ジオードの中に 2006年4月に行われた、MFA展の戦利品です。 産地は、実はへんてこ水晶の大産地?……とにらんでいるメキシコ。 この写真では何がどうなっているのかわからないと思いますので、ちょっと説明します。 ラベルではタンジェリン・ジオードとなっているこの水晶、同じ時に並んでいた石たちを見ると、中が空洞になった丸い石(母岩)を割って、その中に結晶していた水晶を見えるようにしたもののようです。 写真では右側に写っているのが塊の内壁の一部です。 割る前の大きさはこぶしひとつからふたつぶんくらい。中が空洞で、そこに水晶などが結晶したものを「ジオード」といいますから、なるほど、これはジオード。 普段目にする「ジオード」が、中にびっしり結晶しているのに対し、これはびっしりではなく、内部がちょっとでこぼこしていて、その出っ張ったところに花か咲いているように、あるいは岩にくっついたイソギンチャクのように、水晶が結晶しているのです。 水晶がほんのりオレンジ色なので、これが「タンジェリン」ということなのでしょう。 水晶がたくさん「咲いて」いるもの、ちょっと粉っぽく見えるものなどいろいろありましたが、中から一番小さくて輝きの強いものを選んでみました。 まさにキラキラの花! 水晶だと聞かなければ、水晶だと見分けられません。 ……というか、水晶の結晶に見えないんですけど、やっぱり水晶なんでしょうか、これ。 ※この石が特につぶつぶに見えて水晶っぽくないのであって、他の石では水晶に見えるものもありました。 メキシコのチワワというところは、ロードクロサイト入りの水晶が出たり、アメシストのストロベリー・クォーツが出たりと、なかなか目が離せない産地でもあります。 さて、この水晶の産地は、写真にも入れておいたとおり、メキシコはチワワのカンデラ鉱山。 同じお店でこの水晶を買って、ラベルと地図入りのカードをもらったみなさん。 ラベルとカードでは、カンデラの綴りが違うんですが、お店の人に聞いたところ、「Candela」の方が正しいようです。 「Spirit Cave」は、カンデラ鉱山の中の場所だそうです。 ちょっと不明なのが、ラベルに日本語で「薔薇の水晶」と書かれていること。 まあ、この形状では薔薇と言えば薔薇ですが、ラベルでは「タンジェリン・ジオード」なので、なぜ、薔薇なのかわかりません。 これもお店の方に確認したところ、お店の方は「タンジェリン」という薔薇があるので「薔薇の水晶」とされた様子。しかし、タンジェリンは要するに柑橘類のことで、タンジェリンという名前野薔薇は、要するに「オレンジ色の薔薇」という意味の品種名でしょうし、ラベルの「タンジェリン・ジオード」は、この水晶がオレンジ色をしていることを言っているのでしょうから、「薔薇の水晶」は、お店がつけたあだ名みたいなものですね。 しかし、この石、割ってみるまでは中がどうなっているかわからないですから、見つけたときは驚きだったでしょう。 見つかった場所が「Spirit Cave」……精霊の洞窟という場所だというのがさらに不思議。 逆にこういう水晶が見つかったというので名前が付けられたのならば、ナイスネーミング! さらに、この丸い石の中には変わった水晶が入っているぞとわかっても、一つ間違えばバラバラ、粉々……。 きれいに、しかも水晶を傷つけないように割るのは職人技なんだそうです。 感服! (2006年7月3日、ブログ掲載) |
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