ネパール産 ルチル・ヘマタイト入り水晶

雪ルチル





かつての宿題。

大学の時、一般教養の哲学の授業で「自分に見えているものは、実物と同じものかどうか」(←たぶん)についてレポートしなさいという、課題が出ました。
なにせ、ひと昔のことなので、どうにも記憶があやふやですが、私は「見えているものは違う」「なぜならば、石膏像を描いている際、微妙な面が見える人と見えない人がいる。同じ人でも、ある時から面に気がつくことがある。その人にとって気がついた時点からその面は存在するが、気がつく前には見えておらず、その人にとっては存在しないものだった。だから、実物と同じように見えているとは限らない」
……と、美術畑の人間でなければぴんとこないレポートを提出しました。
(表面がなめらかな彫像を、細かな面で捉えて立体感を出す練習をするのです)

人によって見えているものは違うし、自分だって、気がついたことで見え方が違っちゃうこともある。
ひと昔前の哲学な宿題を思い出してしまったのが、写真の石。

石の中の風景

ルチルとヘマタイト入りのガネーシュ・ヒマール産水晶です。
薄片状の黒いヘマタイトにからみつくように細いルチルがたなびき、しかもルチルの表面になにやらつぶつぶとくっついているので、まるで樹氷のよう。

内部の景色が美しい水晶です。

言われてみれば

さて、この水晶を初めて見たとき、何かがくっついたルチルだと思いました。
しかし、知り合いの石好きさんに見せたところ「チューブ・インクルージョンじゃない?」とのこと。
チューブ・インクルージョンとは、水晶の中に内包されていた針状の結晶が抜けたり溶けたりしてなくなり、その痕跡が細い管状の穴(空洞)になっているもののことです。

ルチルの表面に何かがつぶつぶくっついているパターンは見たことがなかったので、「そうか、チューブ・インクルージョンか」と、あっさり自説を変更。
すると、不思議なもので、チューブ・インクルージョンに見えてきます。

ところが、別の人に見せたところ、「ちゃんとルチルはいってるよ」
ええ?
言われて、同じルーペで見てみると、なるほど。極細ルチルが確かに。
何より、これより早く撮った写真(右側)に、ちゃんと写っています。
気がついてしまうと、今度はチューブに見えません。
このように、同じものを見ていても、見えているものは違うかも。




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