インド産 コランダム・イン・フックサイト

遙かなり、石の宇宙




コランダム・イン・ロック?

2007年6月の新宿ショーの戦利品です(今ごろ)。
渋くて斑な色合いの緑色の中に、青みを帯びた紫色が混じる見慣れぬ表情に目を惹かれ、お店の人に「これは何?」と聞いてみたら、「コランダム・イン・ロック」
石に目を戻してなおも見ると、青みを帯びた紫色の部分に、見覚えのある光の輪が。
同心円上に幾重にも広がるこれは……インドルビーの丸玉に写し込んだ、アレ
つまり、この(渋い)青紫の部分がコランダムです。
見かけよりもずっしり重い手触りも、コランダムならば頷けます。
コランダム・イン・ロックということは、コランダムを母岩ごと磨いたもの。

なるほど。

家に帰ってなおもひねくり回していると、母岩と思われる渋い緑の部分に、光を反射する場所があります。
どこか見たぞ、この反射具合。
さらにひねくり回すことしばし。

わかりました。フックサイト(クロム白雲母)です。

つまり、この丸玉は、ルビー・イン・フックサイトの色違いバージョン。
おそらくは不純物によってルビーは(渋い)青紫のコランダム(サファイア)に、フックサイトはワイルドなモスグリーンに発色しているのです。
でも……ルビー・イン・フックサイトと言えばこれ↓ですが……。


に、似てない……!
でも、先述したように、混ざっているのがコランダムとフックサイトなのですから、これはスイカ・カラーのルビー・イン・フックサイトのお仲間なのです。
これより少し前に、ルビー・イン・フックサイトのビーズで、フックサイトの部分が雲母らしいキラキラになっているものを見かけていなければ、わからなかったかもしれません。

自分でも見るということ

石を買う場合、店の表示は有力な情報ですが、フックサイトを「ロック(岩・母岩)」で片づけ、スピネルが花崗岩に入っている石を、「ルビー・イン・ロック」と言っているようなお店では、再度検証は必須です。

石は一つ一つ個性があって、同じものはないけれど、数を見て、全体を見渡すと、産地などで共通した傾向が見えてきます。
変な水晶、つまりは個性的な形が好きで集めていても、集めれば、ああ、この産地はこんな感じ、という傾向が見えてきます。
その傾向がわかれば、石のおもしろさアップ。
ネットで石を見ても、「え、この石がガネーシュだって?」と、危ない橋を渡らずにすみます。

石の個性を見るには、石の細部をじっくり眺めますが、石を知るには、全体を見渡すことも重要なのです。

また、全体像を知ることで、自分が手に取った石がその石のスタンダードからはずれているのか、いないのか、実は変な石だったりするのかもわかってきます。

私は、決してがちがちの鉱物趣味ではありませんが、パワーよりも、意味よりも、石の姿そのものが語る物語は、かくもおもしろい。
石の表情を見る楽しみは、格別です。

2007年9月2日、ブログ掲載
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