イタリア産 ヴォルカニック・グラス

世界遺産の島からやってきた






火山灰?

ある石のアップです。
実物も、こんな感じの色をしています。
その正体は……「Volcanic Glass」(火山ガラス)です。
ヴォルカニック・グラスの名前を知ったのは、ジェーン・アン・ダウ著の「クリスタル・ジャーニー」でした。その中では、火山灰を熱して作られたガラスであると説明されています。

その後いろいろ検索してみたところ、マグマが急激に冷やされてできた天然ガラスのことで、それが細かく粉砕されれば火山灰であり、塊のまま残れば黒曜石であると言うことがわかりました。
火山ガラスとは、火山灰を熱したガラスというよりも、黒曜石とほぼ同じもの……と考えた方がよさそうです。

ジェーン・アン・ダウが本の中で述べているヴォルカニック・グラスは、セントヘレナ(セント・ヘレン)火山の火山灰を熱してつくられたティール・グリーン(マガモの緑色)の美しいガラスだそうです。

これについても調べてみたところ、ヘレナイトまたは、オブシディアナイトとも命名され、美しいエメラルド色のものはエメラルド・オブシディアナイト(セントヘレン・エメラルド)ルビー色のものは、セントヘレン・ルビーと呼ばれて、準貴石並にあつかわれていることもあるそうです。
こちらに、エメラルド色のオブシディアナイトの写真が出ています。)

火山灰をガラスに混ぜると

ここでちょっと言及しておきたいのが、「火山灰を熱して作られた」というくだりです。
これだと原料は火山灰100%のように思ってしまいますが、オブシディアナイトを売り出したところとは別の機関が同じ火山灰で試したところ、どうやっても黒曜石と同じ黒いガラスしか作れなかったそうです。

そうです。
黒曜石はほとんどが黒。
なのに、オブシディアナイトのエメラルドグリーンは、なぜ……?
それに対する、販売元の答えは、原料は火山灰ではなく粉砕した火山岩で、クロムと鉄と銅を添加したガラスだということでした。

それでは、エメラルド色は、クロムや鉄によるもので、単にちょっと火山岩を混ぜ込んだただのガラスだったのか、と思っていたら、なんと! 日本でも同じような考えで、火山灰入りのガラスが作られていました。

使われたのは、三宅島の火山灰。
もちろん、火山灰100%ではなく、珪砂やソーダ灰、石灰岩などのガラスの材料に火山灰を混ぜて作ったものです。
こちらに混ぜ込んだ割合と色合いの見本が出ていて、5〜15%混ぜたものでは、ちょっと緑がかった美しい青、写真を見る限り、割合が30%以上になると、ほぼまっ黒に見えるようです。
また、火山灰を混ぜると、ガラスの中に生じる泡が消えて、クリアで美しい色合いのものができるのだそうです。
パワーストーン・コーナーなどで売られているタンブルの「ブルー・オブシディアン」は、天然の黒曜石ではなく人工のガラスですが、もしかしてこれも火山灰入りガラスなのでしょうか。

天然? 人工?

そして、話は写真の石に戻ります。
写真の石の全体像はこんな感じ。




ガラス特有の貝殻状の断口を持つ「ぶっかき氷」風の塊で、色は鮮やかな「ブルー・オブシディアン」色。
しかし、中にはまりものような白いモコモコした内包物や泡がかなりたくさん入っています。

さて、これは天然ガラスなのか、それとも火山灰入りで作られた人工的なガラスなのか

産地と色と泡と内包物

まずは産地
ラベルによると、イタリアのエオリア諸島
長靴の形をしたイタリア半島に蹴飛ばされようとしている石のようなシチリア島のすぐそばに浮かぶ小さな7つの島からなり、世界遺産にも指定されています。
別名をリパリ諸島とも言い、火山の島として知られ、もちろん、黒曜石も産出します。

次に
黒曜石といえば黒。
レインボー・オブシディアンやスノーフレーク・オブシディアン、茶色や赤が混じったマホガニー・オブシディアンや十勝石などのような他の色が混じったものもありますが、ベースは黒。

天然であるというコバルトブルーのオブシディアン (←人工オブシディアンであるという説もあり) やメキシコ産のボトルグリーンのオブシディアンの写真を見たことがありますが、ごく希なものだと思います。

他の色ならばともかく、写真の石の色は、火山灰入りガラスの色にそっくりといえばそっくり。
内包物のないタイプもあり、色むらがない均一な色合いなのがちょっと気になります。

しかし、この内包物はどうなんでしょう?
おなじみ黒地に白い斑模様のスノーフレーク・オブシディアンは、ガラス質の中にクリストバライトという鉱物が雪のような結晶となって入っているものですが、スノーフレーク・オブシディアンの黒い部分を透明な色合いに変えたら、似た感じになるのではないでしょうか。

以前に見せていただいたコバルトブルー(ただしほとんど不透明)のオブシディアンにも放射状の白い内包物があり、「これが天然ものの証拠」であると教えていただきました。
この内包物は、見るからに天然っぽい感じがあるのですが、内包物入りのガラスの写真を見たことがあるので、天然の証とも言い切れません。

そして
三宅ガラス(三宅島の火山灰入りガラス)では、火山灰に泡を消す作用があるとのことでしたが、これにはめいっぱい泡が入っております。

お店の方によると、売っていたディーラーさんは「天然」といっていたそうで、「何よりも、とてもきれいだったから仕入れてきたの」とのこと。
その意見には全面的に大賛成。
もこもこの内包物が、まるで時間を止めた海の底のよう。
地中海の青い海が、そのまま石になったような……。

解明しきれない疑問と共に、この石はちょっと気になる存在です。




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