黒にもいろいろありまして。 ガネーシュヒマールの黒い水晶のところで、包物でまっ黒になっている水晶をモリオンと言うべきか ……と悩んでいたのですが、実はガネーシュヒマールの黒以外にも、内包物のために黒くなっている水晶があります。 お店の人は「ブラックハーキマー」と呼んでいましたが、ご存じのように、「ハーキマー・ダイヤモンド」と呼ばれる水晶は、アメリカ、ニューヨーク州のハーキマー地区で産出する輝きの強い水晶のことです。 そのほとんどがDT(両錐)型なのは写真の石と同じですが、ハーキマー・ダイヤモンドは比較的柱面が短く、ころんとした形をしています。 それに比べて写真の水晶は柱面がしっかりあり、何より産地が中国なので、明らかにハーキマーではありません。 (ときどき、透明な水晶を小さなDTに削ったものがハーキマーとか、ハーキマー・タイプという名称で売られていますが、もちろん、ハーキマー・ダイヤモンドではありません) 写真の水晶をまっ黒にしているものや、ハーキマー・ダイヤモンドに見られる黒いインクルージョンは、タールです。 トルマリンであると紹介されている場合もありますが、タールが正しいようです。 見た目もトルマリンぽくはありません。 |
お仲間紹介 こちらの写真の石も同じ産地の石ですが、水晶そのものが透明であること、黒いインクルージョンがファントムを形作っていたり(左)、塊状で(右)トルマリンらしくないことがおわかりいただけるかと思います。 つまり、最初の写真の石は、タールがたくさん入ってまっ黒に見えるのです。 ところどころが透明に透け、黒の原因がインクルージョンであることが明らかなせいか、この石に関しては「モリオンと言うべきか否か」とは悩みません。 「黒いけどモリオンじゃないね」と即答します。 やはり、モリオンは水晶そのものの色でまっ黒でなければ……。 なのに、ガネーシュの黒はモリオンかもと思いたくなるのはひいきでしょうか。 ちなみに、ハーキマー・ダイヤモンドが産出する地層は、かつて海であったことから、石に含まれるタールは海藻由来のものであると言われているそうです。 (2005年5月21日、ブログ掲載) |
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