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イシス・フェイス
水晶に刻まれた女神の星



「イシス」……女神の名を持つ水晶

ヒーリング系の石屋さんで「イシス」「イシス・クリスタル」という名前をご覧になったことがある方は、案外多いのではないでしょうか。
クリスタル・ヒーリングの分野では、水晶の形に意味やパワーを見いだし、それらの意味やパワーを持つ形を備えた水晶をマスター・クリスタルと言いますが、「イシス」は、このマスター・クリスタルの中でも、比較的なじみ深い名前なのです・

「イシス」はファセットに五角形の面を持つ水晶です。「イシス・フェイス」は、五角形の面を特に指して言う言葉のようです。
比較的整った容姿が多いこの水晶は、女神の(あるいは女性的な)パワー(エネルギー)を持つとか、対立する二つのものの統合をあらわす、あるいは結び併せる力を持つと説明されています。

ご存じ、イシスはエジプトの女神の名。
エジプト神話の主神の一人(一柱)であるオシリスの妻であり、ホルスの母。
死者の守護神、死者を復活させる能力の持ち主、魔術の神とも言われます。

この女神の名前を戴く水晶は、私にとって長らく謎でした。
女神とは別のパワーを感じるとか、なぜかこの石がコワイとかそういう話ではなくて、「なぜ、五角形が女神(イシス)なんだろう?」……という単純な疑問が、ずーっと引っかかっていたのです。

五角形の謎を追え!

さて、上のイラストはイシスです。いろいろなパターンがありますが、これはその一つ。
エジプトの絵画にはいろいろ決まり事がありまして、パターンが違っていても、同じ顔に見えても、持っているものやかぶり物で、どんな人物(神)であるかわかる仕組みになっています。

イシスは、ホルスを抱いた、まるでキリスト教の聖母子像のような姿で表されたりもしますが、単独の場合、頭に椅子(玉座)を乗せていることが多いです。
イラストにあるような、なんだか重くて硬そうな椅子が頭に乗っかっていたら、イシスと見てまず間違いないようです。

このように椅子がイシスのシンボルというか、目印になっているように、五角形もイシスの目印なんだろうか……と考え、「イシス、五角形」「イシス、シンボル」「女神、五角形」……と延々と検索しましたが、まるで手がかり無し。

「五角形の面があると整って見えるから、女神っぽいイメージなのかなぁ……」
……と半ば白旗を振りかけていましたが、どうも納得できませんでした。
むろん、クリスタル・ヒーラーと呼ばれる人の誰かが、ふとそういうイメージを紡ぎ出すことはあり得ます。
しかし、それがどんなに有名なヒーラーだったとしても、単なる個人のイメージの言葉が、その人の意見を離れて一人歩きするほど広まり、使い続けられるとは思えなかったのです。

さまざまな人が、「これはイシスだ」と言われて、すんなりそれを受け入れてしまう何かがある。あるはずだ。
……ところが、それがどうしてだかわからなかったのです。

その疑問がこのたびやっと解決!
お世話になっている石屋さんに、とても興味深いお話を聞くことができました。
今回は、そのお話に、私が個人的に調べたことを加えてまとめてみます。

それは、星のシルエット

なんと、五角形というシンプルな図形の奥には、壮大なイメージの世界が横たわっていました。

五角形を五つの辺で囲まれた、ただの図形と見てはいけなかったのです。

この五角形は、五芒星の先端を結んだ、いわば星形のシルエット。
そして、この星が何かというと、古代エジプトにおいてイシスと同一視されていた「シリウス」という星なのです。






シリウスは、天球において最も明るくまたたく星です。
ヴェガ(こと座)、デネブ(白鳥座)、アルタイル(わし座)、リゲル(オリオン座)など、アラビア語に由来する名前が多い中で、シリウスだけは「火花を散らす」「焼き焦がす」というギリシャ語「セイリオス」に由来しています。
エジプトではソティスと呼ばれ、特に古代エジプトでは季節の始まりを示す指標としてあがめられてきました。

8月、ソティス(シリウス)が日の出直前に東から昇る時期(これを
ヘリアカル・ライジングといいます)が、ナイル川の氾濫期に当たるのです。
ナイルの氾濫は、栄養分に富んだ黒土を上流からもたらし、エジプトの実りを支えていました。
(そのためにエジプト人は自らの国をケメト(「黒い土」)と呼んだそうです)
ナイルの恵みは母なる大地、母なる女神の恵み。
かくしてこの星は女神イシスと同一視され、イシスの神殿はソティス(シリウス)の昇る方向に向けて建てられ、ヘリアカルライジングの朝、太陽(太陽神ラー)とシリウス(女神イシス)の光が地平線上で交じり合いながら神殿内に差し込んだ日をエジプト歴の元日としたそうです。

エジプトの遠い足音

ギリシャ神話にもローマ神話にも、あるいは世界各地の神話に女神は数々あり、女神ではありませんがキリスト教のマリアという存在もあるというのに、なぜ、エジプト神話であり、イシスなのでしょうか。

まず、エジプト文明は世界最古級の文明であることが一つ。

さらに、クリスタル・ヒーリングを含む、いわゆる「ニューエイジ」と呼ばれる流れの中には、「ヘルメス学」があるのだそうです。
このヘルメス学とは何かというと……説明がとんでもなくややこしくなるので、乱暴にまとめてしまうと、ヘルメス学とはヘルメス思想に基づく哲学のことであり、その祖はヘルメス・トリスメギストスとされています。
ヘルメス・トリスメギストスとは、三重に偉大なるヘルメスという意味で、錬金術の始祖とされる架空の人物のこと。そして、錬金術はもとをたどればエジプトに行き着くのです。
……というわけで(なんて乱暴なまとめ方!)、クリスタル・ヒーリングの誕生を逆にたどっていくと、その根っこの一端には確かにエジプトがつながっているというわけです。


こうして、五角形の謎は、(私の中で)一応の落ち着きを得ました。
ただ、イシスについて調べていて思ったことがあったので、これについては独立してまとめてみようと思います。

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