らして鑑賞します。 私は「マグライト」という、光の幅を変えられるペンライトを使っていますが、100円ショップで売っている懐中電灯(小型のものが良い)でもいいので、ぜひ、石のライトアップにチャレンジしてみてください! 石の表情を演出するということ 水晶の単結晶ならば、先端のとがった方か根本から照らすのが効果的です。机に黒い紙か布(光を反射しにくい素材「)を敷き、ペンライトを転がし、ライトのレンズ部分に水晶の先端か根本をあてるくらいの至近距離から照らすのです。 ファントムが入っていればそれが輝き、そうでなくとも中のクラックやインクルージョンが輝いて、石の表情が変わるはず。 「レムリアンシード」と呼ばれる水晶をお持ちであれば、ぜひ、根本から光をあてて水晶の中を照らし出してみて下さい。表面の「バーコード」(レムリアンリッジ)がきれいに浮かび上がり、淡いピンクの色といくぶんマットな表面とが相まって、まさに光の造形のよう。 何を言うより実例をどうぞ! 論より証拠! 1は、下から照らし出したアメシストのファントム。実は透明だったファントムが浮かび上がりました。 2は、ライトニングクォーツ。こちらは先端から照らして落雷の痕を輝かせてみると、まさに稲妻! 3は、いわばBefore→After。左の白いバックの写真が普通に撮ったもの。右が斜め後ろからのライトアップ。これだけ表情が違うのです。 4がレムリアンシード。光がきれいに回り込んで、石の表情の隅々までがくっきり。 5は、ヒマラヤ水晶のミニクラスター。下から蛍光灯で照らして、デジカメのホワイトバランスをあえて白熱球に設定して青くなるように撮ったもの。まるで氷の花。 これまでに何回か石好きの人が集まる場で、ライトアップして見てもらったことがあるのですが、いずれも大好評でした。 石を乗せる台で、赤や青や緑のLEDが仕込んであり、石を下から照らしながら色を変えていくものがありますが、ペンライトで照らし出す方法はもっと光が強く、もっと表情が変わります。何より、光を動かして石の表情を探していくことができるのが魅力。 そんなこんなで、晴れれば窓際で、曇りや夜はペンライトを片手に、私の石三昧の日々はすぎていくのです……。 (2004年7月8日、ブログ掲載) |
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