光と石と 梅雨は日光で写真を撮ってる身としては、ちょっぴり恨めしい季節。 曇っていても、何とか撮れるといえば撮れるんですが、やはり色と立体感が。 雨となったら、まるでだめ。蛍光灯の光は好みではありません。 ふー、ストックでしのぐか……。 じゃ、さっそくストックで……じゃなくて。 石の写真というと、皆さん全体的に光を当てたくなるんじゃないでしょうか。 少なくとも手に持ってみる場合は、日陰よりも日向。明るい方が綺麗ですね。 (クンツァイトやヒデナイトなど、光にめちゃめちゃ弱い石を除く) でも、石の写真を撮る場合は、光と影のコントラストがキモ。 全面に光が当たっているより、光が当たっているところと影になっているところのバランスが良い方が立体感が出て、写真としてみたときに綺麗です。 石と「会話する」 写真としてきれいだという観点であれば、「透ける石なら透かして撮る」のもポイント。 鉱物標本なら専門家さんがきれいにお撮りになるでしょうし、第一、水晶に偏りまくって集めている私が、学術的資料としての写真を撮っても仕方ないし。 ……というわけで、私は、石を撮るにあたって、角度と光の当たり具合をちまちま調節し、カメラを覗いて、見え方をチェックし、「よーし、その美人カットもらい〜」とばかりにシャッターを切るわけです。 ですから、実物とはか〜な〜り印象の違う石も多々。 前置きが長くなりましたが、今回の石はブルー・スピネル。 産地はパキスタン。例によって「ギルギット」と言われましたが、ネット検索の結果、ギルギットよりちょっと北のフンザではないかと思っています。 パキスタン北部からは、真っ白な母岩に埋もれたスピネルやコランダムが出ます。 スピネルも各種の色があり、赤もあれば、ワイン色もあります。 そんな中で惚れ込んだのが、青。 そういえば、以前にもよく似た季節にブルースピネルを取り上げていました。 おお、それからまた増殖しています。 白い母岩に埋もれた深い青の石は、どうやら梅雨の湿度の高い空気にしっくりととけ込む様子。 わざと光を遮り、スピネルだけに光を当てて浮かび上がらせた青は、深い水面の色のようでした。 石をカメラで撮ることで「石と会話している」と言ってもらえるのは、とてもうれしいです。 曖昧な石世界 おそらく、私が石から何かを感じるとしても、会話、言葉によるコミュニケーションという形にはならないでしょう。 たぶん、私の頭は、石から感じた何かを会話という形に翻訳しない、むしろ拒否するかも。 なぜなら、言葉・会話にしてしまうと、石を「人間のようなもの」という枠にはめてしまいそうだから。 私の場合は、枠にはめてしまうことで、どこかをゆがめてしまうだろうから。 石から感じるとしたら、わずかな気配やイメージ、あるいは連想。 ……というものではないかと思うし、そういうものであって欲しいという思いもあります。 曖昧模糊としたもの。 だから自由なもの。 だから不思議なもの。 たくさんの「本当」を許してくれるもの。 いそいそ雑記として書いているけれど、そのいずれもが本当であり、本当でない。 同じように、私が撮る石の写真は、実物の石そっくりではないけれど、その石の表情の一つである。 曖昧模糊とした石の世界に今もどっぷりはまり中……。 2007年6月14日、ブログ掲載 |
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