中国産 グリーン・フローライト

芙蓉の国、非金属の郷




石の産地の注目株

世界各国で実にさまざまな魅力ある石が産出しますが、ちょっぴり警戒しつつも、注目している産地があります。
中国です。
不思議水晶を産出するロシアのお隣(と言っても広大ですが)であり、かつていくつかのプレートが衝突した場所を持つ中国は、その国土の広さからしても、まだまだ(石の産地として)開発されていないことからしても今後その機会が多いであろうことからしても、今後注目していくべき産地だと思います。

ちょっぴり警戒……と言ってしまうのは、残念なことにニセモノや加工疑惑がつきまとうため。
青く染めたアラゴナイトや表面に人工的に色つきの結晶を成長させた緑水晶、あるいは他の産地の石を加工して売り出したものなど、「実は……」という話をきくたびに、残念な気持ちになります。
そんなことをしなくても、かの土地からは十分魅力的な石が出ると思うんですけどねえ……。
長きにわたり、玉に魅せられてきたお国柄で、そのほかの石はあまり魅力的に感じないのでしょうか? 

フレッシュグリーン!

写真の石は、中国は湖南省のグリーン・フローライトです。

中国産フローライトで一番よく見かけるのは、淡い水色に紫色が混じったものですが、次によく見るのが、このみずみずしいアップル・グリーン。
水晶ならば「変」「珍しい」をキーワードにチョイスする私ですが、フローライトのキーワードには「きれい」もちゃんと入っています。
写真のフローライトは、形もスタンダードな品ですが、この透明感とみずみずしい色合いにクラクラ惹かれて買ってしまいました。
なんておいしそうな色! 夏場に見ると、ひんやりのどごし冷たい水菓子です。

非金属の郷

さて、水晶の色といえば、鉄(鉄イオン)、アルミニウム。
あとは中に内包された他の鉱物の色ですが、フローライトの場合は中に含まれる希土類元素類によるものだとされています。(純粋なフローライトは無色透明です)
では、このフローライトの産地はどうなのでしょう。
湖南省(Hunan)は、中国で2番目に大きな湖である洞庭湖の南に位置することで名づけらたそうです。この地は、農業、酪農、漁業も盛んなようですが、鉱物資源の種類が豊富で、世界で知られている160種類あまりの資源のうち、なんと、140種余りを産出するのだとか。

その中でも、ダンステン、アンチモンの埋蔵量は中国トップクラス。(アンチモンの埋蔵量は世界一)
ビスマス、亜鉛、鉛、スズ、蛍石(フローライト)、重晶石、海泡石、石墨等の埋蔵量も上位にあり、そのため “非金属の郷"“有色金属の郷"と呼ばれているそうです。

フローライトは、タングステン、モリブデン、アンチモニー、錫等の重金属鉱床の脈石として産出するそうで、重金属の需要が増すことで新たな鉱山が開発され、そのことによってどんどん新たなフローライトが発見されているのだとか。

そういえば、少し前までは中国のフローライトと言えば、塊状で磨かれたり、劈開でカットされているものがほとんどでしたが、最近はこのような結晶が珍しくなくなりました。
ブラジル、マダガスカルもそうですが、中国からもどんな石が出てきても驚きません。

あ、最後に。
湖南省は、昔、省の中を流れる最大の川・湘江の流域に芙蓉がたくさん植えられていたため
「芙蓉の国」という美称が付けられていたのだということです。

(2005年8月11日、ブログ掲載)

写真および文章の無断転載・転用はご遠慮下さい。推測・個人的意見が混じっています。


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