アメリカ・アリゾナ産 アパッチ・ティアーズ

大地に埋もれた涙




アパッチの涙

オブシディアンといえば、たいていが鋭い断面を持つ塊状か、磨かれているかですが、アメリカのアリゾナ州やニューメキシコ州で見つかるオブシディアンは、天然の状態でこのように丸く、白い石灰岩の中に埋もれていて、アパッチの涙(アパッチ・ティアーズ)と呼ばれます。

アパッチはご存じ、アメリカの先住民族であるネイティブ・アメリカンの部族の名前です。
アメリカに移民し、自らの土地を得ようとする開拓者たちと父祖の地を守ろうとするネイティブ・アメリカンの間に闘いが起こり、開拓者たちの近代的武器の前に破れ、命を失ったものたちや、土地を追われた人々の涙がかたまったもの……という伝説があるのだそうです。
(本当にそういう伝説があるのか、そういうセールス・トークなのかは謎ですが)

アパッチ族は砂漠の“インディアン”で、アリゾナ州と東隣のニューメキシコ州、そしてメキシコ北部にかけての一帯に広く散らばって生活していました。
西部劇のロケ地に好まれた場所にアリゾナのグランドキャニオンがありますが、ここはアパッチ族の住む砂漠地帯の一角にあたります。

また、アパッチ族は勇猛果敢な一族で、温厚なプエプロインディアンや、南西部周辺に侵入してきたスペイン人やメキシコ人、アメリカ人の開拓者集落を襲って略奪を繰り返していたと言いますから、西部劇に登場する適役インディアンのモデルはほとんどがアパッチ族であり、場所と知名度が一致したネーミングであると言えます。
(アメリカやメキシコを相手にゲリラ戦を行ったジェロニモは、チリカウア・アパッチ族の酋長でした)

話を石に戻しましょう。

実は不思議。

この石は特大梅干しくらいの大きさがあるのでほぼ不透明に見えますが、ふつう梅干しサイズのものではうっすら光を透し、半透明であることがわかります。

オブシディアンはいわば天然のガラス。
溶岩(マグマ)が地表付近で急速に冷えて、ガラス質になったものです。
水晶などとの一番大きな違いは、結晶していないこと
たとえば、ローズクォーツは塊の状態で産出しますが、結晶が発達しすぎて、成長していた隙間を埋めつくしてしまっただけで、実は結晶しています
瑪瑙も塊状ですが、目に見えないくらい小さな結晶が集まったものなので、これも一応結晶していると見なされます。
逆に、水晶をいったんとかしてかためた練り水晶は、結晶していないので見かけとは逆に水晶よりもオブシディアンに近いのです。

地球がつくったガラスであるオブシディアンの中でも、「アパッチの涙」はその形が個性的です。
普通のオブシディアンは、塊状か、丸かったとしても表面が荒れた石ころのような状態ですが、アパッチ・ティアーズは、比較的表面がきれいです。
火山の爆発で空中に飛び散った溶岩が空中で固まった……という説明を見かけましたが、同じように熱された状態で空中に飛び散り、固まったとされているテクタイトとはちょっとようすがちがいます。

まさに空中で固まった溶岩であるハワイ、キラウエアの「ペレの涙」はもっと小さいものです。
そもそも、特大梅干しサイズのものが空中で固まって地表に落ちたら、割れてしまわないでしょうか。
冷えたと言ってもま打柔らかさをのこしていたので割れなかった……としても、形がつぶれてしまうでしょう。落ちたのが海や湿地だとしたら……温度差でひびが入らないでしょうか。

見た目じみでも実は不思議。
これはそんな石なのです。

(2005年6月2日、ブログ掲載)
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