アリゾナ産 ターコイズ

空の石





地中の青

アリゾナ州、キングマン鉱山のターコイズです。
ターコイズは、銅やアルミニウムなどを含んだ湿気の少ない山岳地帯に雨水が染み込み、岩の間に堆積して結晶したもの。
染み込み、堆積し、結晶するプロセスが繰り返されて濃度を増し、まるで空の青を映したかのような石になったのだそうです。
ターコイズは、古くからインディアン(ネイティブ・アメリカン)が儀式などに使っていたターコイズが、インディアン・ジュエリーとしてシルバーと組み合わされ、広く流通するようになったのは、ここ100年ほどのことで、さほど古くはありません。

以来、この空の青の石は多くの人々を魅了してきました。
たくさんの人々にもてはやされたと言うことは、同時にイミテーションが多く生み出されたと言うことでもあります。
くわしくはこちらに書きましたが、ざっとあげるだけでも
エンハンス(ト)……加工により、硬度を上げたもの
スタビライズド………透明な樹脂を染みこませたもの
カラートリーテド……色つきの樹脂を染みこませたもの
練り……………………粉末にしたターコイズを樹脂で固めたもの
イミテーション………ガラスやプラスチックの模造品
ハウライト・ターコイズ……ターコイズとは全く別の鉱物であるハウライトを
                ターコイズ・ブルーに染めたもの
他の石…………………バリサイトなど、ターコイズに似た、別の石。
などがあります。

石好き視点から見れば、もちろん未加工のナチュラル・ターコイズが良いのですが、ターコイズは樹脂を染みこませる加工が可能なことからもわかるように、たくさんの細かな隙間がある多孔質の石なのです。
そのため、ナチュラル・ターコイズはもろく、水や汚れにも弱いという欠点があります。

ですから、アクセサリー、特にビーズなどはほとんどがスタビライズド以上の加工を施されていると見て間違いないでしょう。
もろく、水や汚れに弱いターコイズを、肌に触れる可能性のあるビーズにしようと思ったら、樹脂か何かを染みこませておかないと、とても使えないからです。
願わくば、それが透明樹脂どまりであることを願うのみです。

その色は父なる空の色

さて、写真はアメリカはアリゾナ州、キングマン鉱山のターコイズです。
ジュエリーとしてのターコイズの価値を求めるならば、美しさや質の高さの他に、鉱山名がはっきりしていること、余計な加工が施されていないことがポイントになります。
(※よく似た地域のターコイズが一所に集められて詳しい鉱山が発揮地しないため、色合いなどで「スリーイング・ビューティ」と呼んでいる場合もあるという話も聞きました)
ターコイズ鉱山はすでに閉山しているところも多く、中にはほんのわずかしか掘れなかったところもあり、それらは、幻のターコイズと化しています。

写真のターコイズの産地であるキングマン鉱山は、銅と共に採掘され、昔から、今もターコイズを産出している現役の産地。
淡いブルーから濃いものまで、バリエーション豊かなターコイズを産出します。
多くはスタビライズドされるとのことですが、この見かけからするに、写真の石はナチュラルでしょう……。たぶん。
灰色で、ゴツゴツしていて、ちょっと青みを帯びて見えなくもない石の石の一部が欠けて(欠いて)あって、鮮やかな水色が見えています。
雨水がターコイズの成分を溶かして岩の隙間に堆積させた様子がわかります。
これを磨くと、ターコイズらしい模様(マトリクス)になるわけです。
色は、なかなかきれいな水色ですが、ちょっとばかり粉っぽい感じ。
これは単に割っただけで磨いていないため、そして樹脂を染みこませていないことの証だと思っています。

石の中から現れた空の青。
雨の少ない山岳地帯で、石をどけ、岩を割り、危険と隣り合わせで掘り進んだ末に岩の中に空を見つけた喜び、そんなにまでしてターコイズを求めたネイティブ・アメリカンの人々の思いを、ちょっと想像してしまいます……。

(2006年8月4日、ブログ掲載)
写真および文章の無断転載・転用はご遠慮下さい。推測・個人的意見が混じっています。




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