マダガスカル産 レッド・クォーツ

レオパード柄でガウディなきんつば、あるいは霜降り肉。






心わしづかみ

石雑記史上、一番わけのわからないタイトルが登場しました。
2005年ミュンヘンショーものの中で心わしづかみ率トップクラスの石です。
今回のミュンヘンショーは、やや低調。「おおっ」という石はあるにはあるのですが、そういう石に限って強気のお値段。

ちょっと悲しい値段の傾向を見て、一か所売り出しをスルーしました。
スルーしてはみたものの、やはりガマンできなくなり、次のお店の売り出しに駆けつけてみたところ、この石に出会ってしまったのです。
行ってみた甲斐がありました♪

へんてこりんさも、お値段の適正さも、かなりイイ線いってます。
では、その売り出しの現場をここで再現してみましょう。

石との出会い(再現編)

いそいそと売り出しに駆けつけ、店内をぐるりと一周。
新着はちょい少なめでおとなしめかな? と思ったところで、実にへんてこりんな石を見つけました。
今回は、惹かれる石に限って強気のお値段なので、すかさすお値段チェック……即決。おそらく倍のお値段でも、検討範囲内に入っていたと思われます。

ホクホクとその石を握りしめていると、同じ現場に居合わせた、いつもお世話になっている石好きMさんがのぞき込んできました。

Mさん「えーっ、何それ」
KURO「こんな石があったんですよ。ガウディっぽいでしょ?」
……と私はその石の形をガウディの「サグラダ・ファミリアみたいだと形容しました。

Mさん「うんうん、ガウディ。でも、レオパード柄って感じじゃない?」
……と、Mさんはその石の見た目の色合いをそう形容します。

さらに会話は続きました。
Mさん「レオパード柄っていうか、ぎゅうひの餅……中の小豆が皮の上から透けて見える……えーと」
KURO「……きんつば?」
Mさん「そうそうそう! 黒じゃなくて赤い豆ってあるでしょう」

そうです。この石は、白と(渋めの)赤が斑になって見えるのです。
そのほかにも、切り干し芋だの、干し柿だの、いろいろと食べ物系の形容が飛び出しました。

しかし、私はあるものを思いつきました。
石を形容するには、あまりにも不似合いな、しかし、この石そのものと、その産地にはあっているかもしれない……。
「……この石、肉っぽいですよね。霜降り肉」

霜降りテクスチャ

レオパード柄でガウディなきんつば。あるいは霜降り肉。
そんな支離滅裂な形容をされてしまったマダガスカルの石。

いかがでしょう。納得していただけるでしょうか。
長さ12センチほどのポイントが3本、寄り添っています。それぞれのポイントは、先細りで、細い結晶が束ねられ、溶け合ったような、いわゆるカテドラル状のテクスチャ。
どうやら、ヘマタイトによって赤くなった先細りカテドラル状の結晶の上をちょっと白濁した透明な層が2ミリほど覆っているようなのです。
そのために、部分的に赤く見えたり白く見えたり、まだらな色合い。まだらな感じは、なるほどレオパード柄のようでもあり、赤い水晶の上を透明な層が覆うという形状を見れば、なるほど小豆が透けて見えるきんつばのようでもあり……。
しかし、赤の色合いのもとが鉄分(ヘマタイト)であることを考えると、それは肉のようでもあり。しかも、この水晶の断面は割れているのではなくてちゃんと再結晶しており、そのようすがますます肉っぽいのです。

地球の血肉

さて、ここでちょっと話題が変わりますが、みなさん、マダガスカルというとどんな石を思い浮かべるでしょう。
キャンドルクォーツでしょうか。それとも淡い色合いと透明感が美しい、スター・ローズ・クォーツでしょうか。あるいは青い輝きが神秘的なラブラドライト、色合い豊かなスモーキーや、アメシスト。
いろいろ鮮やかで美しい石があるはずなのに、私にとってマダガスカルをイメージする石は、今回のような石や、こちらの石のような、ごつくて、土っぽい、無骨な石なのです。

マダガスカルは、超大陸パンゲアが分裂した折、地球の中心部からわき上がった巨大なマグマの流れ、スーパー・ホット・プルームの上にあった島。
そのような島の成り立ちと、何が出てきても驚かないほどのバラエティに富んだ鉱物を生み出したその大地の力を思うと、そのイメージは、きれいであったりきらびやかであったりするよりも、無骨で力強い石になってしまうのです。

以前、スモーキー・クォーツの上にレッドクォーツが結晶した石を紹介したとき、その印象を
「生々しく、熱い。」と表現してみましたが、その印象は、今回の石にも当てはまります。
地球という命の体温に触れるような、もっと極端に言えば、その血肉に触れるような、生々しさ。
実際にふれれば硬く冷たい石なのに、そこには地球の体温を感じるのです。

私は、昨今話題になる「グラウディング」を善悪、美醜、すべてを含めて「生きる」ということに目を向けること」だと考えるようになりましたが、そういう意味合いに照らせば、この石は、強烈なグラウディングのイメージを持つ石であると言えるのかもしれません。

我々は、地球という生命の血肉を食らって生きているのだ……と。

最後に今度はちょっとアップでもう一度。
赤い石の表面を透明な層が覆っているのがおわかりいただけるでしょうか。






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