あだ名の条件 すでにいくつかご紹介していますが、変なもの好きの我が家の石の中で、ひときわへんてこりんな石には「あだ名」が献上されます。 「あだ名持ち」であることは、形はもちろんその成長のしかたもへんてこりんであることを証明された、いわば「変な石の王道」をいく石であることの称号です。 ……ところが、このたびちょっと毛色の変わったあだ名を持った石が誕生しました。 毛色が変わっているというのは、あだ名の付き方です。 「あだ名」がつくには、形も変、成長のしかたも変、という他にも「そのへんてこりんぶりを表す用語がない」という条件があります。 ところが、今回ご紹介する石には、インターフェレンス・クォーツという名前……というか、言い表す用語があります。 用語があるからには、珍しいものではあるけれど二つとない、というほど珍しいわけでもなく、いくつかへんてこりんな兄弟石たちが存在するということです。 本来ならば、この時点で「あだ名持ち」候補から脱落するはずなのです。 なのに、なぜ「あだ名」がついてしまったか。 それは、今日の石が用語はあれど、その用語でくくられる石の中でも異彩を放つものであることがひとつ。 あだ名が付くに至ったエピソードがひとつ。 そしてその名前のみごとさ……です。 そう。そのあだ名とは「男の水晶」です。 干渉の痕跡 インターフェレンスとは「干渉」という意味で、インターフェレンス・クォーツとは、カルサイトなどに成長を阻害され、後にそのカルサイトが溶けてなくなったため、ちょうど刃物かなにかで平行に切り刻まれたような特徴的な痕跡を残した水晶のことです。 有名なものは、ロシアのダルネゴルスクで産出するのですが、これはブラジル産。 インターフェレンス・クォーツはあちこちで見られるので、水晶ならなんでもありのブラジル産というだけでは、目を惹くことはありません。 何が異彩を放つかというと、まず、その大きさ。 左下の手に持った画像を見ていただければ、かなり大きいことがおわかりいただけるかと思います。 私は、こんなに大きいインターフェレンスクォーツを見たことがありませんでした。 もう一つは、そのインターフェレンス(干渉)の大胆さ。 先ほど「刃物で平行に切り刻まれたような」と形容したように、本来はもっと鋭い、筋のような干渉痕なのですが、この石の場合は、私の指が埋まるほど。 刃物は刃物でも、大地という彫刻家が荒々しく鑿をふるって削りあげたかのような形なのです。 本来ならとがったポイントを作るはずの先端は、カルサイトに行く手を阻まれ、平らになっています。 しかしそれでもなお先へ先へと伸びようとしたのか、先端は螺旋階段のようにも見えます。 言うなれば「ねじ」。 一目見た瞬間、大地に食い込む、うなり声にも似た低いきしみを感じたほどの、猛々しさを感じる造形。 とある即売会で、帰る寸前にこの石を見つけた私は、そのときは時間がなくて買わずに帰ったものの、どうしても忘れられず、次の日も出かけて買ってしまったのでした。 ふつうはね。 「コレ下さい!」 と叫んだ私に、石屋のご主人は、「普通、こういう石は女の人は選ばない「男の水晶」だよね」 と苦笑い。 もちろん、悪い意味ではなくて、この形がカルサイトによるものであること、先端の形状がカルサイトに阻害されたにしても変わっていて、そのため、この石は資料としてしばらく非売品であったことなど、いろいろ教えていただきました。 そういえば、某石の掲示板にお世話になり出した当初、いきなりワイルドな石がすき、クローライトが好み、などといっていたので、私のことを男性だと思われた方がおられたようです。 だからいいんです(?)。「男の水晶」だって。 奮発して写真をもう一枚。先端部分から斜めに写してみました。 いかがでしょう、大地に食い込むこの石のパワーが感じられないでしょうか。 (2005年3月3日、ブログ掲載) |
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