石選びの視点 石好きのみなさんは、石を選ぶときにどのように選ぶでしょうか。 美しい色、整った形、輝く虹、希少性、あるいは、今まで持ってない種類の石。 「なんとなく気になる」石。 いろいろな「選考ポイント」があるかと思いますが、こと「形」で選ぶことになった場合、「疵」や「欠け」があったらどうでしょう。 ちょっとチップ(欠け)がある、表側から見るとおもしろいのに、裏側が欠けている……欠けにもいろいろありますが、先端部分が欠け落ちているというのは、ちょっと痛い欠損です。 写真は、そんな残念な欠点を持った石……ガネーシュ・ヒマール産ヒマラヤ水晶です。 先端部分が5mmかそれ以上、ぽっきり折れて欠けています。 先端には、直径にして7mmほどの欠けた断面も見えています。 大きさはマル。(長さ5.2cm。ポケットに入れるにもいい大きさ) 中の透明度もマル。 インクルージョンの様子もマル。(ちょっとファントムっぽいです) 表面の輝きもマル。(ヒマラヤ水晶らしい成長線に覆われています) おまけに緑泥付き。 まるで螺旋を描くように鋭く階段状に切れ込んだファセットの様子……三重マル! そして大好きなガネーシュ・ヒマール産。 カケが気にならない迫力 ここまで条件がそろっておきながら……先端が、ない。 何度も手に取り、何度も棚に戻し、他に同じような石はないのかとお店の人にまで確認し……結局、買っちゃいました。 しかし、写真を撮り終わったときには、悩みに悩んだ欠点を、ほぼ忘れていました。 いかがでしょう……折れているところがほぼまともに写っているのですが……気になりません。 この石は、密かに連想したとおり、メソポタミアのジッグラトを思わせる造形を、きれいに浮かび上がらせてくれました。 ジッグラトとは、ご存じのように紀元前のメソポタミアに築かれた、階段状ピラミッドのような建造物です。(ピラミッドは石で、ジッグラトは煉瓦で築かれています) カルサイトとのせめぎ合い この石の、最大の特徴である階段状の切り込みは、おそらくカルサイトによるものであると思われます。 ロシア産の水晶にもそっくりなものが見られますが、最初にカルサイトが結晶しているところに後から水晶が結晶し、後にカルサイトが溶けてなくなることで、このような異形の水晶が生まれるのだそうです。 たかだが先端が数ミリ欠けていることを気にしていましたが、何のことはない、この水晶は、最初からカルサイトによってあるべき形から変形させられていたのです。 カルサイトに成長を阻まれてもなお、結晶を形作ろうとした……と考えれば、無機物である石が、まるで生命を持つもののように思えてきます。 先端は欠けているけれど、イメージや、魅力や目に見えない魅力は満ちている……。 今日の石は、そんな石だと思います。 ただし、ちょっとワイルドすぎてポケットに入れたりしてさわっていると、角に手を刺されます。 ※こういう水晶をカルサイトと干渉(インターフェース)しながら成長した水晶ということで、インターフェレンス・クオーツとも言うそうです。 (2004年7月26日、ブログ掲載) |
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