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コロラド産 メテオラ・クォーツ

隕石の変わりに見つけた石




クレーターで発見されたのではなかった

メテオラ・クォーツは、アメリカ・コロラド州のユーレイ(オウレイ)郡の石灰岩地帯で産出する個性的なミルキー・クォーツです。
最初、この石を知ったときには、「隕石クレーターの中から発見された」という伝説付きで紹介されていましたが、実際は隕石のクレーターではなく、「Meteor Pocket」と名付けられた鉱山……というか、晶洞で発見された水晶です。
きっと、「Meteor Pocket」というのが誤って訳されたか、伝言ゲームのように尾びれ背びれがついて、
「隕石クレーターの……」になっちゃったのではないかと思います。
こうして、ちょっとミステリアスな隕石話は、「伝説」となってしまいましたが、それを抜きにしてもこのミルキー・クォーツが魅力的な石であることには変わりがありません。

すばらしいのは、何と言ってもそのテクスチャ!
これは、私がこの石に目を留め、「メテオラかも!」と直感した最大の理由でもあります。



セーターを着たみたい

一番上の写真では大きく写ってしまいましたが、実物は、写真のような「手のリサイズ」
DTで内部は透明なようです。まさに一枚セーターを着込んだように白い層が水晶を覆っているのです。
この白い部分がメテオラらしさを作り出しているわけです。
この部分は、小さな結晶の集合体です。
ドゥルージーやカクタス・クォーツのようにちくちく突き立った状態ではなく、どちらかというとキャンドルクォーツが、本体により密着した感じです。

そのはずです。

なぜ、「そのはず」なのかというと、その詳細な構造が、なかなか見えないからです。
そのようすを羽毛状、鱗のよう、白ゴジラ、くずきり……さまざまに言い表してみましたが、的確には言い表せていないようです。
ルーマニア産水晶などのように、表面が羽毛状の結晶に覆われたミルキー・クォーツは、メテオラ・クォーツ以外にも存在します。
他のミルキー・クォーツとメテオラ・クォーツのテクスチャの違いは何か。

見えているはずなのに見えないことです。

20センチを超えるビッグ・メテオラのポイントを至近距離からまじまじと見たこともあるのですが、イマイチ見えない。
カメラのズームの力を借りて見つめてみても、やっぱりよくわからない。

光の反射で、小さな結晶がくっついていることはわかるのに、同じように「羽毛状の結晶に覆われたような」と表現される他のミルキー・クォーツと比べると、格段に「見えない」のです。

手ざわりは、なめらかなようでいて、ちょっとざらざら。
白く濁った水晶の表層一面を透明な層が覆っているのか……とも考えましたが、そのあたりがやっぱり見えません。
見えているのに、見えない変なヤツ
ちょっと生き物めいたこの石は、しばらく手の届くところに居座りそうです。


(2005年6月15日、ブログ掲載)




追記、メテオラ水晶発見のいきさつ

こちら(海外)のサイト(ページ下の方)で、1997年5月15日午前4時00分頃、コロラド上空を隕石が流れ落下したように思われたので、探索したところ、隕石は見つからなかったが、水晶の露頭を発見がされ、Carl Auclairによって「Meteor Pocket」と名付けられたことが紹介されています。
見つかった水晶は「アリゲーター・スキン」で、光沢があるとのこと。

このように、メテオラ水晶は隕石が落下したクレーターの中から発見されたのではなく、隕石探索のついでに発見されたものであり、Meteo Pocketは、メテオラ水晶の最初の発見地であるといえます。
同じくメテオラ水晶の産出視点であるバーガーキング・ポケットは、翌1988年6月、Meteor Pocketに戻った発見者達が周囲を探索した際に発見されたようです。


未だに、メテオラ水晶が隕石のクレーターと関係があると説明しているサイトがありますが、それはちょっと違うと思います……。
ちなみに、コロラド州にはクレーターがありません。(参考:地球の隕石クレーターリスト(英語)

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