ブラジル産 ミルキー・クォーツ

ブラジリアン・ジラソル?




ブラジルでジラソル?

本日(2007年10月21日)、月周回衛星「かぐや(SELENE)」が正常に軌道に乗り、本体やアンテナの向きを調整する姿勢制御を行い、月を観測するためのモード変更を行ったそうです。
これは、ロケット打ち上げで難しいとされる「クリティカルフェーズ」という段階で、それが無事終了したということは、とりあえずめでたい、めでたい。

では、月の話題が出たので、月っぽい石を出してみましょう。

ブラジルのミルキー・クォーツです。
箱にころころ入った石の中から買ったものですが、ブラジル産の石しか扱っていないお店なので、ブラジル産であることは間違いないと思います。

ところで、マダガスカル産のミルキー・クォーツは、一般にジラソルといわれていますが、ブラジルのミルキー・クォーツは、どうなのか。
見た目そっくりミルキー・クォーツのどこが違うのか。

先だって、ブラジル産のメタモルフォーゼス・クォーツが「変容(メタモルフォーゼス)」であると同時に「変成(メタモルフィック」を受けている石英であると紹介しました。
そしてどうやらマダガスカルのジラソルも変成を受けているらしいということでした。

しかしその後、ジラソルの名前を元に、ジラソルがジラソルである見た目の理由を挙げてみました。

ジラソルはジラ=回る ソル=太陽という意味で、スペイン語でひまわりを意味する名前だそうです。
なぜ、ふんわり半透明なこの石には似つかわしくなさそうな、ひまわりという名前が付けられたのかは不明だけれど、仮説として、ジラソルの中にはどの方向から光を当ててもスターのような放射状の光が現れるものがあり、そのようなタイプこそジラソルと呼ばれるのではないか、というものでした。

これはあくまで仮説ですが、この説を別としても、ジラソルの条件として、単に半透明だけではなくて、丸玉にすると、表面にムーンストーンのシラーをもっと淡くしたような光が浮かぶという特徴が挙げられることがあります。
そして、ジラソルの仮説で挙げたどの方向からも放射線状の光がでるタイプは、この淡いシラーが浮かぶタイプでもあるのです。

変成(メタ)を受けている水晶かどうかは、見た目ではなかなかわかりませんが、果たしていったい、ブラジル産の「ミルキー・クォーツ」にジラソルのような特徴を持つものがあるのかどうか。
「今度仕入れに言ったら探してみるよ」
……と「メタ」について教えてくださった石屋さんがおっしゃっていたのですが、それより先に私が見つけてしまいました。

……自分ちの石で。

それが、写真の水晶です。
買ったのは、ミネラルショー、それもブラジル産石専門のお店なので、間違いなくブラジル産。
写真にはどうがんばっても写らなくてやきもきしてるのですが、上で述べたようにムーンストーンのようなシラーがでます。
また、鮮明ではありませんが、ペンライトなど収束した光を当てると、どの方向からもスターの一部のような光の筋が走ります。

買ったときは気にしていなかったけれど、これはもしかして、ジラソルと同じ特徴じゃないか?

「メタ」やジラソルについて教えていただいた石屋さんにもみていただいたところ、マダガスカル産のようにはいかないが、同じタイプの石に見えるねえ……との感想をいただきました。

では、なぜどの方向から光を当てても光の筋が見えるのか。
そのメカニズムについてもこの石がヒントをくれました。



合わないピントを無理矢理合わせて撮ったアップ写真です。
よーく目をこらしてご覧ください。
真ん中あたりに細くて短い白い線のようなものが写っていますが、もっと目をこらすと、周りにもっともっと細くて消えそうなほど薄い線が縦横無尽に内包されているのが、何とか見て取れないでしょうか。
一部分ではなく、全体にびっしり入っています。
肉眼では、ちょっと薄暗いところでペンライトを当ててみると、もうちょっとよく見えます。

ルチルのような……正確には何かわからないけれど、そのように見える針状の結晶が無数に、縦横無尽に内包されていて、光の筋は、石の形状と、この内包物に光が反射して現れるもののように思われます。

そうとわかってマダガスカル産の石を見ると、この石よりももっともっと細かい針状の内包物が内包されていることもわかってきました。

どうやら、内包物が細かいほど、光の筋は鮮明で、荒く大きくなるとぼやけるようです。

……ともあれ、写真の石によって、ブラジルにマダガスカルのジラソルと似た特徴を示す石があるということがわかりました。

同時にわからないこともでてきました。
この針状の内包物は、いったいなんなのか。
「ルチル」と簡単に言うことはちょっと無理です。

なぜなら、一般的にローズクォーツのピンク色の原因は、微細なルチルの結晶である(燐も関係しているという説あり)。
と言われていますが、マダガスカルのジラソルも、今回の石も、まったくピンク色がかっていないからです。
写真の石は赤みのない白、マダガスカル産に至っては、白と、黄みがかった白、そして淡い黄色です。
どう見てもローズクォーツの色の薄いものとは言えません。

いったいそれはなぜ?

衛星かぐやは月の不思議を解明していくのでしょうが、石の不思議はどうやって解明していきましょうか……。

2007年10月21日、ブログ掲載
写真および文章の無断転載・転用はご遠慮下さい。推測・個人的意見が混じっています。



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