この水晶は? オーストリア産の水晶です。カンガルーやコアラのオーストラリアではなく、音楽の都があるオーストリアです(文章を打っている自分が間違いそうになったので)。 スイスのお隣ですから、これもアルプス水晶の一種になるんでしょうか。 そう思ってみても、あまりアルプス水晶っぽくは見えません。 スモーキーでも、緑泥が付いていても、エレスチャルでも、どこか凛とした雰囲気がある(……と思っている)のがアルプス水晶であるとすれば、この水晶はその印象からはずれています。 普通の水晶から見ても……異形と言わざるを得ないでしょう。 いろんな方向やアップの写真を並べてみましたが、何がなんだかおわかりでしょうか。 「ぶっかき氷風」のかけらじゃありません。 蝕像でもありません。 セプター水晶なんだそうです。 セプター水晶といえば、別名を「松茸水晶」「キノコ水晶」と言われるように、一旦成長を終えた水晶の上に被さるように別の水晶が結晶したものです。 中には二度目に成長した水晶の方が小さいものもあります。 ……で、写真の石のどこがセプターなんでしょうか。 えっ!? セプター? 先ほど蝕像と書きましたが、これは、結晶のまわりを満たしていた熱水の組成が変化し、結晶が成長するのとは逆に、溶かされた途中のものです。 アクアマリンなどで時折見かけます。 ちょうど、氷の塊に流水をかけると、外側から徐々に溶けるのではなく一気に溶けてスポンジのような網目状になる瞬間がありますが、ちょうどそんな感じの複雑な形をしています。 私はこれをアクアマリンに特有のものかと思っていたのですが、水晶でも同じようなものを見かけました。 実は、この水晶もそれと同じ蝕像かと思ったのです。ところが……じっくり見ると、溶けたのとはちょっと違うようです。どちらが上でどちらが下なのかすらわかりませんが、かろうじて「柔らかなソロバン型の水晶をいろんな角度に幾重にも重ねてつぶした」ように見えます。 複雑な形ですが、割れたとおぼしき断面はありません。こんな形でノーダメージなのです。 見れば見るほど不思議です。 ちょっと前に蝕像の水晶を見ていなければ、水晶だと気づかなかったかもしれません。 ※追記: 触像だ、セプターだといろいろなことを書きましたが、やはりこの水晶は触像、つまり溶けた水晶だそうです。ヨーロッパの方では、このような形状に溶けた水晶をセプターと呼ぶ場合があるのだとか……。紛らわしいです。 だって、ぴったりサイズだったんだもの 最初見つけたのはこの水晶の大型のもので、長さは約20cmほど、値段は5ケタの大台を超えていました。とてもじゃないけど手が出ません。 しかたがない、目に焼き付けて帰るか……と思っていたら、いました、KUROサイズ!長さ約7cmの手乗りサイズで、お値段は大きいものの10分の1を大きく下回っていました。 よくぞいてくれたものです。(お店の人の話では、小さいものはほとんど出ないそうです) ホクホクしながら家に連れ帰り、さっそく撮った写真がこの写真なのです。 やはりというか、どんな形なのかさっぱりわかりませんね。ちなみに、肉眼で見てもわかりません。 表面は磨りガラス調でなめらかな面はありません。にもかかわらず、複雑な表面の凹凸が石の内部に光を反射させて、カメラを通すとみごとにきらめきます。 まさしく輝きの迷宮に迷い込んだ気分! エラそうに言ってしまいましょう! この水晶は、美しい! (2004年12月2日、ブログ掲載) |
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