あるようでない石 好きなのだけれども、なかなか出会えない水晶があります。 見かけることは見かけるのだけれども、これぞというものに出会えない石もあります。 たとえば、ロシレム(値段のハードルもあるのですが)。 正しくは(?)ロシアン・レムリアンという、ウラルのブルーエンジェル鉱山で産出する水晶です。 欠けていたり、表面がこすれて曇っていたりと、見かけがちょっと……というのは、私にとって支障とはならないはずなのですが、いまだこれぞを言うものには出会えません。 かと思うと、値段はお手頃なのがあり、見かける機会も多い。写真に撮りたい見どころも多い……と三拍子そろっているのに、なぜか数が増えない石もあります。 それがガーデンクォーツです。 水晶の中に緑泥石(クローライト)などの他の鉱物が内包され、水晶の中に庭園があるように見えることからガーデンクォーツという……と、そういう説明があちらこちらで見られます。 水晶中の庭園の謎 でも、ちょっと調べようとすると、やおらそこで立ちすくむことになります。 中に入っているのは何だろう? 緑泥石くらいは簡単に出てくるのですが、実物を見ていると、それだけではないようです。 (緑泥というだけに緑色が多いですが、他の色もあるようです) ルチルも入っていることがあります(ガーデンルチルとして区別されることもあります)。 たまにパイライトなども入っています。 にぎやかなものだと、そのほかにもごちゃごちゃ入っていますが、これは何なんでしょう? わかりません。 中の様子もさまざまです。 緑泥がぱらぱら散っているような状態でもガーデンと言われることもあります。 それがファントム状になっていればガーデンファントムです。これについては、個人的にはちょっと庭園(ガーデン)とは言えないんじゃないの? と思っているのですが……。 では、緑泥石が固まって入っていればガーデンクォーツかというと、これもちょっと疑問です。 ヒマラヤ水晶などは、部分的に緑泥石が入っているものをよく見かけますが、あまり「ガーデン」と言われることはないような気がします。 あやうい存在 要するに、中に何かが内包されている水晶のうち、ヒマラヤ水晶やルチル入りやファントムなど、名称がはっきりしているものを除いた、「名称未定」の水晶を、適当に「ガーデンクォーツ」という名前でくくっているわけです。 それがどうした、と思われるかもしれませんが、これはちょっと大変なことです。 なんでもかんでも、ちょっともこもこしたものが入っていればガーデンクォーツだと言えてしまう反面、ガーデンクォーツだと見なければ、ガーデンクォーツではなくなってしまうということです。 少なくとも、私にとっては、ガーデンクォーツとして売られていても、その中に「庭園」が見えなければその石はガーデンクォーツではなくなってしまうのです。 「庭園」といっても、それは森のように見えるかもしれないし、「山」のようかもしれません。(ファントムではなく) 言ってみれば、 自然界に通じるひとつの世界を閉じこめた石。 そんな石は、大きすぎたり、値段が高すぎたりで(←実に多い)、なかなか手に届くところには現れてくれません。 それでもあきらめずに探し続けて、ひとつの石を見つけました。 |
水晶の中の深山幽谷 写真の左の石です。(ブラジル産)これは、ガーデンとしていくつも並んでいる中から選び出しました。 ……というより、一瞬で「これだ!」とつかみ取りました。 時々聞く、「その石だけが輝いて見えた」というのに近かったかもしれません。 実はこの石、右上のように横に寝かせた状態で置いてあったのです。 「山や谷がほんとにあるよ」と、感心しきりで手に入れ、以来、石はずっと寝ころんだまま。 左のように石が立つこと、一応ポイントの形をしているのだと気が付いたのは、何と最近です(笑) 立てて置いて撮った写真の中で、石は「深山幽谷」の表情を見せてくれました。 なかなか石の中にピントが合わなかっただけに、撮れた時の喜びもひとしおです。 ちなみに右下の3つの石は、 縦に並んでいる2つがヒマラヤ水晶(上・インド・クル産、下、ガネーシュヒマール産)右がブラジル産。 ガーデンぽいかな、と思っているのですが、「ガーデン」とは言い切れません。 (便宜上「ガーデンです」と説明はしますが) 見る人が認めなければ存在しない石。 それがガーデンクォーツなのだ……と言ったらおかしいでしょうか? |
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