ブラジル産 モリオン・スフィア

影を覗く





石写真の天敵

写真に撮りにくいもの……原石ならば、スッキリ細いレーザーとか、結晶が入り組んだクラスターとか、あまりに透明感・照りが強い水晶とか、いろいろいろいろありますが、原石ではなく、磨き物……といえば、丸玉。
しかもつやがあって不透明な物。さらに言えば色の濃い物。

丸玉で、つやつやで、不透明で、黒い。
写真に撮りにくいポイントを一心に集めたような石が、ブラジル産モリオンの丸玉です。
直径は48ミリと大きめ。ほぼ全体がまっ黒不透明で、半分に筋状の白い部分があり、わずかに透明感がある部分があって、そこにちょっぴり虹が出ます。

まっ黒不透明だとオニキスやトルマリンと見分けがつかないんじゃないかと思っていましたが、部分的な透明感と白筋のおかげで、水晶であることは間違えようがありません。
オブシディアンに比べてずっしりと重いのも特徴です。

モリオンの磨きはつや消しか?

黒水晶(モリオン)に興味を持ち始めたころ、
●モリオンは天然の放射線によって結晶構造が崩れているために
 結晶の表面がつや消しである場合が多い
 (たしかに、表面がガサガサした感じのが多いです)
●そのために、丸玉に磨いてもツヤがない(なめらかにならない)
……と聞いたので、果たして本当に丸玉に磨いてもツヤがないのかどうか、とても気になっていたのです。

ところが、困ったことに、原石では見分けがつく人工黒水晶も、磨いてしまえばわかりません。
(人工黒水晶を磨いたものがあるのかどうかはわかりませんが)
どうせなら、天然まっ黒の丸玉がいいな……と、探していて出会ったのがこの石。
まず、このお店では原石のモリオンを扱っていました。
しかも、お店の人が原石を仕入れ、依頼して丸玉にしていると言うことだったので、かなり信頼できます。

実際手に取ったこの石も、なるほど、原石のこの黒水晶を磨いたのだなと納得できる表情でした。
もうちょっと小さいものでも良かったのですが、納得の黒さと、ずっしりくる重さに惹かれてお迎えしたのでした。

では、モリオンの丸玉はつや消しか。

私の結論は、「正しくもあり、誤りでもあり」。
写真を見ていただいてもわかるように、明らかにツヤがあります。
ばっちり自分が写るので、何とか写り込まないポイントを探して、カメラを構えて右往左往しました。

モリオンがモリオンである証?

しかし、「ツヤがない」というのも、ある意味では正しいのです。
……というのも、この丸玉、雑な扱いをしたわけでもないのに、表面に細かい傷が無数にあります。
そのために、ツヤがあることはあるのですが、たとえば、スモーキーの丸玉に比べたら、つやつや度は劣るのではないでしょうか。

もともと、丸玉はできあがりの何倍もの大きさの原石を必要とします。
エレスチャルなどの原石の状態で凹凸の激しい石は、丸玉に磨いても、凹凸を取りきれないことがあります。
しかし、お店の人の話では、かなり贅沢に石取りして石の良い部分だけを削ったようだったので、原石の形による傷とは思えません。
また、傷も小さいものが無数にある感じで、原石の凹凸によるへこみとは違うのです。
つまり、これは結晶構造の崩れ……原石の時に表面をざらざらにしていたのと同じ原因によるものではないでしょうか。

スモーキーの色の濃い物=モリオンではなく、スモーキーよりももっと多くの天然放射線を浴びることで、結晶構造が崩れた物がモリオンとするならば、これはスモーキーではないモリオンの特徴といえます。
この小さな傷のアップ写真を撮ればよいのですが、それこそ鏡の如くばっちりカメラが写り込むので、
撮れません。

写真を写しているとき、一体何度石の表面に写る自分を見たでしょう。
「……こんな風に、石をにらんでいたのか」とちょっと反省してしまいました。

見る人を映し、見つめ返すかのような黒い球体。
その重みと共に独特の存在感をたたえる石でもあります。




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