ブラジル産 ルチル入り石英

”Imaginal Disk”




これ、な〜んだ?

今回の写真は、ちょっとイメージ風。
アップで迫って、コントラストをちょっときつくいじって、さらに彩度を落としてみました。
いつものように名前を入れると、バレバレなので、代わりにイメージタイトルを。
なにやら細い針金のようなものが、編んだように組み合わさっているのが、見えるでしょうか。
彩度を落としたといっても、実物もこんな感じの灰色……というか、鉛色。

さて、この石は何でしょう?

この石は、知り合いの石好きさんに教えていただきました。
「なんかね、水晶だけど、三角形の模様がついてるのがある」
……と石好きさんはおっしゃいます。

ルチル?

三角?
レコードキーパー(成長丘)でしょうか。
それとも、もしかして、トライゴーニック?
しかし、示されたのは、柱面も錐面も定かではない、ぶっかき氷風水晶……じゃなくて、石英。

手に取ってみると、表面になにやら貼り付けたように鉛色のものが。
お世辞にもきれいな色とは言えませんが、確かに、三角形といえば、三角形。
どっちかというと、竹籠のように、針状の結晶が組み合わさって形作られた三角形。
うーん、どっかで見たぞ、この模様のパターン。頭をひねって浮かんだのがこの石

これ、ルチルだ!
そうです。色は大違いですが、たぶん間違いありません。
組み合わさり方も、石英の表面に薄板を貼り付けたようなようすもよく似ています。
見ると、こんな感じのルチルの薄板が、石英の中に何枚も取り込まれていて、ちょうど板のところで剥がれるように割れたようです。




イマジナル・ディスク

水晶の中のルチルは、最初にルチルが結晶していて、後から水晶(石英)が結晶したのだといわれていますが……、この薄板状ルチル、石英の支えなしで、どうやって結晶したのでしょう。
もしかして、先に石英があって、その割れ目にルチルが……いやいや、石英はこんなに真っ平らに割れませんから、おかしいです。
この不思議と、きれいではありませんが、コンピュータの基盤を思わせる造形が、SFっぽくて好みです。

そこでつけたタイトルが「Imaginal Disk」。
おお、イメージ的な(幻想的な)ディスクってことね、と思っちゃいけません。
この言葉、れっきとした科学の用語でして、「imaginal」は、「image」ではなく、昆虫の幼虫、すなわちイモムシのことである「imago」のこと。
和訳すると「成虫原基」、すなわちのちのち成虫になるために準備されている細胞の塊のことなのです。

幻想の種

幼虫がさなぎになると、この細胞が成長をはじめて、成虫へと変わっていくのですが、この細胞は、幼虫時代にはまったく機能していないので、まるで「Imaginal Disk」が幼虫の体を食い尽くして、成虫として誕生するかのようだと考える人もいます。

そうです。
石英の中に、そして心の中に入り込み、いつか予想外の成長をはじめるかも入れない「幻想原基」。
そんなイメージが浮かびます。


2006年2月9日、ブログ掲載
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