遠い国からやってきた 珍しく、ヨーロッパの石。 ハンガリー産の水晶です。洪牙利とは、ハンガリーの漢字表記なんですねえ。 世界各国の石が居ながらにして手に入る便利な世の中とはいえ、ヨーロッパの石はいささか縁遠いです。 鉱物趣味が一般的で、なかなか日本まで流通しないのか、そもそもブラジルみたいに大々的に採掘していないからなのか。 そんなこともあって、新宿ショーで見かけて、まずはその産地で惹かれてしまった石です。 しかしながら、よく見ると母岩がスファレライト。 スファレライトは亜鉛の鉱石として有名な石で、多くは鉄をたくさん含むために黒く渋い外見をしています。 しかし、中にはオレンジ〜赤茶色、または黄色みを帯びた琥珀のような色あいに透けるものもあり、「鼈甲亜鉛」と呼ばれています。 透けて美しいスファレライトは、また特別に美しいのですが、今回、水晶の母岩となっている石は、鉄分が多いのか、見かけはほぼ黒。日光に透かすとわずかに角の部分が濃褐色に透けるかどうか、という感じです。 しかし、見かけよりもずしりと重く、亜鉛の鉱物であることを無言のうちに語っています。 その上に結晶した水晶は、やや灰色がかっているようにも見える、静かな色。 見方によっては、ベータクォーツのようにも見える、柱面の短い、ちょっと複雑な形状です。 水晶とスファレライトの組み合わせは、ヨーロッパではルーマニア産のものをよく見かけます。 改めて地図で調べてみたら、ハンガリーとルーマニアは一部国境を接したお隣同士でした。 この石がハンガリーのどの地域かはわかりませんが、ルーマニア山水省の多くが産出すると思われる地域が、ルーマニアでもハンガリー側にあるようなので、この水晶もハンガリー内のルーマニアに近いあたりの産出なのかもしれません。 鋭く輝き、ずしりと重い母岩の上に、ひんやり冷たい感じの水晶が結晶した様は、ハンガリーという、あまりなじみのない産地のイメージを反映するかのように、ちょっぴりミステリアスな印象です。 2007年5月18日、ブログ掲載 |
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