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グラウンディング〜八角形の大地
その2




「8」の持つ意味。

キリスト教と八角形についてもう少し調べてみました。
8という数字は、天地創造の7日間にキリスト教の復活日を足したもので、復活を意味する重要な数とされています。
マタイ伝には「八つの至福の教え」が説かれ、ノアの箱舟で助かったのは8人など、「八」は中世キリスト教の象徴的な数字だったそうです。
また、八角形は円の中で二つの四角形を90度ずらして交差させるとできあがる図形です。
円は永遠の神を象徴し、四角は世俗的世界を意味し、さらに天国への4つの方向や人間の4つの性格を表しているといいます。
そのことから、世俗の世界と神の世界を結ぶ権力を象徴する図形と考えられていたこともあるようです。
(教会の建築には八角形のドームが見られます。)
さらに、ギリシャ語でキリストと書くと、数秘論的な数値は888となるそうで、このあたりが、「八角形」がイエスの象徴であるとされるゆえんなのでしょう。

面白いことに、イスラム教、中国の道教、儒教、もちろん日本に置いても「8」は吉数です。
水戸黄門でおなじみの水戸光圀の「くに」は、国ではなく則天武后が制定した「則天文字」の「圀」ですが、よく見るとここに「八方」の文字が用いられているのも、偶然とは言え、興味深いです。

テンプル騎士団の意味

このように8(八角形)は、イエス及びキリスト教と深く関わる数であり、図形であることがわかりましたが、このことを踏まえて考えると、水晶のグラウンディングで言われる「大地の力」の「大地」とは、その言葉から受ける「大自然の大地」とはニュアンスが違うのではないでしょうか。

「大地の力」といえば、どうしても私たちが生きる自然としての大地を思い浮かべます。
「イシス」のところでは、「グラウンディング」という言葉を「大地に生きる実感」「母なる大地とのつながりを求めること」であると考えましたが、八角形の「グラウンディング」が意味するものは、言葉としては同じでも、大自然の大地ではなく、「神がしろすめす大地」……と言うイメージが強くなるような気がするのです。

そのイメージを裏付けるように思われるのが、八角形はテンプル騎士団の十字架のシルエットであるという意味づけです。
テンプル騎士団は、正式名称を「キリストとソロモン神殿の清貧騎士団」といい、日本ではあまりなじみはありませんが、ヨーロッパ人にとっておなじみの存在であるらしいのです。
(ちなみに「テンプル騎士団」をYahooで英訳してみたら、なんと「K.T.」と出ました。他の翻訳サイトでは「Knights Templars」でしたが、こんなシンプルなイニシャルでピンとくるのだとすれば、よほど有名なのだろう……と考えてしまいました)

テンプル騎士団は、1118年、9名の騎士たちがエルサレム国王のもとを訪れ、聖地における巡礼者の保護と街道の警護を目的とする騎士団の創設を宣言したことに始まります。
国王は、かつてソロモン神殿が立っていた「神殿の丘」の一角を騎士団に与え、ここに騎士団の本営が築かれたことから、テンプル騎士団という通称で知られることとなりました。
テンプル騎士団は、白地に赤い十字架を描いたマントをトレードマークに十字軍の主力として聖地パレスチナで活躍し、1244年のエルサレム奪還、1291年の十字軍運動集結によって、テンプル騎士団はキプロス島に本営を移し、1312年に騎士団最後の大総長らが処刑され、その歴史を閉じたと言います。

テンプル騎士団は、巡礼者や王侯貴族の寄進、入団希望者たちの放棄した私有財産も吸収して巨万の富を手中に納め、12世紀中頃には、中世最大の国際金融機関と化していたとか、テンプル騎士たちが、本営を置いていたソロモン神殿を発掘し、財宝を得ていたのだとか、興味深い話はいろいろあるのですが、私が注目したのは、テンプル騎士団が聖地における巡礼者の保護と街道の警護を目的としたという点です。

先に述べたように、「八角形」は「神のしろすめす大地」であり、同時にテンプル騎士のトレードマークである十字架のシルエットであるとしたら。
「大地にグラウンディングする」という水晶の意味にどんなイメージが生まれるか。

心の大地に根付く

テンプル十字がテンプル騎士団のマークであるならば、そのマークを身につけるものは、テンプル騎士です。
テンプル騎士は、聖地に向かう旅人やその道筋を警護します。
聖地とは、まさしく神のしろすめす地の中心。
ヨーロッパ人……というか、キリスト教文化圏にある人にとって、自らの文化、精神性を作ってきた基盤を象徴するものであるはずです。

私はそこに、「自らがよって立つ精神の基盤に立ち帰ることをサポートする」という意味合いを感じました。
つまり、「グラウディング」の名前を持つ水晶が導く大地は命が生きる大自然の大地とはニュアンスを異にし、その人の思考や感覚を作り上げてきた、いわば「精神の大地」という意味ではないかと思うのです。

そして、十字架のシルエットを持つ水晶は、「精神の大地」へ至る道筋をサポートする騎士であると。

同時に、懸念もあります。
ヒーリングの分野が属する「ニューエイジ」は、神秘学や錬金術にもつながる、いわばヨーロッパ文化圏(キリスト教文化圏?)に深く根を張る考えです。
欧米の人が「八角形」や「テンプル騎士団」について知ったときにイメージする事柄は、日本人である私たちに比べて比べものにならないくらい広く、深みのあるものだと思います。
それを考慮せずに、ただ表面的なイメージや意味合いだけを受け取ってしまって良いものか……。

「グラウンディング」という言葉に踊らされるのではなく、逆にその言葉が自らに根付く基盤を整える努力をすることこそが、われわれにとっての「グラウンディング」なのかもしれません。


2006年3月3日、ブログ掲載

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