ブラジル産 ライトニング・クォーツ

天と地を結ぶ鍵




こんな石もあるのか!

「雷水晶(ライトニング・クォーツ)」
という石を知ったのはいつのころだったでしょう。
時期は定かではありませんが、最初見た時は「こんな疵だらけで汚れた石のどこがいいんだろう?」と、思ったことを覚えています。
確かにライトニングクォーツは傷だらけで、先端などが欠けていることも多く、表見は磨りガラス状に半透明です。
一見、最初の感想のように「汚れた」感じにも見えてしまうのですが、その成り立ちがわかってくると、地味なはずのこの石がとても美しく見えてくるから不思議です!


 
奇跡のような条件

ライトニングクォーツとは、ブラジルのミナスジェライス州で採掘される、独特の傷跡を持つ水晶で、フラッシュ・ストーンとも、現地では「Pedra de Raio (ペドラ・デ・ハイオ、”稲妻の石”)」とも呼ばれているそうです。
もっとくわしく言うと、ミナスジェライス州でも Espinhaco(エスピニャッソ)層群に属するColluvial (コルヴィアル)鉱床から産出するものだけがライトニングクォーツと言われるのだとか。
このコルヴイアル鉱床は珪岩の地層で、この地層を覆う砂岩が絶妙に水分を含んでいていたため、落雷の電流が鉱床の中の水晶に伝わり、同時に地層が水晶を包んで守っために水晶自体が破裂して破損することなく落雷(電流)の痕を残した……つまり、雷水晶はいくつもの条件が巧みに重なり合って生まれた水晶というわけです。

しかも、この落雷の部分は、水晶が瞬時に高温(573度以上)になったため、クリストバライトという鉱物に変化しているそうです。表面が磨りガラスのように半透明になっているのは、このクリストバライトによるものだということです。(クリストバライトは、テクタイト(隕石ガラス)の一種であるリビアングラスの中の小さな白いつぶつぶとしても見られます)


我が家の「カミナリ」くん

写真は、同じ石を方向違いで写したもので、長さは8センチほど。小さい割にハデに落雷の痕を残しています(写真左)。
そのうえ、この石には複数箇所落雷の痕があり、そのうちのひとつは、傷跡の部分から落雷が石の中に伝わったんじゃないかと思われるようなインクルージョンも見られます。
写真右側を見て下さい。左上のところから、石の真ん中を下へ向けて白い筋が走っているように見えませんか? 電流が水晶の中を通るのかどうかはわかりませんが、この白い筋の所々に見える、うろこのような特徴的なクラックは、ライトニングクォーツ特有のものだと聞いたことがあります。


一瞬の刻印

このほか雷関連では、落雷によってサハラ砂漠の砂がストロー状に溶けて固まった「雷管石(フルグライト)」なんてのもあります。
これは、ピカッ! ゴロゴロ……の「ピカッ!」の一瞬で生成された、
「世界最速の鉱物」ですね。
これにはかないませんが、ライトニングクォーツは、長い時間をかけて大地の中ではぐくまれてきた水晶に、落雷が一瞬にしてその痕跡を刻みつけた石であるわけで、

「天と地を結ぶ鍵」
……なんて考えると、すごくロマンがあると思いませんか?

ちょっと心配な追記

ライトニングクォーツは、濡れた砂に水晶を埋め、そこに人工的に電流を流して「落雷」させるという実験で、同じような傷跡ができると証明されたそうです。……なので、人工的に作ることも可能なんだそうで、「人工ライトニングクォーツ」もあるということです。
……心配。


さらに追記。

その後いろいろ考えてみたのですが、人工的に落雷痕を付けるためには、かなり大がかりな設備が必要であるように思われますし、それだけ手間をかけて作ったとしても、できあがった石は客観的に美しいものではありません。
できあがったものに宝石的価値が出るわけでもなく、ヒーリング、鉱物のマーケットをあわせても宝石に比べればたかがしれていると言えます。
……ということは、手間をかけて人工ライトニングを作っている可能性は低いのではないでしょうか。
今の段階では、ライトニング水晶は天然である……と考えています。
そのわりに、ミネラルショーでころころ売られているのが不思議といえば不思議。
そんなにもバリバリ落雷した土地なんでしょうか……。


(2004年7月15日ブログ掲載)
写真および文章の無断転載・転用はご遠慮下さい。推測・個人的意見が混じっています。

 

 

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