疑惑物件・4 原料は水晶と同じだけど 次に原料は水晶と同じだけれど……というもの。 人工水晶とひとくくりにされることもありますが、詳しくは溶融水晶と合成水晶です。 溶融水晶は、天然の水晶を砕いて不純物を取り除き、溶かして固めたもの。 結晶していないので、「天然水晶を原料にしたガラス」です。 練り水晶と呼ばれていることもあります。見分け方は上記のガラスと同様です。結晶していないので、丸く磨いたもので細い線を透かし見た場合、どの方向からも二重にだぶって見えることはありません。 「天然水晶が原料なので水晶の加工品」「天然水晶と同じ」などと説明していることがありますが、「結晶していない以上、ガラスである」と考えます。 もちろん「天然石」とすることにも抵抗があります。 (※私は、石のパワーについてはわからないので、練り水晶がパワーストーンか否かについては判断できません) 溶融水晶は「石英ガラス」とも呼ばれ、耐食性・耐熱性に優れ、非常に透明度が高いことから、かつては光ファイバーの原料にされていました。 では、天然水晶が原料なのだから、光ファイバーを「水晶の繊維」と言うでしょうか? (天然水晶を溶かしたものは不純物が混ざるため、光ファイバーは、今は別の方法で作られています) 一方合成水晶はちょっと違います。 オートクレーブと呼ばれる釜の中で400度、1000気圧という高温・高圧の環境を作り出し、2〜4ヶ月間の時間をかけて、中に吊した小さな結晶を種に、徐々に大きく結晶させていったものです。 ですから、合成水晶は人工的な環境下ではあるけれど、天然のものと同じように結晶した、れっきとした水晶(石英)です。「天然石」とは言えませんが、水晶であることは間違いがありません。
むやみに疑うなかれ ……と、こういうことを書くと、自分の持っている水晶(磨きやビーズ)は本物か偽物かと心配になる方もいらっしゃるかもしれません。 ですが、注意はしなければなりませんが、むやみに疑うのも考えものです。 まず、第一に水晶(石英)は、質を別にすれば地球上に大量に存在するものです。 ある意味、合成水晶の方が平均的な単価は高いのです。つまり、単価が安いタンブルやビーズを合成水晶で作っていては損になります。 クラックが多かったり、透明度が低いものも合成水晶ではあり得ないでしょう。 人工的に結晶させることで純度を保つことが合成して作ることの意義です。 わざわざ質の低いものを作ることはあり得ません。従って、工業原料以外では合成した水晶でも元が取れる、宝飾品などが主な用途になるのではないでしょうか。 また、工業用の人工水晶は、普通の水晶とは形が全く違います。溶融水晶(練り水晶)はガラスなので、結晶形はあり得ません。 よって磨いたのではない自然の結晶や、クラスターに対して、「これは人工では」「練り水晶だったりして」と心配するのは、(今のところ)ちょっと的がはずれています。 「偽物(人工物)」を疑うのではなくて、放射線や加熱による加工を疑うならわかりますが。
このように、水晶だけを例にとっても、形や色によって心配するポイントが異なります。 「偽物がある」→「自分が持っている石も偽物では」と短絡的に疑うのではなく、その偽物がどのようなものであるかを知り、それが自分の石にも当てはまるのかどうかを一応判断してみた方がいいのではないでしょうか。 疑うなら、賢く疑え 時には、もっともらしい説明付きの偽物の噂がありますが、むやみに疑うのではなく、賢く疑いましょう。 偽物が商業的に成り立つ条件とは何でしょう。 ◆「偽物」が「本物」より安い 原材料はもちろん、加工しても本物より安い。安く作って高く売る、思いっきり安いものを本物より安く多売するから心ない業者が儲かるのですから、本物より高く付く偽物なんて本末転倒です。 ◆専門家は無理でも素人目はだませる程度には似ている 素人が見てもバレバレな偽物は売れません。 ですから、「この噂の偽物は、本物にそこそこ似ていて、安く作れるものだろうか?」と疑ってみるわけです。 たとえば、水晶の偽物に別の石が加工されて使われている……という話があったとします。 しかし、上でも書きましたが、石英は大量に産出する石です。合成もできます。溶かせばガラスで似ています。高いと言ったってダイヤモンドなどの宝石に比べればたかが知れています。 そんな水晶に加工までして似せて、しかも安く作れて、素人目ならだませる石とは? 天然水晶だ……といいつつ、天然ベースに色の部分を人工的に結晶させたものだった。 合成水晶/練り水晶/ガラスだった。天然水晶に放射線照射や加熱をしていた。 これならわかります。それなら似ているし、安くできるでしょう。何たって原料は水晶(石英)です。 でもこれは「他の石を使った偽物」とは言いません。 特別な処理を行えば可能……そんな石があったとしてもコストが高く付きます。どうせ作るなら、安い水晶よりもっと高い宝石の偽物を作った方が儲かります。 考えてみても、加工コミで水晶より安く付き、しかもちょっと見間違えそうな石……の見当が付きません。 万が一そういう石があったとしても、その偽物に出会うことの方が難しそうで、逆にレアかも(笑) 同じ理由で「人工のルチル入り水晶があるそうな……」という噂も「?」。 本物と間違うような「人工のルチル石水晶」を作る方法を考えると……気が遠くなりそうな手間がかかりそう。少々質の低いルチル入り水晶を持ってきて、勝手にAAAA!とランクをつけて高く売った方が手っ取り早いのは間違いありません。
実は疑った方がいいときもある 「クラックが入っていれば(クラックに虹が出ていれば)本物」「内包物が入っていれば天然水晶」……という「見分け方」を耳にすることがあります。 しかし、実はこの点についてはチェックしてみた方がいい場合もあります。 クラックは、要するにひびですから、入れようと思えば人工的に入れることができます。虹は、ひびの部分で光の干渉がおこって見えるものですから、人工的に入れたひびであれ、ガラスのひびであれ、そのメカニズムが発生すれば、虹が見えます。(天然のクラックとは、ちょっと感じが違いますが) 内包物については、ガラスにも内包物はあると申し上げましょう。(特にビーズ) ビーズの「チェリー・クォーツ」などが良い例です。 たとえば、写真のビーズは、自然な内包物に見えますがガラスです。 さわった感じが水晶ではない手ざわりで、若干軽いかんじだったので、オブシディアンの一種かと思っていたら、「ガラス」の表示でした。 また、こちらのガラス玉には、かなり天然っぽい内包物がみられます。 (こちらは、天然ガラスである可能性もあります) ですから、天然と表示されているから、クラックがあるから、内包物があるから……と、それだけで判断するのではなく、どうしても天然の石(水晶)が欲しいのであれば、天然と表示されていても溶融水晶を天然としている店もあるのだということや、天然のクラック、天然の内包物がどのようなものかを一応は知っておいた方が良いと思います。 上手に聞こう、理解しよう 疑わしい場合は、お店の人に聞いてみましょう。(※ビーズの場合は、聞いても不明なことが多いと思います) 買った石が天然か否かを聞く場合、単刀直入に「偽物じゃないんですか?」と聞いてしまうのは考えもの。本物だった場合、お店の人は突然疑われて困惑してしまうことでしょう。 ですから、問い合わせる場合は、 ●どういう話を聞いて疑問に思ったのか ●自分の石の、どこが偽物情報に合致したのか ●どういう点を聞きたいのか を順序立てて、説明しなければなりません。 たとえば、「水晶には練り水晶というものがあると聞きました。内包物やクラックがなくて、細い線を透かして見たとき、どこから見ても線が二重にだぶって見えないということなんですが、○月ごろそちらで買った水晶の丸玉も、線が二重に見えません。これは天然の水晶ではなくて、練り水晶なんですか?」……というかんじ。 このように聞くからには、練り水晶の特徴を知って (たとえば、自然な形のポイントやクラスターで練り水晶はあり得ません)、ちゃんと線を透かし見てテストしてみなければならないことは、いうまでもありません。 仕入れ先の情報が間違っていてお店も気づいていない場合もありますので、どうして、どこが疑問なのかをわかりやすく説明してください。 必要であれば、疑問に思う原因になった情報元を連絡してみてもいいでしょう。もしかしたら、情報の方が間違っていたりするかもしれません(汗)。(※私の情報が間違っていたら教えてください!) また、加熱などで色を変えた水晶は、天然水晶として扱われる場合が多いですし、お店によっては「うちは練り水晶も水晶として扱っています」というところもあるので、意見のすれ違いでこじれたりしないよう、しっかり聞いてみてください。 店頭などで聞く場合、ちょっとしたコツがあります。 「天然ですか」と聞くのではなく、「溶融水晶というものがあると聞いたが、そうではないのか」 「このような内包物は見たことがないが、一体どういう鉱物か」 などと、こちらがある程度知っていることを示すと、お店の人も、しっかり答えざるを得ないでしょう。 あるいは、「加熱などの処理をされていないシトリンを探しています。このシトリンの色は天然ですか?」と、自分がどういう基準で石を捜しているかをはっきり示すことも有効です。 真剣に石を選びたければ、選ぶ側も真剣に知識を備えておくこと。 石を選ぶ感性とは別に、これも石を見る目を養うことだと思います。 |
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