ロシア・モスクワ産 ガラス

「天然」のロマン、「人工」の情熱。





 天然モノのロマン

私の雑記を読んでいただくと、加熱シトリンや放射線照射モリオンをだめだと思っているな……と感じる方がいらっしゃるかもしれません。
あるいは、そういう石を手元においていて、残念に思ったり不快に感じた方もいらっしゃるかもしれません。もし、そういうことがありましたら、言葉足らずで申し訳ありませんでした。
そんなご意見をいただいたとかいうわけではないのですが、自分の雑記を読み返していて、ふと思ったので、今回はそれをとりあげてみたいと思います。

私は、自然が作り出す色や形に感心してしまうので、大地のメカニズムが感じられる(と思う)天然・原石ものを偏重してしまうのですが、価値を見いだすポイントが違えば、人が手を加えた石の評価も違って当たり前です。
天然・原石派の私も、色に重きを置くならば加熱シトリンには美しい石が多いと思いますし、もし、いただけるのであれば(笑)、加熱処理されているとしても美しいルビーや、アクアマリンもうれしいです

 
人工モノの情熱

気に入ったのなら天然も人工も関係ない!
……という例として、2004年池袋ショーで買った丸玉をご紹介したいと思います。
会場をぐるぐるめぐっていた私は、あるロシア人のお店の前で足を止めました。
上品な「天然シトリン色」の丸玉を見つけたからです。
お値段がシトリンではあり得ない値段だったので、天然シトリンであるとは思いませんでしたが、お店の人の言葉でがぜん興味がわきました。

「Glass」 とお店の人。
「えっ、ガラス?」 と私。
お店の人は、別の種類の丸玉を取り上げて、「Quartz」くだんの丸玉を取り上げて「Glass」。

じゃあ、間違いなくガラスなんだ! 
と納得したところで買うことを決めました。


ついでに身振り手振りでお願いして、ラベルまで書いてもらいました。
こうして、私は「Glass」と明記されたラベル付きのビー玉を手に入れたのです(笑)。


↑一応、証拠品♪ 「fossil」とか、項目名が変ですが。

直径が4センチほどあるので、ビー玉というには大きいですが、ガラス玉というよりもかわいい感じがするので「ロシアン・ビー玉」ということで。
産地はモスクワらしいです。


 インクルージョン入り

何と言っても決め手は写真にも写っているインクルージョンです。
水晶のインクルージョンとそっくりに、大小のばらつきがあって列をなしています。
ガラスのインクルージョンというと、小さな気泡が思い浮かびますが、これは気泡ではなく、なにかのちりでもなく、綿毛状の結晶っぽい……例えるならばホランド鉱入り水晶のホランド鉱が白く小さくなったものが行列したという感じ。


「へえ……ガラスでも、こんなインクルージョンが入ったりするんだ……」と感心してしまいました。
一般に丸玉などに加工された水晶とガラスを区別するポイントとしてクラックやインクルージョンが挙げられますが、このインクルージョンだけを見れば、水晶と間違ってしまいそうです。

念のため、ぐるぐる回して見てみましたが、どの角度から見ても細い線が二重に見えることはありませんでした。
間違いなくガラスです。
(※水晶では、角度によって細い線が二重にダブって見えます。一センチ以上の大きさのあるものであれば、確認できるそうです)


でも、この色! このインクルージョン!
きれいです!

左上が、肉眼で見たのとほぼ同じ感じですが、なんとも上品なシトリン色。
右側の写真では、インクルージョンの様子がおわかりいただけるかと思います。
(インクルージョンのアップを撮りたいのですが、焦点距離が合わなくて撮れません)

そして!
光の具合によっては、中に星空が閉じこめられているようです。



考え方を変えるならば、
ガラスもかつては高価なものであり、その美しさは神仏に捧げられるに足る神秘的なものだったはずです。
ガラスはあまりにも一般的になりすぎて、その神秘性が薄れてしまったのかもしれませんが、はじめてガラスを手にした人々の思いはいかほどのものだったのでしょう。

輝き、光に透ける美しいものを手にしたい。
それを自らの手で作りたい。
宝石の合成技術のどこかには、それが高価なものだからというだけでなく、美しく輝くものを作りだした大地のメカニズムを知りたいという情熱もきっとあるはずだと思うのです。



※後日談
このビー玉を石屋さんにみていただいたところ、さすがのプロもパッと見た限りではシトリンと間違えられた様子。
さわった感触や、透かしてみた線が二重に見えないことから、「ガラスだねえ……」とおっしゃっていました。

また、石好きさんにも見ていただいたのですが、同じ大きさの水晶玉に比べて明らかに軽く、さわったときも水晶ほど冷たくないそうです。
また、中に気泡が入っているのが見えるので、ガラスとわかるともおっしゃっていました。


(2005年1月16日、ブログ掲載)


 

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