メキシコ産 ファイヤーアゲート

燃える虹の色




 地味派手アゲート

驚くほど多様なのに、いまいち地味な印象を持ってしまう瑪瑙。
その原因は不透明度が高いせいでしょうか? 結晶の形を持たないせいでしょうか? たくさん産出するために希少性が少ないせいでしょうか?
それとも、アースカラーの色合いが多いせいでしょうか。
瑪瑙と水晶が並んでいたら、水晶を手に取ってしまう私が言ってもあまり説得力はありませんが、魅力的な色合い模様の石も見られるだけに、ちょっと残念な気もします。
あ、残念だと思うのは、着色された瑪瑙があまりにも多いこと。
紫だの青だのショッキングピンクだのに染められた石を見るたびに、「もうちょっと色を考えてよ……」と思ってしまいます。
(染める場合は、塊のまま色液につけ込むので、どんな風に染まったかは、割ってみるまでわからないそうです)
まあ、それはそれで装飾品だと割り切ればいいのかもしれませんが、個人的にあまりきれいだと思わないのが、加熱によって赤く変えられたサードオニキス(赤縞瑪瑙)のビーズ。
染めではなく、もともと石に含まれていた鉄分を加熱によって酸化させて発色させているわけですが、ちょっと毒々しく感じてしまうのは、人工的な発色だからという先入観のせいでしょうか。
自然のサードオニキスは、そうは感じないのですが。

 アゲートの中の変わり者

さて、良くも悪くも親しみやすい石である瑪瑙にも変わり種がいます。
ファイヤー・アゲートです。
瑪瑙が地味な印象だからといって、この石を地味だということはできないでしょう。
素直に「きれい」と言えるかどうかもちょっと微妙です。
まるで、地底の泥の中から泡立ち、湧出してきたかのような虹の色。ちょっと毒々しいような、ぼこぼこ沸き立つようすが一歩間違えば不気味にすら見える、良くも悪くも印象的な石です。
これは、葡萄状のカルセドニー(玉随)の表面に褐鉄鉱が多層の薄膜となって虹のような効果を示しているものです。
瑪瑙は、火山岩の晶洞中の珪酸分に富む水から微小な水晶ができ、それが沈殿して層になったもので、水晶とは違い、生成の温度は常温と考えられています。
微細な結晶が積もっていく間に他の鉱物などの不純物が入り込み、縞模様を作るわけですが、その不純物が虹色を呈し、それが確認できる状態で産出するとは、自然もなかなか粋なことをすものだと思います。

 
超レア・アゲート

ところで、瑪瑙にはさらに稀少で美しい物があるそうです。
それは「イリス・アゲート」といい、瑪瑙が顕微鏡レベルで微細な襞状になっているために、ごくごく薄く(なんと厚さ0.2mm!)にカットして、特定の角度で見ると、光の干渉によって虹色に見えるのだそうです。一万個に一個あるかないかだといいますから、非常に珍しいものなのですね。
ところで、いわゆるレインボー水晶のことを「アイリスクォーツ」ということがあるようです。
「イリス」も「アイリス」も、ギリシャ神話の虹の女神「Iris」から来ているそうですから、意味は同じでしょう。
ところが、レインボー水晶とアイリスクォーツが区別されている場合もあります。
曰く、レインボー水晶は、水晶に圧力が加わってできたクラック(ひび)に虹が出るもの、アイリスクォーツは水晶が結晶成長する際、内部にほかの鉱物(主にカコクセンナイト)が薄い膜状に結晶して、同じように虹色を示す物なのだそうです。
その見分け方を尋ねてみたところ、アイリスクォーツの方は、ひび割れとは違い、薄い扇が羽、あるいは花びらのように見えるのだとのことでした。
そう言われれば、そんなレインボーを見かけることがありますが、水晶の結晶のしかたを考えると、コレもちょっと不思議なんですよね……。


(2004年12月13日、ブログ掲載)

 

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