ロシア・ウラル産 スモーキー・グウィンデル

山の神の盾





 ねじれ、ツイスト、グウィンデル。

グウィンデル……と呼ばれる水晶があります。
綴りはGwindel。もとをたどればドイツ語で「ねじれている(gwinde)」という意味らしいので、直訳すれば「ねじれ水晶」ですが、この名前で呼ばれる別の水晶があるので、この名称は使えません。
特にアルプス水晶で見られるもので、DT(両錐)の水晶が柱面を接しながら板状に積み重なり、しかもまっすぐに積み上がるのではなくて、わずかにずれて積み重なり、全体的にはねじれて見えます。

「ツイスト水晶」という名称も聞いたことがあります。
アルプス水晶で見られると書きましたが、グウィンデルといえばスイス……と言いたくなるくらい、不思議と他の産地では見かけないので、スイス産の、このような形をした水晶をグウィンデルというのだ……と思いこんでいたら、思いがけず写真の石に出会いました。

産地はロシアのウラル。
形も、ねじれっぷりもみごとにグウィンデルです。
色としてはスモーキーですが、ちょっと黄色みがかっていて、冬の黄色っぽい太陽光では、シトリンと言えそうな色合いに見えます。

 難物確定!

もとよりロシアの石に弱い私は、その色、輝き、城壁のようにも見えるテクスチャーに惚れ込んでしまったのですが、同時に「コイツは写真に撮りにくい」と直感した石でもありました。

表面に浅い彫り模様がある厚い板をきれいに写真に撮るにはどうするか、と考えていただくとおわかりいただけるかもしれません。
模様と板の形をきれいに撮るならば真正面です。
しかし、真正面からでは彫り模様がきれいに見えません。
ならば、と斜めにして模様を陰影で浮かび上がらせるようにすると、斜めであるために遠近感で形がゆがみます。

……と、これによく似た理由で撮影に手こずっていました。
平べったいカテドラルとでも形容したいような表面の凹凸は十分魅力的で、しかも片面はツヤあり、もう片面はツヤなしです。
内部には虹が浮かび、連なる山脈のようなファセットの輝きは絶品!

なのに撮れない! 苦労しました……。

この魅力的でありながらカメラ泣かせなこの石の形は、どのようにして生まれたのでしょう。
ひとつの手がかりはグウィンデル水晶の中にはファーデンラインを持つものがあるということです。
私は、フランス産のファーデンを持っていますが、その石はグウィンデルかどうかは微妙ですが、全体の感じはよく似ています。

以前どこかでファーデン水晶が板状であるのは、熱水に流れがあったからだという説を読んだことがあるのですが、もしかしてグウィンデル水晶が結晶した場所も熱水に流れがあり、しかも緩やかな渦を巻いていたりしたのでしょうか。

(2005年2月4日、ブログ掲載)


 

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