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黄色と紫の発色メカニズム シトリンとアメシストの発色の原因は、いずれも水晶を構成する珪素の一部が鉄に変わったためであると考えられています。珪素の一部が鉄に置き換わると、電子のバランスの関係で青紫色の光を吸収するしくみ(これをカラーセンターと呼びます)ができて、通過した光が黄色になるので、黄色く見える水晶になります。(諸説あり) 一方、アメシストは天然の放射線によって電子の状態が変化したため、黄緑色の光を吸収するようになったことで、その補色である紫色に見えています。 (シトリンの中で黄緑がかって見えるものがありますが、水晶の中にアルミニウムイオンが含まれると、黄緑がかって見えるという話を聞きました) |
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シトリンが黄色く見えるのは(注:KUROの理解で図示しています。正しくなかったらごめんなさい) アメジストが紫に見えるのは(注:KUROの理解で図示しています。正しくなかったらごめんなさい) |
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つまり、シトリンとアメシストの違いは、天然の放射線が原因で電子状態が変化し吸収する光の色が変わってしまったことが原因なのです。 そのため、アメシストを加熱処理すると電子状態の変化がなくなり、黄色くなります。 天然シトリンは見つかるか ネットなどでは、「天然の黄水晶は少なく、ほとんど紫水晶を熱処理して作られている」とありますが、原石では、天然のシトリンもちゃんと売られています。(ビーズはほとんどが加熱加工されていると思います) ただし産出が少ないのは確かなので、天然シトリンにこだわるのであれば、ネットや本、できれば石屋さんで実物のシトリンを見て、色合いや形などを覚えておいた方がいいと思います。 こちらに、(たぶん)天然シトリンを集めてみました。 KURO的チェックポイント
●柱面のない、ウルグアイやブラジル産のアメシストの形をしている。 →天然シトリンは、ちゃんと柱面を持つ結晶の場合が多いと思います。 ※柱面のあるシトリンは、スモーキーが変化したものである場合があります。 ●あざやかな黄色をしている。 →天然シトリンで鮮やかな黄色はたいへんまれです。そのため、高価でもあります。 天然シトリンは、黄水晶と聞いて思い浮かべる「黄色」より渋くて茶色っぽかったり、スモーキーと 間違いそうな色合い、逆に淡い色あいだったりすることが多いです。 ●クラックが多い →加熱したため……? ※小さいものは、クラックがない場合もあります。 ●根本が白い →ウルグアイ・ブラジル産のアメシストの紫が黄色に置き換わった感じと思って下さい。 ●値段が安い →天然シトリンは大きさの割に高いです。 以上の4点に該当する石は、熱処理である可能性が高いと思います。(お店の人に確認して下さいね) 加熱して得られる色もさまざま 一般に、アメシストを加熱すると、鮮やかな黄色になることが知られていますが、実は、すべてのアメシストが黄色くなるわけではありません。 有名なものは、ブラジルのモンテズーマで採れるアメシストで、加熱するとさわやかな緑色に変化し、「プラシオライト」の名前で知られています。(※プラシオライト、グリーン・アメシストの名前は、加熱のみ、あるいは自然の地熱によって緑色に変色したもののみに使われます。最近は、放射線照射+加熱で緑色に変色させたアメシストがあるようですが、厳密にはプラシオライト、グリーン・アメシストとは呼びません) そのほか、黄色ではなくて褐色になったり、淡くてほとんど色がなくなってしまうものもあると聞きます。 スモーキーから作られる「シトリン」もある。 アメシストを加熱した焼きシトリンはよく知られていますが、時には、スモーキーを加熱したシトリンが作られることもあるそうです。 スモーキーは、シトリンやアメシストと違い、アルミニウムイオンの働きで色が付いて見えています。スモーキーを加熱すると、色が消えてしまうのだそうですが、同時に鉄イオンが含まれていた場合、その色合いだけが残ってシトリンになる石があるのだそうです。 アクセサリーに加工されて売られている「レモンクォーツ」(透明度の高い淡い黄色、わずかに黄緑がかっていたり、うっすらファントムが入っているものもある)や、六角柱にポリッシュされて安価で売られている淡い黄色の水晶は、スモーキーを加熱して作られた可能性が高いです。 ●「レモンクォーツ」「パイナップルクォーツ」の名前で売られている、淡黄色のビーズやアクセサリー ●ポイント型磨きで売られている、淡いシトリン色の水晶。 などは、煙水晶加熱による黄水晶である可能性があります。 気になる方は、お店の人に確認して下さいね。 その場合は「天然シトリンですか?」ではなく、 「天然の色ですか? それとも熱で加工されたものですか?」 と聞くのが正解です。 なぜならば、加工されて黄色くなっているものでも「ベースが天然の水晶で(結果的に)黄色い色のもの」であるため「天然シトリン」と読んでいる場合があるからです。 ……お店の人もわからない場合が多いですが。 放射線でシトリン? 最近、webショップなどを見ていると、「放射線処理」されたシトリンがあるという説明を見かけることがあります。 アメシストを加熱処理すると水晶中の電子の状態に変化が起きて、シトリンになります。 スモーキーを加熱処理すると、スモーキーの色合いが消えて、淡いシトリンになる物があります。 そしてそれらの石に再び放射線を当てると、(あて方にもよるでしょうが)元のスモーキーやアメシストに戻るのだそうです。 透明な水晶にガンマ線(放射線)をあててスモーキーやモリオンに加工することがありますから、放射線で元の色に戻るというのは、納得できます。 いずれも加熱でシトリンに、放射線照射で元の色に、という変化です。 では、放射線処理によって作られたシトリンとは? (放射線処理についてはこちら(放射線照射の項目)) (※ビーズで見かけるグリーン・アメジストはある種のアメジストに放射線を照射し、その後に加熱して緑色に変色させているといいます。アメジストに放射線を照射した段階では変のどす黒くなっていました) 放射線加熱という表記も見ましたが同じく、この説明には納得できません。情報募集中! 追記:白濁した石英の一種に放射線を照射した後加熱するとわずかに緑がかったグリーン・ゴールドに変色するものがあります。(パワーストーンでメタモルフォーゼス/メタモルフォシス、変色後をオーロ・ベルディと呼ばれているもの) これを放射線処理されたシトリンと言っているのでしょうか……? ただし、メタモルフォーゼス/オーロ・ベルディはシトリンというのは色がやや違う上、シトリンではなくてレモン/クォーツやイエローミルキー・クォーツの名前で売られていることが多いです。 変色の過程も放射線照射でいったんスモーキーのようになり、それを加熱することで黄色くなります。放射線で直接記録なるわけでもないので、放射線でシトリンにはやはり納得できません。 天然シトリンは難しい 天然シトリンは存在します。しかし、全体の量としては、少ないのも事実です。前述したチェックポイントは、見分けやすい例です。形状によっては見分けにくいですし、産地によっては熱処理と天然の色の差がほとんどない場合も考えられます。 最近は、(原石で)ウルグアイ産やブラジル産(大きめで、柱面のある形状が多い)や、アフリカのコンゴ、ザンビアなどからシトリンが産出し、見かける機会も増えました。 天然シトリンの色合いは、「黄水晶」と聞いて思い浮かべる「黄色」ではなく、茶色がかっていたり(なかにはスモーキーと区別が付けにくいものも)、とても色が淡いものが多いです。黄色というよりあかといいたいものも、シトリンの一種とされる場合があります。 そういうものも含めると「めったに見かけない」というほど珍しいものではないように思われます。 ただし、これは原石での話。 原石ではシトリンに見えていても、小さいビーズに削ると、淡いものはほとんど色が見えなくなるし、茶色がかったものはスモーキーと区別がつかなくなるでしょう。 見た目きれいでないなら磨く手間が損になります。 ……ということで、ビーズの場合は……というかビーズに磨いて干渉に耐えるシトリンは(原石に比べて)少なくなると考えられます。 まっ黄色なものは、アメジストの加熱か、合成、最悪ガラスです。(ガラスと明記されているものを見たことがあります)。 天然シトリンは思ったより渋みのある色、茶色がかった色の場合が多いでしょう。 加熱なしのシトリンだった場合、それは売る側にとって「売り」です。「コンゴ産シトリン」など産地を明らかにしていることが多いと思います。 ●お店で、しっかり確認して買う →石そのものは天然なので、「天然水晶ですか?」と聞くのではなく、。 「天然の色ですか?」「熱処理されていますか?」と聞いた方が良いかもしれません。 加熱処理されていても、もとの水晶は天然なので「天然水晶」とされる場合があります。 ※「信頼できるお店」は「信頼できる」と教えてもらったお店ではないです。 あなたが、何度も利用し、ここならば、と信頼を置いた店……それが信頼できる店なのですから。 ●それでもなお、完全に天然のシトリンとは断定できない ということなのです。 (石にくわしいお店でも、仕入れ先が天然と言っていれば確かめるすべがありません) また、加熱処理は宝飾業界では一般的に行われている処理であり、加熱という自然界でも起こりえる処理をたまたま人工的に行っているだけなのだから、加熱シトリンも天然水晶であるという考えもあります。 天然のシトリンが優れていて、加熱のシトリンが劣るというわけでは全くありません。 何が何でも天然そのままの色合いが欲しいのか、きれいな色合いの物が欲しいのか。自分が求める物をしっかり考えて選びましょう。 ほかの原因で黄色い水晶もある 黄色い水晶の中には、結晶構造の間にイオウが入り込んだために黄色く発色した「レモン水晶」もあります。その名の通り黄色というより「レモン色」で、白く濁って見える場合が多いようです。 そのほか、タールが含まれた地層から採掘されたため、黄色い膜状のものが表面について、黄色く見えるものもあります。この場合は、表面だけが色づいているので、内部は黄色くありません。 ※まるで、シトリンのような天然コーティング水晶 黄色ければ「シトリン」か? ミネラルショーの外国ブースで、透明な水晶のクラックに黄色い酸化鉄が染みこみ、全体が黄色く見えている水晶に対して「Natural Citrine」の札を付けているところがありました。(透かしてみて透明だと思ったのですが、もしかしたらうっすらシトリンだったかもしれませんが……) また、有名パワスト本・某バイブル続編でも、酸化鉄でコーティングされて黄色くなった水晶を<シトリン>としていたところがありました。 このように、発色原因に関係なく黄色い水晶を「シトリン」と呼ぶ場合もあるのでご注意を。 個人的には、鉄イオンで黄色く見えている水晶をシトリン、それ以外の原因によるものはイエロー・クォーツと区別したいです。少なくとも、天然コーティングや内包物による色であることが明らかな水晶は、シトリンとは呼べないと思います。 シトリン「○○」にご注意 熱処理された鮮やかな黄色はトパーズの人気の色合いに似ているので、シトリン・トパーズなどという名前でアクセサリーに用いられていたりします。当然、シトリンは水晶で、トパーズとは別物です。 まあ、アクセサリー好きではない石好きさんにはあまり関係ないかもしれませんが、原石は原石で気をつけなくてはならないことがあります。 「天然シトリン」として、琥珀色の破片状の石が売られているのを見たことがあるのですが、持った感じがどうも水晶っぽくない……。小さい破片だったので言い切ることはできませんが、重さや持ったときの冷たさが違うような気がしました。 今思うとあれはカルサイトではなかったかと思います。結晶の形をしていれば一目瞭然ですが、破片状ではわかりません。 丸玉でシトリンだと思っていたらカルサイトだった……ということもあり得ます。 昨今「ハニー・カルサイト」だの「アンバー・カルサイト」だのという名前の、きれいなカルサイトがあるので、「シトリン・カルサイト」と名前を付けられたものの「カルサイト」の部分が抜け落ちている可能性もあるわけです。 |
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