この面は! たぶん、私が純然たる「鉱物好き」ではない証拠の一つとして、「好きな種類の石はいくつでも欲しくなる」ことがあると思います。 自分が「すきま系石好き」であると思っている立場で、勝手に想像していいますが、鉱物好きさんは、なるべくたくさんの鉱物を集めたい、仮に一つのジャンルに絞って集めていたとしても、同じパターンの石は一つ程度とどめ、より広いバリエーションで集める傾向が強いのではないでしょうか。 (違っていたら、すみません) 対して私は、ヒマラヤ水晶がそうであるように、好きな種類の石は、いくつも欲しいタイプ。 ガネーシュヒマール産で、クローライト入りを一つ、とんがりを一つ、ずんぐり型をひとつ……ではなくて、とんがりタイプだけでもいくつあることか。 懲りない石好き目線で見ると、こっちのとんがりは、ツヤピカタイプ、こっちは、つや消しのところがいい感じ、こっちは、角閃石入りで……と、それぞれに理由も魅力もあるんですが、端から見ると、どう見ても同じとんがった形のヒマラヤ水晶です。 「気に入ったらいくつでも症候群」が発症する石は、ほかにもあります。 ダルネゴルスク産の水晶しかり、黒水晶しかり。 そしてこのブラジル産水晶しかり。 最初に「コンセーロマッタ」という名前で出会ったこの水晶は、まずは、私の変な水晶好き心にヒットしました。 水晶の基本スタイルは、6つの柱面と、それに続く6つ(両錐の場合は12)の錐面。 結晶の具合によって、面に大小が出たり、クリスタル用語で「ウィンドウ」とか「タイムリンク」と呼ばれる、柱面・錐面とは別の面が現れることもあります。 この面によって結晶のし方のタイプを見分けたりもします。 専門用語では、「s面」「x面」と呼ばれるこの面は、決して珍しいものではありません。 ところが、写真の水晶は違います。 なかなか写真に写せないところが困りものなのですが、この「s面」「x面」が無数にあるというか、勢い余って柱面と柱面の合わさった陵線(エッジ)を面取りしたような、他の水晶では見たこともないような不思議な面を持つ水晶なのです。 写真では、文字のすぐ下に見える、わずかに光を反射した面がなだらかなカーブを描いているのが見えるでしょうか。 ここが無数のx面の連なりなのです こんな面を持つ水晶、それもたまたまおもしろい面を持っているのではなくて、同じ産地の水晶がそろいもそろって同じような特徴を持っているのです。 あまりに変なので、「これは人為的に削ったものだ!」と言って譲らない人がいたとかいないとか。 色はほんのわずかにスモーキー。 柱面には、一面おきに尖ったものでつついたような痕があり、これは蝕像の一種だとされています。 ちょっとすすけたような付着物も見られ、透明度に優れた水晶と比べると、ぱっと見ではやや見劣りするかもしれません。 しかし……私は、この水晶は、光に透かすと抜群に美しいと思います。 柱面の角を削ったような面が光を反射し、わずかな色づき具合によって、水晶が金色味を帯びて見えます。 実はとても透明感がある水晶であることもわかります。 透明すぎて、デジカメのピントが「結晶の向こう側」に合ってしまうほど。 さて、今回この水晶の画像には「Star Seed Quartz」と入っています。 どうやら、「一面おきの柱面につついたような蝕像が入った水晶」を「スター・シード」と呼ぶ人がいるらしく、かのジュディ・ホール氏の「クリスタル&癒しの石」にも収録されていました。 それを知った石屋さんが「スター・シード」として売っていたので、その名前を入れてみましたが、最初に「名無し」の状態で、そのおもしろさを知ってしまったために、どうにもこの石が「スター・シード」とは思えません。 私は、石の意味にはほとんど価値を置かないくせに、名前だけは使っていますが、この石については、名前の使用もやや疑問。 だったらどう呼ぶか、といわれても代案はないのに、やっぱり、私にとってはスター・シードではないようです。 2007年10月8日、ブログ掲載 |
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