透明な石が黒い。 鉱物趣味は「水晶に始まり水晶に終わる」と言われているそうですが、その言葉通り、私の石好きの始まりも水晶でした。 終わるも何も、果たして終わりがあるのかすらわかりませんが、以来ずっと水晶は一番身近な石であり続けています。 そんな私にとって、水晶は長らく「透明な石」でした。 アメシストがあり、スモーキーがあることはもちろん知っていても、「透明(感)」という要素は、水晶と深く結びついていたのです。 ですから、本で「黒水晶」というものを知った時は、ちょっと驚きでした。 水晶が、黒い? 黒いと言うからには不透明なのだろう(黒くて透明感があればスモーキーだし)。 透明なはずの水晶が……不透明? 魔よけなどにも効果があったりするらしい。 (そのころは今よりもパワーストーン的意味に興味があった) いったいどんなものなのか想像をたくましくしていた私は、とあるお店で「黒水晶」を見つけて飛びつきました。それが写真の石です。 ショック! へええ〜、ホントに黒い!(部分的だけど) ホントに不透明!(部分的だけど) 感心しきりで眺めていたのですが、その後まもなく、さらなる驚きに見舞われたのです。 どうやら、この石は天然の色ではない。 そのころの私の知識はといえば、かろうじてアメシストを加熱すると黄色くなるらしいということを漠然と知っているくらいで、(当然、見分けはつかない) 石に放射線を当てる処理などというものがあるとは思ってもみないころでした。 そうです。 写真の石は、おそらくアーカンソー産(もしくはブラジル産)の水晶に放射線をあてて黒くしたものです。(同じ方法で発色させたスモーキーもあると聞きます) 見分け方としては ●不透明黒だが、表面がピカピカでエッジもきれい ●結晶の根本が白い というものがありますが、写真の石はまさにそのとおり。(くわしくはこちら) しかも、右側の結晶にみられるように、黒い部分とそうでない部分がくっきりはっきり分かれています。 それはまるで、透明な水晶の中に墨を流し込んだかのよう。 このくっきりはっきりぶりは、他の放射線処理モリオンではみたことがないので、これはこれで「変」な水晶かもしれません。 そして、黒に取り憑かれ 今ほど「変」な水晶にのめり込んでいたわけでもなく、原石派! と気合いを入れているわけでもありませんでしたが、何故か、意外なほどショックでした。 逆に、ショックだったことで自分が天然の色、形……自然の中でそれが作られた、ということに惹かれていることを自覚したのかもしれません。 そしてさらに、人工モリオンの存在とその見分け方は、知る人ぞ知るというほどマニアックなものではないとわかるにつれ、「やっぱり、ある程度石のことを知ってないとダメじゃん!」と奮起、パワーストーン系から鉱物系へと手を広げてきたのです。 そして同時に、「黒水晶あつめ」もスタートしたのでした。 もちろん、「処理ものなんて」と言ってしまうのは、私が自然の色、形に第一の価値を置くからであって、それを別にすれば黒くてツヤツヤでモダンな印象の石ではあります。 あまりにつやつや過ぎて写真に撮りにくかったのですが、今回は珍しくきれいに撮れたので、私の原石好き、モリオン好きのルーツの石として登場してもらいました。 ここで、お店の方にお願いです。 天然であろうと、人工であろうと、それは買う側の好みであると思いますが、人工モリオンを「レアな天然黒水晶」であると表示し、 (故意に表示しないことも含む) 「天然であること」を理由に高値で販売するのはいかがなものでしょうか。正しい表示を望みます。 また、このような放射線処理は、比較的よく知られています。「知らなかった」「仕入れ先が何も言っていなかった」ではなく、確認するなど、売る側として対応していただきたいと思います。 |
(2005年5月17日、ブログ掲載) |
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