たむらしげるの「水晶山脈」 たむらしげる氏の新刊「水晶山脈」という本を買ってしまいました。 石がお好きというたむら氏が、石の写真をイラストの一部として加工して使ってしまった、ファンタジックな大人の絵本です。 タイトルが「水晶山脈」とは、なんとも石好き心をくすぐります。 ……とはいえ、石の画像はかなり加工されているので、「石を見たい」という気分の石好きさんにはちょっと物足りなく感じてしまうかもしれませんし、石好きさんではない方は、実際の石が使われていることに気が付かなかったり、あるいはあまり気にされないかもしれません。 かくいう私も、「ここまで加工しちゃうとなー……」と、複雑な心境だったのですが、やはりどこか、石好き心が共感します。 何と言いましょうか、手のひらに乗る石の中に風景を見いだす心。 その風景に物語を感じる心。 見つめているうちに、自分が小さく小さくなって、石の中に入り込んでいくような、あの気持ち。 そんな気分が味わえるのです。 緑の水面を思わせる…… 石の科学的な側面も好きですが、石を見つめ、そこに風景や物語を見いだすことも同じくらい好きなのです。 たとえば、写真の石はハンズで売っていた瑪瑙のスライスで、ピンクやら青やらの染めのスライスの中から見つけました。 鮮やかな緑……なのですが、色合いというか、色の移り変わりがとても自然で、縁に見える原石の表面を見ても、染色された跡はないように見えます。 (瑪瑙は、塊のまま染色するので、原石の表面にも色が付いていることが多いのです) 染めか、天然かはちょっと判断に苦しむのですが、森の中にいきなり現れた深い湖のような色合いが、あまりに美しくてつい買ってしまったものです。 光に透かすと、瑪瑙(この場合はカルセドニーかも)らしいもこもこ模様が浮かび上がり、そこに水面があって、水中へと飛び込んで行くか、あるいはこれは湖の底から眺めた水面で、顔を出すと、そこには知らない風景が広がっているかもしれないとか、たあいもない想像はふくらみます。 そんな想像の種を手のひらにのせている楽しみ。 これが石好き心のルーツかもしれません。 (2005年6月16日、ブログ掲載) |
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