第7大陸・マダガスカル 「地球のヘソ」 「第7の大陸」 「赤い島」 ……そして「不思議の島」。 さまざまな異名を持つ島……マダガスカル。 マダガスカルは、アフリカ大陸の東、約400キロのインド洋上に浮かぶ島で、南北1570キロ、束西の最大幅580キロ、面横は58.7万平方キロ。面積にして日本の約1.6倍の大きさを持ち、グリ一ンランド、ニューギニア、ボルネオに次ぐ世界で4番目に大きい島です。 ワオキツネザルや、シファカ・アイアイなどの原始的なサルの仲間や、飛べない鳥エミュー、サバンナにそびえる巨樹・バオバブなど、独自の進化を遂げた動植物が多いことで知られ、全動植物の4分の3までが囲有種であると言われています。 そして石好きな視点から見ても、マダガスカルは不思議と驚きとお宝の島。 ホランダイト入り水晶、キャンドルクォーツ、オーシャンジャスパースター・ローズ・クォーツ、セレスタイト……名前だけで、ああ、あれねとわかるだけでも数が多く、それ以外にも独特のスモーキーや、スモーキー・シトリン、美しいクリアクォーツ、ミルキー・クォーツ、その他さまざまな石(宝石も)を産出します。 我が家の石の第3勢力 そして、我が家では、買うときは意識していないのにふと気が付くとマダガスカルの石だったりすることが多く、知らないうちに数が増えている産地です。 そのわりにいつまでたっても「マダガスカルについては勉強中」だったりするので、これではイカンと一念発起、この場を借りて勉強してみることにしました。 なぜ、勉強するのか。 それは、どうしてこの島に、こんなにユニークで多彩な石が産出するのかを知りたいからです。同じ島なら日本に出てくれれば、もっと入手しやすいのに〜……という本音もあったりします。 マダガスカルの成り立ち ……というわけで、マダガスカルの成り立ちをざっと調べてみます。 今をさかのぼること5億7500方〜1億4700万年前の古生代と言われる時代、南半球には後に南極、アフリカ、オーストラリア、南米、インドなどに分裂するはずの大地がひとかたまりになったゴンドワナ大陸がありました。 マダガスカルはと言えば、この大陸のほぼ中心、「おへそ」の部分にあったとされています。(地球全体で言うと、南半球にこのゴンドワナ、北半球にはやや小ぶりなローラシア、シベリア、今の中国南部などの陸地があったようです) その後、大地はさらに集まり、中生代の三畳紀(2億4800万年〜2億0600万年前)ごろ、陸地のほぼすべてがひとつに集まったパンゲア大陸が出現します。 しかし、次の中生代ジュラ紀(2億0600万年〜1億4400万年前)のころにはパンゲア大陸は分裂を始め、南半球のゴンドワナ、北半球には北アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどが分かれていました。 このころ、マダガスカルはまだゴンドワナの中心部分にあります。 さらに分裂はすすみ、ゴンドワナは、南アメリカ、 西アフリカ アフリカ、南極−オーストラリアに分かれ、マダガスカルは、インドなどと一緒に1億6000万年前ごろアフリカから分離し始めます。 さらに、8000万年前にはインドとも切り離され、今の位置にあるというわけです。 以来、大陸とは陸続きになったことがないので、分裂前に生息していた動植物が生き残り、独自の進化を遂げて、不思議の国・マダガスカルとなったわけです。 が、これでは、なぜマダガスカルにたくさんの水晶などが産出し、変わった石が多いのかという理由にはなりません。 大地の動きをマントルの流れで考える なおも調べていくと、意外なことがわかってきました。手がかりは、大陸の分裂です。 ここで、マダガスカルが、ゴンドワナがアフリカ大陸とインド、南極などに分かれていくひび割れの真ん中にあったと言うことを覚えておいて下さい。 ついでに、水晶のでき方なんかも思い出していただけるとうれしいです。 地上付近まであがってきて冷えたマグマの中に気泡や水泡ができ、そこに珪酸分を含む熱水がたまって、空洞の中に水晶が成長した……という、あのお話です。 ここでちょっと地球の構造をどうぞ。 地球を生卵に例えると、黄身の部分が核、白身がマントル、殻が地殻となります。 私たちが地面を掘り返す程度では、出てくるのは岩ばかりですが、地球の内部はまだ熱を持っており、白身にあたるマントルは、今もゆっくりと対流を続けています。 そしてこの地球という卵の殻は、大きく十数枚くらいに割れており、マントルの流れに乗って少しずつ動いています。 この割れて動く殻をプレート、プレートが動くことによって大陸が分裂したり移動したり、ぶつかって地殻変動を起こすと言う考え方をご存じ、「プレートテクトニクス」といいます。 ところが、最近「プルームテクトニクス」という考え方が出てきました。名前が似ているように、内容も似ているのですが、さくっと言うと、プレートテクトニクスがその名の通りプレートが動くといういわば地球の表面のことに注目しがちなのに対し、深い部分のマントルの対流(プルーム)の着目し、地球全体の動き、超大陸の形成と分裂や生物の大絶滅などを考えようとするのがプルームテクトニクスです。 (……と理解したつもりなんですが、くわしく見ると違っているかも……) 超大陸誕生と分裂のメカニズム このプルームテクトニクスで考えると、なぜ、せっかくできた超大陸が、なぜ、どのようにして分裂するのかがわかります。 地球の中心部分、卵の黄身にあたるところは未だ熱く、マントルはそこであたためられて軽くなり、地表へと昇ってきます。そして地表(地殻の下ですが)で熱を放出し、冷えて重くなると地下深くへ沈んでいきます。 つまり、マントルは核→地表→核……というようにぐるぐる回っているわけです。 これがマントルの対流(プルーム)です。 私たちの住む陸地が乗っかったプレートは、このマントルの流れに乗っかっていて、マントルの動きによって移動します。 マントルが下からわき上がってくるところでは、押し流されてプレート同士は離れ、マントルが下に沈み込むところでは沈み込むマントルに乗っかったプレートが別のプレートの下に潜り込み、上になったプレートの端を押し上げて巨大な山脈を作り上げます。(ヒマラヤ山脈がその例です) こうやってあっちこっちとふらふら流されていた陸地が一ヶ所に集まると……そうです。超大陸の誕生です。 見方を変えると、超大陸は、マントルが沈み込む場所の集合ということになります。 沈み込んだマントルは、地下深くで固まりを作ります。この固まりは他のマントルに比べて冷たく重いので、ある程度の大きさになると核へ向けて沈んでいきます。 これを「スーパーコールドプルーム」といいます。 沈み込むものがあれば、その反動でのぼってくるものもあります。 また、超大陸の部分では、陸地が地表を覆っているため、他の部分よりもマントルの熱が発散されにくくなり、その部分は核の近くまであたためられることになります。 その中を地球の奥深くから昇ってくる熱い固まり……「スーパーホットプルーム」です。 こうして、マントルが沈み込む場所だった大陸の下は、一転マントルのわき出す場所になり、大陸は下から持ち上げられ、引き延ばされ、分裂していくのです。 そう! 大陸分裂のひび割れの真ん中にあったマダガスカルは、このスーパーホットプルームの真上! ちょっと専門用語で言いますと、陸地が集まって超大陸ができ、また分裂して……というサイクルを「ウィルソン・サイクル」、パンゲア大陸を分裂させ、マダガスカルを誕生させたスーパーホットプルームを「大西洋ホットプルーム」と言うそうです。 マダガスカルの秘密はスーパーホットプルーム? さて、どんどん核心に接近したいと思います。 マントルとマグマ、どう違うかと言いますと、マントルの溶けたものがマグマ、そう考えていただければだいたい間違いはないようです。 ここで、何度も繰り返してしまいますが、水晶誕生のメカニズムはといいますと、地下から昇ってきたマグマが冷えるときに、中に気泡などの空洞ができ、そこを二酸化珪素を含む熱水が満たし、さらに冷えて圧力が下がっていく課程で水晶の結晶ができてくるというものです。 このマグマ、マントルが沈み込むときにプレートとプレートがこすれあってその摩擦でマントルが溶けてできることもあるわけですが(日本の火山はそれですね)、マントルが芯まで温められて昇ってくるスーパーホットプルームは、要するに大量のマグマの流れです。大陸が分裂するほどの地殻変動ですから、言ってみれば水晶が誕生する環境整いまくりではないでしょうか! しかも! ただのマントルの上昇ではなく、スーパーホットプルームならば、地球の核付近の、地殻にはあまりないような物質が含まれている可能性もあるのです。 なるほど! 確証とまではいきませんが、マダガスカルに水晶や鉱物が多い理由変わった石が多い理由は、なんとなくここらへんにあるような気がします。 なんだかちょっとすっきりしました! 世界の水晶をホットとコールドに分けると…… ……が。 ふふふふふふふ……。おもしろいことがもうひとつ! 現在の陸地には、ヒマラヤ山脈のように、元海底だったところが隆起したところがある一方、ずーっと昔から陸地のままで安定しているところがあります。 南アメリカのブラジルのあたりもそうです。 そういうところは大陸塊(クラトン)とか呼ばれているのですが、水晶の誕生の大きな原因に地殻変動を考えたとき、安定している部分では説明が難しくなります。 しかし、ブラジルのミナスジェライス州といえば、水晶や宝石の一大産地。安定している大陸塊(クラトン)に大量の水晶が産出する理由をどう説明したものかと頭をひねっておりましたらば、このたびめでたく解決! マダガスカルを誕生させた「大西洋スーパープルーム」の範囲は、アフリカ南部を横断し、南アメリカ大陸沿岸部にも達していたらしいのです。(下図 青文字の地名は、現在の水晶の産地を推定して表記したもの) これで、南アフリカのへんてこりん水晶誕生の謎も、ブラジルの多彩な水晶誕生の謎も説明できるかもです! |
コールド由来か、ホット由来か さらに!! 考えてみると、ヒマラヤ山脈もウラル山脈も、プレート同士のぶつかり合いで誕生した山脈です。 つまり、これをプルームテクトニクスで考えれば、プルームが沈み込む「スーパーコールドプルーム」由来の水晶と言えないでしょうか。 対して、かのマダガスカル、そして先ほど書いたブラジルや南アメリカは、マントルの上昇部分……スーパーホットプルーム由来の水晶ということになります。 ちょっと個人的な印象も入ってしまうのですが、石ひとつひとつの性格ではなく、産地としての傾向をみた場合、前者のヒマラヤやウラルの水晶は「神秘的」、後者のブラジルや南アフリカは「明るい」「素朴」というイメージで語られることが多くはないでしょうか。 いささか強引ですが、 「神秘的」→「静」「暗」のイメージ 「明るい」「素朴」→「動」、開放的な「明」のイメージ ……になるのでは……? ただ、残念なことに私が調べた限り、透明水晶の一大産地であるアメリカのアーカンソーとスーパーホットプルームの関係が見えてきません。 ひとつだけ、約40億年前に地球から月が誕生するきっかけとなった隕石の衝突(ジャイアント・インパクト)の反動で巨大な高地ができ、この高地も他の超大陸と同じようにマントルの上昇によって分裂したとする説があり、このときの分裂のきっかけとなった「スーパーホットプルーム」の範囲を見ると、今の主要な水晶の産地がほとんど含まれている(アーカンソーも)……という説があります。 これをとるならば、透明で開放的なイメージのアーカンソー産水晶も、スーパーホットプルーム由来の水晶と考えられます。 これって偶然? 石は、大地から生まれる、大地の結晶。その石が、母胎である大地の誕生の環境に影響されないはずがないはずがありません! たとえ、水晶の誕生そのものが、ずっと後の時代になってからだとしても、水晶をはぐくんだ大地、その場所の誕生の歴史は、厳然とそこにあるはずです。 ならば、きっと石の持つパワーもスーパーホットブルーム由来なのか、スーパーコールドプルーム由来なのかで変わってくるはず! その違いが知りたい! ……が、私は石のパワーに撮とっても鈍い…… これをご覧になった、石のパワーに鋭いみなさん、情報お待ちしております! 補足 ちょっとあわててしまいました。 水晶の産地を由来別に分類すると、以下の感じになりそうです。 ■スーパーホットプルーム由来の水晶の産地(個人的推測) ブラジル マダガスカル 南アフリカ ○中国南部 ○シベリア南部 ○オーストラリア東部 (アメリカアーカンソー州) (オーストラリア西部) ※○印は、7〜6億年前のゴンドワナ大陸分裂時の太平洋スーパーブルームの範囲。 ( )はジャイアント・インパクト時にできた高地が分裂したときのスーパープルームに含まれると思われる産地 ■スーパーコールドプルーム由来の水晶の産地(個人的推測) ロシア・ウラル ヒマラヤ パキスタン アルプス あくまでも推測ですが、こんな感じです。いかがでしょう? でもこれでいくと、同じレムリアンでもブラジルのレムリアンは「ホット」ウラルのロシレムは「コールド」なんですよねえ……。 ひいき目でしょうか、やはり印象は違うように思うのですが。 |
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