太古の海の証明 大地は生きている。 蠢き、軋み、形を変え、 地表に生きる命とは別の、 星の時間を生きている。 そんな大地が天の高みを目指したかのような場所……それがヒマラヤ山脈です。 7000メートル、8000メートル級の山々が連なるこの場所が、かつては海の底だった……という話を聞かれたことがあるかと思います。 それを証明するのがコレ。アンモナイトの化石です。 写真では二つ並んでいるように見えますが、実際は雄型(凸状)、雌型(凹状)になっていて、実際の化石(凸状)の方に、その痕跡である凹状の方がぴったり重なるようになっています。 重ねたさまは、黒くてなめらかに丸い河原の石。中に化石が入っているなんて、ちょっと予想も付きません。 ヒマラヤ山脈の高さを生み出したのは海 ヒマラヤ山脈は、今からおよそ1000万年前に隆起したのだと考えられています。 アフリカ大陸から分離したインドがユーラシア大陸に衝突したためです。 軽いインドの大地がユーラシア大陸の下側に潜り込み、ユーラシア大陸の端を持ち上げる形になったのですが、この場合、持ち上げられたユーラシア対地区の地殻の厚みが、山脈の高さになるはずです。 ところが……地殻の厚みから想定される高さは、せいぜい6000m。しかし、ご存じエベレストは8000メートル以上。 その差は2000メートル……これは大きな差です。 ユーラシア大陸の地殻の厚みに2000メートルをプラスしたのは海でした。 かつて、ユーラシア大陸とインドの間にはテチス海と呼ばれる浅い海が広がっていました。 この海は、インドがユーラシアに近づくに従ってどんどん浅くなり、海の堆積物が、二つの大地の衝突に伴って圧縮され、押し上げられてインド側にはみ出すことで本来よりも高い山脈ができているのだ、と考えられています。 ヒマラヤ産の岩塩や、岩塩ランプというものが売られていますが、ヒマラヤで塩が採れるわけは、こんなところにあったのですね。 実は蛸やイカ ところで、アンモナイトは貝の仲間ではありません。どちらかというと、イカや蛸の仲間なのだそうです。現地では、1メートルを超える巨大なアンモナイトもあるのだとか……。 一度見てみたいものです。 最後に。 最近、ネパールではこの化石の持ち出しが禁止されたのだという話を耳にしました。 手に入れたとあだったのでちょっとホッとしたような、残念なような、微妙な気持ちです。 (2005年4月28日、ブログ掲載) |
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