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厳密には「鉱物」ではありませんが、「石」の世界では、オブシディアンやモルダバイトなど、天然のガラスも魅力的な地球のかけらとして扱われ、ゴールド・サンド・ストーンやチェリー・クォーツ、オブシディアン・オパールなどのガラスもパワーストーン売り場で見かけます。 しかし、「天然」として売られていたのに実はガラスだった……という場合は、皆さんの判断もやや微妙。人工ガラスにパワーストーンとしてのパワーはあるのかについても諸説さまざま。 最近では、アンダラ・クリスタルや「火山瑠璃」なるものも見かけます。これらは、天然なのか人工なのか判然としないので、時折物議を醸します。 これらのガラス質の「石」は、アメリカ・シエラネバダ(アンダラ)、インドネシア(アンダラ、アクアレムリア)。中国(火山瑠璃)、ペルーなどで見つかると言われています。 あちこちで出るんだねえ……と思っていたら、なんと、ブラジルにも地中から出てくるガラスがあるよ、という話を聞いてびっくり。 しかし、天然か? 人工か? と頭を絞ることなく、「人工である」ということと、その由来を教えていただくことができました。 なぜ、人工のガラスが地中から出てくるのか? それにはこんなわけがあるのです……・ ※以下の文章は、ブラジル産の人工ガラスについて教えてくださった石屋さんのメモをそのまま掲載しています。KUROの追記については明記しました。掲載を快く了承いただき、ありがとうございます。 |
そもそも天然ガラスは、 ◆オブシディアン(黒曜石・火山ガラス) ◆モルダバイト・テクタイト(隕石の衝突によるインパクト・タイプ) ◆リビアングラス(隕石の衝突によるインパクト・タイプと思われる) ◆希に酸性岩脈中に胎胚しているもの(……があるらしい) といわれている。 ”Land Glass”は、ブラジルでは、時々鉱夫たちが、水晶や他の宝石鉱物を掘っているときに見つけたと言って、持ち込むことがある。 地表ではなく5〜6メートル、時には10メートルくらいも掘った地中で発見されるため、天然のガラスだと主張され、現場を見学すると、確かに土中深くから採掘されている。 現地では、天然か人工かは鑑定できないため、ポルトガル語で”Vidro na Terra”として取引されている。 それをアメリカ人のバイヤーがそのまま英訳して”Land Glass"と名付けて売買しているらしい。 (※KURO注:Land Glassで検索したが、それらしきガラスが見つけられなかったので、どのような状態・名前で流通しているかは未確認→この点について追記あり) 検査の結果、これは天然ガラスではなく、人工ガラスであることがわかった。 由来は、戦前、ブラジルで大規模なゼネストが発生し、すべての工場が操業停止となったとき、ガラス工場では、釜の中にガラス原料を入れたまま停止すると中のガラスが固まって、再び操業する際、釜がダメになるため、中のガラスを捨てる必要に迫られ、ミナスジェライス州にあったガラス工場は山中の谷底に投棄した。 その後数十年で谷底は土砂で埋まり、現在、何も知らない鉱夫達に掘り出されて、市場に出てくる次第である。ブラジルの業者も悪気はなく、土中から出たガラスということで”Vidro na Terra”として取引しているのが実情。 長い間、土中にあったため、表面が風化したものや周りの鉱物が付着したものがあり、見ただけでは天然のガラスか否かなかなか判定は付けにくい。 結果、神秘的な天然のガラスというわけにはいかないが、ビーチ・グラスやアンティーク・ガラスの感覚で見れば、それなりのコレクションの対象にはなるかもしれない。 以上、いただいたメモより。 |
ブラジル産の「Vidro na Terra」は、このように、人工ガラスであること、なぜ地中から発見されるのかの由来がはっきりしています。 一方で、古いガラスは現在のガラスとは若干成分が違うため、分析しても人工であるか否か、はっきりとした結果が出にくいこともあるそうです。 ともあれ、今後もし「ブラジリアン・アンダラ」とかなんとかそういうものが出てきたときには、この話を思い出し、つっこんで確かめてみてください。 追記:「Land Glass」「Ground Glass」で検索しても、海外サイトでヒットしません……といっていたところ、メモをいただいた石屋さんが現地で聞いてきてくださいました。 結果、「アンダラとして売られているそうだよ」とのこと。 出た!……というか、やっぱりー! アンダラとして売られているもののすべてが、ミナスジェライス産の投棄ガラスだとは思いませんが、中にはアンダラクリスタルに化けて売られているものもあるようだ、ということで。 そのときのブログ記事を収録。 追記:最近、「Vidro na Terra」がアンダラ関係のサイトさまで話題になっていたことを知りました。それを拝見して、改めて強調しておきたいことがあります。 ●ブラジルではこれを「自然ガラス」と言っているわけではない ●ブラジル側がアンダラと称してアメリカ人に売っているのではなく、 アメリカ人バイヤーが来て買っていき、アンダラとして売っている。 ●ここでは、アンダラがすべて「Vidro na Terra」だと言っているわけではない。 言わずもがなですが、今回の情報は石屋さんの好意にて教えていただき、掲載の許可をいただいたものなので、より正しくご理解いただきたいと考えた次第です。 |
Vidro na Terra に見られる表情 ※以下はKURO所有の「Vidro na Terra」です。色はこれ以外にもあるようです。 |
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まれにこのような星砂のような内包物が見られることがある。これは、クリストバライトらしい。(追記:別の方の話ではガラスに混ぜられる無水炭酸ナトリウムではないかとのこと。人工ガラスはソーダガラスと呼ばれるがその「ソーダ」である) | 2色のガラスが混じり合って内包物のように見えるものもある。 (インドネシア・アンダラやアクアレムリアでよく見るとうっすらと墨流しのように色が混じっているものがあるが、このような2色のガラスが混ざった結果ではないかと思える) |
気泡入りもある。水晶のように内部にすきまがあって、そこに気泡が見られるのではなく、直接、丸い気泡が内包されているのがガラスの特徴。 |
風化したような面を持つものもある。 Vidro na Terraでは、破断面に、適当な大きさに割るために使ったと思われる鑿かなにかの痕が残るものがある。 |
土などが食い込んでいるものもある。全体的に美しいものが多いアンダラや火山瑠璃に比べて風化面や汚れなど、ある意味「天然っぽい」感じにも見えてしまう。 | クリストバライトが表面に見えているものだろうか。(追記:別の方の話ではガラスに混ぜられる無水炭酸ナトリウムではないかとのこと。人工ガラスはソーダガラスと呼ばれるがその「ソーダ」である) |
ちょこっとぼやき。 ……ひとこと言わせてください。 アンダラの名前で売られていることもあるそうだ……と書いたおかげで、 「Vidro na Terra」がアンダラの偽物として見られている節があるようです。 仕方がないと言えば仕方がないのですが、ちょっと釈然としません。 なぜなら、私が持っている「Vidro na Terra」は、 アンダラとして売られていたものではないからです。 ブラジルの地中から出てきたガラスであり、その由来も明らかで、 そういうものならば、ぜひ、とお願いして手に入れたものです。 つまり、一度も「アンダラ」と呼ばれていない、堂々の人工ガラスなのです。 だから、むしろ アンダラの偽物ではなく、本物の「Vidro na Terra」である、と言いたい。 |
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さらにひとこと。 現在、得ようと思えばさまざまな情報を得ることができます。 買う側としても、疑問に思うのであれば、積極的に情報を求め、(肯定的なものも否定的なものも) 自分で納得のいく判断をされることをおすすめします。 |
※「Vidro na Terra」続報のブログ記事(2007年12月18日、ブログ掲載) ブラジルはミナスジェライスの地中から出てくる人工ガラス、「Vidro na Terra」についてちょっと続報。 教えていただいた石屋さんがそのガラスを見た石の卸元では、天然とも人工ともわからないので、とりあえず「地中から出てきたガラス」ということで「Vidro na Terra」と呼んでいたそうですが、それをアメリカ人のバイヤーが買っていき、「Vidro na Terra」を直訳して「Land Glass」「Ground Glass」と言って売っている……とのことでした。 しかしその名前で検索してみてもヒットしてこないので、「検索しても出てこないんですよ。どういうところで売られているんでしょうね」と言っていたら、仕入れの際に聞いてきてくださいました。(ありがとうございます) 「あのガラス、なんて呼ばれて売られているかわかったよ」 「え、何ですか」 「アンダラだって」 ……出た。 そのときの心境は、まさしく「出た」。 念のため申し上げますと、この石屋さんは、アンダラをあまりご存じではありません。 なので、先入観なしに卸元で聞いてきてくださった情報そのままです。 なんというか、地中から出てきて、塊で……見た目そっくりと思っていたら、ズバリ名前が出てきたので、思わず「げ、出た」と思ってしまいました。 「えーと。アンダラって、アメリカのカリフォルニアのシエラネバダ産らしいんですけど」 ……と、思わず。 アンダラが元からブラジル産と言われていて、実はガラス会社が捨てたガラスでした……というのなら、ああ、そういうことかと思わず納得ですが、ブラジルで見つかったものをわざわざシエラネバダ産……と言うものかどうか。 それに対しては、 「もしかしたら、シエラネバダでもガラスが出るのかもしれない。 でも、ミナスのガラスもアメリカに流れていて、アンダラの名前で売られているらしい」 とのことです。 聞くところによると、本家アメリカのアンダラは、シエラネバダの「ネリー・ランド」と呼ばれるところで採れたもの。 見かけが見かけなので、本家ではないものも市場に出ていて、それはさすがにシエラネバダ産ともネリーランド産とも言えずに、「カリフォルニア産」で出ているとか。「Vidro na Terra」が化けたのはこちらでしょうか。 アンダラと呼ばれているもののすべてが「Vidro na Terra」かどうかはわかりません。地中から出るガラスも、一カ所だけでなく、ミナス・ジェライス内でも何カ所か、そのほかでも出ているのかもしれません。 ただ、少なくとも「Vidro na Terra」が「アンダラ」に化けている、そういう事例もあるようだ……ということで。 かつて、アゼツライトの人気が高まった初期に、ブラジルの似たような見かけの石英がアゼツに「化けた」ことがあったそうです。 全部が全部ではないけれど、悲しいことに「化けている」石もいるらしい。 ガラス状の塊や、ぶっかき石英では、見た目で産地特定は不可能でしょうねえ……。 |
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