産地不明 オパライズ・ウッド

輝いていてもいなくても




この石、なんでしょう?

実は、私は部屋に石を飾っていません。
小さい石が多いので、ころっと落としてなくしそうですし、「変な石」たちはたいてい座りが悪くて不安定なのです。
それに……埃が積もると掃除が大変。
そのため、ふだんは箱の中にしまっていて、写真を撮るときに取り出します。やはり、新しく手に入れた石ばかり撮ってしまいがちなので、時々、意識的にかつて手に入れた石たちを中心に撮影します。
そんな中で「おお、久しぶり」な石がありました。
原石派の私の石のなかでは、少数派の磨きもの。写真の左側の石なのですが、なんだかおわかりでしょうか。
ジェムシリカ、あるいはクリソコラ、あるいは「ラリマー?」と聞かれたことがあります。
ブーッ 残念ですが、はずれです。

答えは
「オパライズ・ウッド」。オパール化した木の化石です。
少なくとも、そういう名前で売られていました。
オパールというと、白や黒の地に虹色の「遊色」が浮かぶオーストラリア産やオレンジや透明に「遊色」が浮かぶメキシコ・オパールが有名ですが、ペルーなどで産出するブルー・オパールなど、遊色を示さないオパールもあります。

オパールいろいろ

ちなみに「遊色」を示すオパールを
「プレシャス・オパール」、「遊色」を示さないけれども透明感があって美しいものを「コモン・オパール」、不透明なもの、色が濁っているものを「オパライト」と言うのだそうです。※オパールっぽいガラスビーズを「オパライト」という場合もあるようです。
「遊色」を示せばオパールかというとそうでもなくて、「ファイヤー・アゲート」は、その名の通り瑪瑙の仲間です。この石が示す虹色は、非常に薄い層状のリモナイト(褐鉄鉱)、あるいはゲーサイト(針鉄鉱)によるものだそうです

ゆらめく虹色のメカニズム

オパールの成分は、なんと水晶と同じ二酸化珪素です。
何が違うのかというと、水分を含み、他の鉱物と異なり、結晶構造を持たないことです。
結晶の形をしていないのならば、ファイヤー・アゲートも同じではないかと思われるかもしれませんが、瑪瑙は「微細な結晶」が沈殿したものです。目には見えませんが結晶しています。これを「潜晶質」といいます。
一方、オパールは珪酸の球状粒子が集合して構成されています。
球状粒子は微妙に大きさが異なり、かなり規則正しく並んで積み重なっているのです。
この粒子で光が曲げられ、粒子の間の空間で乱反射して光のスペクトル(要するに虹色)を示します。
しかも、積み重なっている層によって珪酸の粒子の並び方が違うために、石を傾けると色が動く、あのゆらめきが生まれるのだそうです。
色の違いは粒子の大きさによって光の屈折具合が異なるためで、大きい粒子は赤色の光を、やや大きい粒子は緑、青、紫の光を、小さい粒子は青い光を回折します。
しかし、粒子が大きくなりすぎると「遊色」は消え、石そのものも不透明になってしまいます。
さて、オパールは、そのでき方や産地、地の色、遊色の出方などで、よくぞこれほどといわれるくらいいろいろに分類されています。でも、とてもとても私には手が出ません。
なので、そちらには深入りせずに、写真の石についての話に戻ります。

オパライズウッドの印象

写真のオパライズウッドですが、先に書いたようにオパール化した木の化石です。
同じ木の化石でも瑪瑙化したものは、「アガタイズ・ウッド」と言います。
アガタイズ・ウッドは、手にしたことがあるのですが、さわった感じは瑪瑙そのものという感じでした。
オパライズ・ウッドはそれにくらべると、幾分やわらかく、さわったときにあたたかい(冷たくない)感じがします。
こちらはブルー・オパールにそっくりです。重さも幾分軽いように思います。
オパライズ・ウッドもアガタイズ・ウッドも、地下に埋もれた樹木に、地中の珪酸分を含んだ水分が浸透して置換されてできました。
これらをまとめてペトリファイドウッド(珪化木)といいます。
かつて命があったものが、地中で次第に石へと変化していく課程を思うと、石との距離がだんだん近くなっていくような気がします。
私の持っているオパライズウッドは、たまたまこんな色なのですが、一緒に売っていたほかの石は、灰色やオレンジ、赤、黒などの色が混じっていました。本当はカボションではなく、タンブルです。
一番色がきれいなのを選んだら、形も一番きれいでした(笑)。

★補足
オパライズウッドには、「遊色」の出るものがあります。
とてもきれいなのですが、もろいので宝飾にはむかないそうです。

★補足2
木だけでなく、いろいろなものがオパール化します。
オパール化した恐竜の骨というのを本で見たことがあります。
貝の化石がオパールになったものを「シェル・オパール」といい、これを専門にコレクションしている人も多いそうです。
ただし、化石ではないオパールを貝の形に削ったものがあるので注意が必要です。
全面がつるりと規定に磨かれているものは要注意です。
本物のシェルオパールは、貝の一部が磨かれずに残っていたり、二枚貝のちょうつがいの部分がリアルです。貝の形に削ったものは、このちょうつがいの部分もつるりとしています。
(2004年9月13日、ブログ掲載)



 

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