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エレスチャル(骸晶)は「水晶の長老」か?


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骸骨水晶?

私は変わった形の水晶が好きですが、その中にはエレスチャルとキャンドル・クォーツも含まれます。
エレスチャルは、クリスタルヒーリング方面で有名なネーミングであるらしく、本当は……というか別名を
「スケルタル・クォーツ」と言うそうです。
「スケルタル」とは、たぶん英語の綴りでは「skeletal」。「骸骨(骨格)の」とか「骸骨のようにやせた」という意味です。日本訳(?)の「骸骨水晶」だと、非常におどろおどろしい感じですよね。
そしてどうやら「骸骨水晶」なるネーミングは、
「骸晶」という結晶のしかたの一種にも関係があるようなのです。


キャンドルクォーツ成長のメカニズム

さて、そもそものなんでこういう話題になったのかといいますと、書店で結晶に関する本を見ていたら、
「お、マダガスカルのキャンドル・クォーツ」
という感じの写真が載っており、それが「骸晶」であるということ、そしてなぜそのような結晶になるのかが説明されていました。

「骸晶」というのが、それまで私が理解していたのとはちょっと違うのにはひっかかりましたが、結晶のしかたについては、これぞ求めていた情報です!
ちょっと専門的な本だったため、その部分だけの立ち読みですませてしまったので、記憶から抜け落ちないうちにさっさとまとめてしまいます.。
要するに、

(1)熱水の珪酸分濃度が低い方が、透明できれいな結晶に成長する。
(2)熱水の珪酸分濃度が高く飽和状態だと、一度にたくさんの小さな結晶ができ、
  それがそれがくっつきあって骸晶になる。


……ということらしいのです。
(2)については、くっつきあって、というより、水晶の材料となる珪素が多いので、順序よく大きな結晶を作るよりも先に、あっちこっちで勝手に結晶ができてしまい、そのため小さな結晶の集合体のような結晶になる……というようなニュアンスだと思います。

この説明はなるほど! でした。
キャンドルクォーツの結晶を見るに、あっちこっちでいっせいに、しかも水晶にしては急激に成長しようとしたと思えば、説明が付くような気がします。
そして、キャンドルクォーツの結晶の不思議のひとつである、柱面は小さな結晶がたくさんくっついたような形状なのに先端は大きな錐面になっているというのも、急激な結晶化によって熱水中の珪酸分が使われ、ある段階からひとつの結晶にじっくり成長していく程度の濃度になったのだと考えてはいかがでしょうか。



上のキャンドルクォーツ(右側)も、この考え方であれば説明が付きます。
へんてこりん水晶好きの私が買うものなので、キャンドルクォーツとしても変わっているかと思うのですが、柱面には小さな結晶がついているのに、先端部分は透明で、中には白いファントム状の部分があります。
これも、徐々に熱水の珪酸分濃度が変化していったせいではないでしょうか。



骸晶(エレスチャル)はどのように成長したのか

おお〜、スッキリ!……といきたいのですが、ひっかかるところがあります。
本では、キャンドルクォーツに対して「骸晶」という説明がされていましたが、私は、どちらかというと、薄い層が何重にも重なったような、別名では「窓水晶」と言われるタイプのエレスチャル水晶のことを指すのだと思っていたのです。ちょっと見にくいですが、下の写真(↓)がそのタイプです。



それでは、というので骸晶について調べてみました。
「骸晶」は結晶一般について用いられる用語で、水晶だけの用語ではありませんでした。
ネットを渡り歩き、入り込んだのはなんと「タンパク質の結晶」についてのサイトです。
タンパク質と水晶ではあまりに違うような気もしますが、結晶が成長する基本的なメカニズムは,無機も有機も,低分子も高分子も変わらず同じだそうですから大丈夫でしょう。

『 結晶は必ず、
「渦巻き成長」「島状(2次元核)成長」「付着成長」の3つのメカニズムどれかで成長する』のだそうです。
……引用しただけでは何がなにやらです。
頭が「理解不能デス!」と悲鳴をあげるのを、なだめなだめ解読してみますと……。

「渦巻き成長」→じっくり丁寧に結晶し、整った形になる。
「島状(2次元核)成長」→結晶の部分部分で結晶の速度が違い、形が乱れる。
「付着成長」→あっちこっちで好き勝手に成長する。

……ということです(たぶん)。で、この3つの成長パターンを分けるものは「結晶化駆動力」です。

そして、結晶化駆動力が小さな場合には、結晶はファセット(平らな面)に囲まれて成長しますが、結晶化駆動力が大きくなると「ベルグ効果」と呼ばれる効果により、結晶の辺や角の部分がより速く成長成長し出すため、だんだん真ん中がへこみ角が出っ張った「骸晶」と呼ばれる形になる のだそうです。

おおっと「骸晶」が出ました!
しかも『真ん中がへこみ角が出っ張った』といえば、私がイメージしていた「窓水晶」系エレスチャルです。



おお、私のイメージは正しかった!
上の写真は、ページトップのエレスチャルを結晶の先端方向から見たものですが、結晶の角の部分だけが結晶し、面の真ん中が穴になっているのがおわかりいただけるでしょうか。
では、「結晶化駆動力」とは何でしょう。ずばり、「結晶の材料となる物質の濃度」です。
だんだん話がつながってきました。

つまり、
「渦巻き成長」 珪酸分濃度低い。
成長速度遅い。
結晶は整ってきれいで透明。

(例)アーカンソー産などの透明で形の整った水晶
「島状(2次元核)成長」 珪酸分濃度中くらい。
成長速度中くらい。
結晶は「ベルグ効果」により、角や辺の方が成長し、面の真ん中がへこむ「骸晶」となる。

(例)インドやメキシコ産の層状エレスチャル
「付着成長」 珪酸分濃度高い。
成長速度早い。
結晶は小さな結晶がいっせいに成長するため、結晶の集合体のような形になる。

(例)マダガスカル産キャンドルクォーツ、
   ブラジル産セプター型カテドラル

……となると考えられないでしょうか。
氷も急速に凍らせると白く濁り、透明で大きな氷にするためには時間をかけてゆっくり凍らせるのだそうですから、なんとなく想像が付きます。
キャンドルクォーツもクリアなものはほとんど見かけませんから、この氷の例に合致します。
エレスチャル(スケルタル)といってもさまざまな形態がありますが、総じて複雑な形をしていることから、上で言うところの「島状(2次元核)成長」か「付着成長」のいずれかのパターン、あるいはその複合や中間と考えられると思います。


水晶の最長老?

ここで、困ったことになってきました。
スピリチュアル系で言われているところのエレスチャル(スケルタル)の説明を思い浮かべて下さい。
曰く……

●ヒーリングの力が強い
●「天使の贈り物」と言われる
●水晶の最終形態である
●通常の水晶よりもはるかに長い時間をかけて成長した、
水晶の長老
ゆっくり成長したため内包物が多い
……こんなところでしょうか。

1番目は、私がどうこう言うことはできません。鈍いので。
2番目は……エレスチャル(スケルタル)は、見てくれがごついので、いったいどこが天使とつながるんだと思っていましたが、光のあてかたによっては、とても美しいと思うようになりました。
3番目。「最終形態」ってなんでしょう?
ここで補足しておきますと、辺や角が結晶して面の真ん中に穴が空いて層状になっているものには、これまで説明してきた「骸晶」のほかに、結晶が腐食された「蝕像」である場合があります。
蝕像かどうかは、結晶を見ただけでは見分けにくいそうです。仮に蝕像だとしたら、成長して、再び溶けて消えていく寸前の「最終形態」……?

そして困ってしまったのが4番目と5番目。
私が調べた内容に従えば、「通常の水晶」とは「薄巻き成長した水晶」でしょうから、
結晶化駆動力の大きい
エレスチャル(スケルタル)の結晶の成長の速度は、
通常の水晶よりもむしろ早い。

そして、その結晶の形状ゆえに結果的に内包物が多くなった。
……と考える方が妥当だと思うのです。

まあ、エレスチャル(スケルタル)がものすごく古い時代に結晶し、そのまま地中に眠りつづけ、「通常の水晶」が後の時代に結晶したとも考えられますが、それにしても「ゆっくり成長した」という表現はちょっと……。

石のパワーなんか信じない!……なんてことは言いませんが、こうなると、何を根拠に説明されているのかわからなくなってきます。
強いて言うなら、

「その特異な形態ゆえに、老成した感じがあり、
『水晶の最終形態』『水晶の長老』……という
イメージがかき立てられます」

でしょうか。

私は、イメージの力というのは決して無視することができない大きなパワーだと思います。
しかし、根拠のない、どちらかというと事実とは違う内容に基づいてイメージをふくらませ、それを石のパワーの理由とするのは、いかがなものかと思います。

さらにわからないのが「エレスチャル」という名前です。
どうやら綴りは「Elestial」。……でも、辞書に出てこないんです。少なくとも私の引いた辞書には。
出てくるとすれば「celestial(天国の 神聖な 神々しい)」です。
どこかで頭の「c」がとれちゃったんでしょうか……?

私は、「エレスチャル」という名称を初めて聞いたとき、2004年のアカデミー映画賞で作品賞をはじめ11部門を受賞したファンタジー3部作映画にもなった某物語の、ラストで無事即位し、エルフの奥さんまでもらっちゃった王様のお名前に似通っているので、命名者だというカトリーナ・ラファエル女史はトールキンファンなのでは? と疑ったことがあります。
しかし、かの王様のお名前は「Elessar」。綴りはあんまり似ていなかったのでした



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