ウラルの大地に起こったこと
話は、ロシレムの産地がチェリャビンスク州らしいと言うことがわかり、地図を作ったところまで来ました。
ピンクの星印Uyskiy(Ushniy?)が、ロシレムの産地かもという場所です。
さて、アスターフィエフ産の水晶は中央ウラルだと言っていたのに、と思われた方もいらっしゃったかもしれません。確かに、ピンクの星がUshniyであれば、南ウラルになってしまいます。
チェリャビンスク州は、ほぼ全域が南ウラルで、北部がわずかに中央ウラルにかかるかどうかという感じです。実は、チェリャビンスク州の最北部には、「U」で始まる地名が2か所ほどあって、こちらである可能性もあります。その位置は、ちょうど中央ウラルと南ウラルを示す線が接しているあたりです。
そして……「Ushniy」や「アスターフィエフ」など、より細かい地名を探して検索を続けていた私は、とんでもない情報に行き当たりました。
チェリャビンスク州には、旧ソ連の核施設があったのです。
1945年、ウラルの森の中に、地元ロシア人も入ることのできない、むろん地図にも載せられることのない秘密都市が造られました。
原子炉・プルトニウム再処理工場・核燃料転換工場を備えたそこは、マヤーク(灯台)と呼ばれ、ここから出る大量の液体放射性廃棄物が川に垂れ流され、下流の村々を汚染、周辺住民12万人以上が被曝し、白血病、ガン、先天性異常などに倒れたと言います。
さらに、三度にわたり大きな核事故が起こり、広大な地域が汚染されました。
ここに原水爆禁止2001年世界大会国際会議で発表された被爆の体験記をリンクします。
(追記:上記がリンク切れしているようですので、新たな参考となるところをリンクします。(2007.7.1)
◇隠された半世紀・ウラルの核汚染
◇21世紀 核時代 負の遺産 旧ソ連編
女神への冒涜
最初に「核」そして「事故」という文字が目に入ったときに絶句しました。
何も言えませんでした。
その核施設があった場所が、地図上の青い星印のオジョルスク市キシュテム市の近くです。
残念なことに、核施設はマヤークだけではありません。ロシア国内あるいは世界各国に点在し、中にはマヤークよりもひどい被害が出ているところもあります。
チェリャビンスク州は北海道よりさらに広く、当然、我々の生活感覚的距離では、マヤークとチェリャビンスク、あるいは (特定できていませんが) ロシレムとの産地はそうとう離れています。
もちろん、ロシレムが放射能の影響のある土地で採掘されたのだということもないでしょう。
ですから、この事故とロシレムを直接結びつけてイメージを作ってしまうのは、あまりに短絡的であると思います。
しかし、(この事件を軽んじる気は全くありませんが) 9・11の同時多発テロの翌日に遙か遠く、それこそ地球の反対側であるとさえ言えるアメリカにロシレムが届いたことを「偶然ではない」と言い、ウラルの女神の名前までも持ち出して、ロシレムの「神話」を語るのならば、マヤークの事故はどうなるのか。
ロシレムのリーディングが語るウラルの女神は、山々とそこで働く人々の守護者であり、山で働く人、ウラルの峠を越える人々は、彼女に捧げものをして祈るのだと言います。
その聖地であるという「ブルー・エンジェル」という場所が、どこであるかはくわしくはわかりません。
仮に、ピンクの星印の場所か、最初に述べた「U」で始まる地名の場所(南ウラルと中央ウラルの円の接するあたり)、あるいはブルー、エンジェルの伝説のもとになったとも言われるウラルの民話の場所がロシレムの産地かもしれないならば、それらの場所とマヤークは、広大なウラル山脈の中では、かなり近いと感じます。
つまり、マヤークの事故は、ロシレムの産地に物理的影響を及ぼすほど近くはないかもしれませんが、神話やリーディングというイメージの世界の視点で見れば、
ウラルの女神が守る土地とそこに生きる命を、人間は放射能で汚したのだ。
……と言えるのです。
しかし、ロシレムのリーディングは、そのことに関して何も触れていない。
この事実は、ロシレムのリーディングに疑問を投げかけます。
日本の片隅にいる私ですら、インターネットの検索だけでこの事実に行き着いたのです。
実際に現地での採掘を指示したであろう、Crystal Cave社ならば、マヤークの情報を手にすることは難しくなかったはず。そうでなくとも、石からレムリア人とウラルの女神を読み解くリーディングならば、石を擁する大地の事故に気が付かなかったはずがありません。
ロシレム・メッセージの影
ロシレムのリーディングは、
「同時多発テロの翌日にもたらされたことは偶然ではない。
火には火をもって反撃してきた、我々のやり方を改め、今こそハートの道を歩むときであり、全てのことが愛を通じて行動されるべきとき。青き女神が宿る石は、互いに結びつきながら、世界中に愛と平和のメッセージを送っている。(注:KUROの勝手なまとめです。あしからず)
……という、心地よいメッセージです。
愛と平和を訴えるメッセージが間違っているとは思いません。それは確かに重要なことです。
同時多発テロを切り口に訴えていく手法も、注目を集め、印象づけるという点では的を射てはいます。
しかし、国際状況を配慮したのか、あるいはロシレムのイメージダウンを考慮したのかはわかりませんが、マヤークの事故に口をつぐみ、そのくせウラルの女神を持ち出してロシレムのメッセージの一端を担わせたことについては誤りであると思います。
実は、ロシレムのメッセージは、微妙に人の意識をくすぐっているように思えてなりません。
ロシレムは、特別な力を帯びた石であり、その石を手にする人も、特別な使命を帯びている。
ウラルの女神は、ロシアンレムリアンを持つ全ての人々を教え導き、愛と栄誉を与えるために、青い光となって宿っているのだ……と。
Catherine Cracolice 氏のリーディングを注意深く見ていくと、その意味づけのために、ウラルの女神の名前が大きな役割を果たしているように思われます。
その女神に対して、人間は、大きな冒涜を働いているのです。
私は、以前イシス・フェイスから女神について考えたとき、古き女神は、暗く厳しい一面をも兼ね備えた存在なのだという認識を新たにしました。
今でこそ、女神と言えば、やさしく慈愛に満ちた存在がイメージされます。しかし、「生」がもっと密接に大地と結びつき、人々が大地に「大いなる母」のイメージを重ね、祈りを捧げていた古い時代、女神は恵みを与え時に荒ぶる自然そのままに、慈愛を与え、生み増やすやさしく豊かな存在であると同時に、時に厳しく断罪し、命を奪うことさえある、厳しく恐ろしい存在でもあったのです。
その認識に基づいて考えたとき、己の体と女神が守護する命を汚されたウラルの女神が差し出すメッセージが、ただ無邪気に愛のみをうたうものであるとは思えません。
冒涜された女神が人を愛さないというのではなく、マヤークの事故に対して口をつぐみ、ウラルの女神が慈母のごとき優しく美しい存在であるかのように表現することで、女神を介して発信されたロシレムのメッセージが、ゆがめられているのではないか。
ゆがめられているとまでは言えなくても、華やかなイメージに隠されて見えない部分があるのではないか。
ロシレムが宿す力の意味、そのメッセージには、忘れられている一面がある。
それを見るためには、ウラルの女神のまなざしの奥を、のぞき込む必要がある。
かくして、検索の単語は、ウラルの女神へと移り変わることとなったのです。
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