パキスタン産 緑泥付クラスター

パキスタン・ヒマラヤ




 石リストを超える石

たいていはムダになるのですが、ミネラルショーに臨むにあたっては一応「石リスト」なるものを持って行きます。
つまり、これはあったら買おう、あるかどうか忘れず探そうという石のリストです。
それが無駄になるというのは、まずは、せっかくリストを作ってもその石に巡り会えないから。
そしてもうひとつ。
会場で、リスト以上に魅力的な石に出会ってしまって、いつのまにかリストそっちのけになるからです。

今回の石は、そんな「リストそっちのけ」の石。
初日に会場を一通りチェックし、うむこれはと思う石をゲットし、やっと人心地ついて落ち着いて会場を見て回れるようになった2日目に買ってしまいました。

実は、初日に目をとめた石なのです。
指よりも一回り太いくらいの結晶がひとかたまりになった水晶のクラスターで、大きさは、高さ、底面のともに8センチ×8センチ×8センチ、重さ430グラム。
石としては大きめですが、クラスターとしてはミドルクラスの範疇に入るのではないでしょうか。

 
「生」な雰囲気

水晶そのものの透明度はかなり高そうですが、表面にぱらぱらとかなりの密度でクローライト(緑泥石)がふりかかっている、かなりワイルドな石です。
その様子は、お世辞にも「きれい」とは言えません。
だからこそ、初日に売れ残っていてくれたのでしょうか。

しかしながら、私が目をとめたのは、まさにそのきれいとは言えない様子でした。
山の、地面の中から掘り出されたそのままの、「生」な感じを色濃く漂わせた雰囲気。
きれいじゃないのに、何故か気になる、そんな石。

「この石、気になるんだよね」
とそのお店の前を何度目か通ったときに、一緒にいた石好きさんにそう言うと、さすが類友というべきか、私と石の趣味がかなり重なるその石好きさんもその石を気に留めていた様子。
「なんかいいよね」
……ということで、一緒に値引き交渉して下さって、申し訳ないようなお値段でゲット。

産地をお聞きすると「スカルドゥ」とのこと。
では、パキスタン北部、ギルギットにも近い、ヒマラヤ山脈最西端の石と言うことになります。
つまり、これはパキスタン・ヒマラヤ水晶のクラスター。
我が家のヒマラヤ水晶のクラスターとしては最大です。

単結晶では似たような大きさのものがありますが、「複数の結晶がくっつき、底面がある」という個人的クラスター定義にかなう石としては大きい部類に入ります。
ちなみに最重クラスターは、国産のパイライト付尾太水晶クラスター、底面積最大は、ロシアのダルネゴルスク産水晶クラスターです。
会場で居合わせた石好きさんたちと恒例の昼食石オフを開いた際、この石を見てもらったのですが、
「なんか、癒される〜」と意外にも好評でした。

 
取り扱い注意のワイルド

珍しいとか、レアだとか、そういうことは脇に置いておいて(パキスタン・ヒマラヤというだけで充分レアで珍しいかもしれませんが)何か気になる……そういう理由で選んだこの「生」なクラスターは、見るものにヒマラヤ(パキスタン北部)の息吹を伝え、クローライトまぶしのワイルドさは、ちょっとやそっとの扱いではびくともしなさそうな頼もしさを感じさせます。
……と思っていたら、ひとつの結晶がさわるとカタカタ動きました!
ひぃ〜っ! 取り扱い注意!

2006年12月21日、ブログ掲載
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