ターコイズ・ブルー・ヒストリー ターコイズが装飾品として用いられはじめた歴史は古く、模造品の歴史もまた同じくらい古いのだと言われています。 水晶のように石でありながら透けるというのはある意味特異な存在ですが、不透明であるがゆえにまわりの色に左右されることなく鮮烈な色を主張するターコイズも昔の(そして今も)人の心を捕えて離さなかったのかもしれません。 古代中国人が玉を愛し、古代日本人が翡翠に心を寄せ、ネイティブアメリカンがターコイズに思いを込めるように、ひとつの文化が特定の石(あるいは色)を好む感覚というのは、もしかしてモンゴロイドに共通な感覚なのでしょうか。 そのようなことを考えていくと、加工品だから、模造品だから、偽物で価値がないのだと簡単に片づけてしまうことはできないような気がします。 たとえば、アメリカ産ターコイズは採掘量が減少しているため、インディアンジュエリーに使われるターコイズは、中国からの輸入品が中心となっていると言われています。 さらにターコイズはあまり硬くないため、天然ターコイズであっても樹脂でスタビライズ(安定化)させるのが一般的です。 何より、インディアンジュエリーに使われるターコイズは不純物が多く、イラン(ペルシャ)産のターコイズにくらべて宝石的価値は低いのです。 部族の心を身につける しかし、彼らネイティブアメリカンは宝石的価値のためにジュエリーを作っているわけではありません。 インディアン・ジュエリーの価値は素材ではなく、デザインに宿る文化・作る人の思いなのではないでしょうか。 まさしく「インディアン・ジュエリーは身につける伝統文化」なのです。 世の中にはいわゆる「インディアン・ジュエリー風」なものや、あるいは確かにネイティブアメリカンの手になるものが多くあります。 ただ、デザインが好みだから、流行だからというだけでなく、これを生み出した人々の思い、文化にも思いを馳せるというのが、「インディアン・ジュエリー」を楽しむ「礼儀」なのではないかと思います。 同時にそれは、ターコイズの真の魅力がどこにあるのかを教えてくれるような気がします。 物(形)ではなく込められた思いに価値がある。 それはネイティブ・アメリカンの考え方でもあります。 私がターコイズに心を惹かれるきっかけとなるのは彼らの「言葉」です。 「祈りの言葉」「感謝の言葉」、一方的な価値観を押しつけた白人に対して語った言葉。 飾り気のない彼らの言葉の、なんと強くて鮮やかなこと。 彼らの言葉を読んでいると、ネイティブ・アメリカンにとって自然も地球も宇宙も、当たり前で近しいものなのだと言うことが伝わってきます。 たとえば、 「われらは、知っている 大地はわれらのものでなく われらが大地のものであることを」 という言葉は、「地球にやさしく」にくらべてなんと地に足の着いた言葉なのかと思ってしまいます。 ブルー・スカイ、サマ・レイン 中でも今回ターコイズのことを書くにあたって、何故か頭にこびりついてしまったのが、ナバホ神話のある言葉があります。 青いビーズのローブをまとい、青い雲を頭にのせ、右手にターコイズのガラガラを、左手にブルー・コーンを持ってやってきたブルーバードが人々に何を持ってきたのかと問われて答える一節です。 「ブルー・スカイ、サマー・レイン。そしてやわらかいコーンだよ」 青い空、恵みの雨、そして命の糧。 こんな言葉で表すと仰々しく、よそよそしくなってしまう事柄を何と軽やかに語るのでしょう。 ターコイズは、こんな人々が愛した石なのです。 ……ということで、やっとタイトルの 「ブルー・スカイ、サマー・レイン」にたどり着くことができました。 以下はちょっと番外編で「ホワイトターコイズ」と「ホワイト・バッファロー」についてです。 謎の白い石 ターコイズについて調べようと、ネットで検索すると、山のようなターコイズ・アクセサリーが出てきます。 単に「ターコイズ」だけのこともあれば、「ビスビー」だの「モレンチ」だのといった鉱山名が付いている物もあります。 いろいろいろいろ見ていると、やっぱりナチュラル(っぽいの)はいいかも……と思っちゃいますが。 さて、それはさておき、ターコイズに混じって「ホワイトターコイズ」「ホワイトバッファロー」という石が用いられているものも見かけます。 「ほー、白いのもあるのか」程度で眺めていたら、ちょっと疑問です。 サイトによって「ホワイトバッファローとホワイトターコイズは同じ」とするところ、違うとするところとがあり、それらはハウライトのことであるとする説と別の石であるとする説が出てきたのです。 ついでに調べてみたので、忘れないように書き留めておきたいと思います。 まず、私の結論から言うと、ホワイトバッファロー、ホワイトターコイズ、ハウライトは違う石だろうということです。 まあ、違うとも言い切れないところもありますが。 まず、ホワイトバッファローです。 茶色いバッファローの中にごくごくまれに生まれる白いバッファローのように珍しい、ということから名付けられたそうです。 この石は、一口で言えばターコイズのアルビノ(白子)版です。 ターコイズの青は銅やアルミニウムによるものだといわれています。 ホワイトバッファローと呼ばれる石は、基本はターコイズと同じような成分なのですが、銅やアルミニウムが含まれていません。 一方ターコイズは、銅、アルミニウム、リン、などが結合してできたものと規定されているので、銅やアルミニウムを含まない「ホワイトバッファロー」は厳密にはターコイズと違う石と言うことになるようです。 ちなみにホワイトバッファローと似た石で「ワイルドホース」という石もあります。 ホワイトバッファローよりも鉄分が多く、黒い筋のところが茶色いのだそうです。 次にホワイト・ターコイズです。 ホワイトバッファローやハウライトと同じ石であるとするところもありますが、正確にはネバダ州のドライクリーク鉱山で発見された薄い青色やクリームホワイトのターコイズのことだそうです。 その色は石に含まれるアルミニウム成分が銅よりも優勢なためにつくりだされるそうなので、白っぽくても一応、銅とアルミニウムを含んでいるのでターコイズというわけですね。 ハウライトの悲劇 ややこしいのがハウライトです。 ハウライトは白にグレイの筋模様が入った石で、ビーズ等に加工されることが多いです。 ターコイズと同じ多孔質であるため染色しやすく、青く染めて「ハウライト・ターコイズ」「ハウライト・ラピス」などとして売られていることがあります。 繰り返しますが、ターコイズやラピスラズリとはまったく別の石です。 ところがこの石、ホワイトターコイズやホワイトバッファローの代わりに用いられているだけでなく、ホワイトバッファロー=ハウライト、ホワイトターコイズ=ハウライトと説明している場合が多いのです。 どうやらこれは、ホワイトバッファローやホワイトターコイズが非常に珍しいために代わりに用いられていたものが、 いつのまにか同じ物にされてしまったということのようです。 またもや繰り返しますが、ホワイトターコイズやホワイトバッファローは、ハウライトのことではありません。 ハウライトのジュエリーは、それはそれできれいなのに、染められたり別の名前をつけられたり、ちょっとハウライトがかわいそうになってきます……。 あるお店では、「何年か前に本当に白いバッファローが見つかって、それを記念してハウライトもホワイトバッファローとして認められた」と説明して下さいましたが、本当なんでしょうか……? あと、余談ですがアメリカのターコイズ・ジュエリーのカタログを見せていただいたところ、練りターコイズのページがありました。 よく見かける練りターコイズはパッと見はそっくりでも均一な色の感じなどで、何となくわかる気がしますが、そのカタログにのせられていたものは、あきれるほどナチュラル・ターコイズにそっくり! ターコイズには茶色の母岩がにじむようにまざった種類があったりするのですが、それもそっくりに再現されていました。ああいうのでは、とてもとても見分けが付きません……。 ※(1)から読み直す ※とりあえず(2)をもう一度 |
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