見本でございます 見本として、ついに買ってしまいました。 中国産の加工緑水晶。 ご存じの方も多いと思いますが、 「天然の水晶の上に、緑色に着色した層を人工的に結晶させた水晶」です。 土台となっている水晶は、天然のもの。 天然の水晶を加工したもの、ということでこれを「天然石」と呼ぶことは、正しくないわけではありません。 原石未加工派石好きの立場から言うと、「天然石」とは自然の中で採掘され、汚れを落とす程度の処理はされたとしても、それ以上の改変はされていないもの……と言いたい気分ですが、実際には加熱や放射線処理をされている石も多いです。 たとえば、アメシストを加熱して作られたシトリンが「天然石」として売られていたり、瑪瑙がショッキングピンクや紫のハデハデカラーに染められていたとしても、特に「これは天然石ではない!」と文句を言う人はいないでしょう。 だから、この緑色の水晶が「天然石」として売られていても不思議ではないのですが。 ベースは天然、色は人工 問題はこれが「天然緑水晶」とされることです。この名称はかなり微妙です。 「天然石ではない」とはいえない。 しかし「天然緑」ではないのです。 もう一度はっきり言います。 この緑水晶の緑の部分は、人工的に作られたもの。 緑色であることを「天然」というのは間違いです。 ※中には、緑色の部分を結晶させる際に、水晶を固定した後が残っているものまであります。 天然の緑の水晶は、緑色の鉱物(多くは緑泥石)が内包されたことによる発色です。 そのため、透明感のある緑色というのは、まずあり得ません。 それに比べてこの人工緑水晶の色は透明感があり、ややわざとらしくはありますが、写真のように光にすかせば、美しいものです。 できれば、これは観賞用の加工水晶だと、ちゃんと表示してくれれば何の問題もないのですが。 買う側も自衛せよ これはもう、インド翡翠(アベンチュリン)やニュージェイド(サーペンティンの一種のボウエナイト)が「翡翠」や「ジェイド」と名前が付いていても翡翠とは全く別の石であること、翡翠といってもジェダイトとネフライトがあり、宝石扱いされるのは、質の高いジェダイトであるという、ある意味有名な話と同じように、買う方が覚えておかなければならない話なのかもしれません。 もちろん、石に興味を持ったばかりというタイミングは誰にでもあることで、これは常識、知っておくべきと言い切ることはできませんが、なるべく加工されてない石がほしい、そういう石が好きだ、というのであれば、積極的に調べて備えておくという労を惜しんではいけないと思います。 私は、できれば天然未加工な石が欲しいので、加工もの情報は、マメにチェックしていますし、たとえお店の情報であっても疑問に思うものは、覚えておいて別のところで確認するようにしています。 たとえば、時々「放射線処理で作られたシトリン」という記述を見かけます。 一方でアメシストやスモーキーを加熱処理するとシトリンになり、放射線を照射すると元の色に戻るといわれています。(完全には元に戻らないかもしれませんが) なのに、放射線によってシトリンになるということがあるのだろうか。 「放射線でシトリン」というのはネットショップで見かける説明ですが、私はこれに納得できていないので、機械があればいろいろな人に聞いてみようと思っているわけです。 「人工緑」水晶の特徴は 前置きが長くなりましたが、 中国産人工緑水晶の特徴は以下の通り。 ◇透明感のある緑色 ◇先端部分が緑色 ◇全体が毛羽だったように細かい結晶に覆われていることが多い (覆われていないものも時々あります) ◇クラスターが多い ◇クラスターの底面(裏側)も細かな結晶に覆われている 時に、アクチノライトの内包によって緑になっています、などともっともらしい説明が付けられているものも見たことがありますが、アクチノライトは緑の針状の結晶が確認できるのに、この人工緑水晶の緑の部分には、針状結晶が全く確認できないので、すぐに区別が付きます。 緑色のほかに紫色や黄色のものもあります。 黄色や紫色は毛羽だったような結晶に覆われていない場合も多いです。 しかし、クラスターの裏側までも細かな結晶に覆われ、結晶の先端がそろって色づいている独特の雰囲気は共通しています。 「きれいだから加工されたものでもいいや!」 というのあれば、それはそれでいいですが、「人工的に作られたものを「天然の色」というふれこみで 高く買うのはイヤだ!……という方は、ぜひとも覚えておいてくださいね。 2007年4月15日、ブログ掲載 |
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