チョークとギプスとセレナイト ジプサム(石膏)です。 ジプサムの中で透明な物をセレナイト(透石膏)、繊維が束になったような状態で、キャッツアイのようなシラーが見えるものを繊維石膏(Fibrous Gypsum/Satin Spar Gypsum)、細かい粒状の結晶が集まったものをアラバスター(雪花石膏)と言うそうです。 「砂漠の薔薇」もジプサムからできています。(バーライト(重晶石のものもあります)。 もっとなじみ深いところで言えば、学校の美術室にあった石膏像や授業でおなじみのチョークは、石膏を焼いて作った「焼石膏」が原料です。 骨折の治療などで使われる「ギプス」も石膏ですが、「Gypsum」の綴りを見れば、納得できるのではないでしょうか。 さて、写真のジプサムはカナダ産です。 単にイエローと言うよりもほんのわずか灰色がかった、レモンイエローと表現したい色の結晶がボール状になっています。 さらに、結晶の縁がわずかに白く縁取りされたようになっているのが、繊細な色合いと透明感にアクセントを加えていて、まるで花びらに縁取りを持つ薔薇のよう。 この透明感ならば、セレナイトと言ってもいいかもしれません。 私にとっては初・セレナイト(ジプサム)です。 もろいがゆえの美しさ? これまでこの石に縁がなかった最大の理由は、何と言ってもそのもろさ、柔らかさ。 水に弱く(ゆめゆめ水で「浄化」などなされぬように。溶けます)、モース硬度は、泣く子も黙る硬度2。 人間の爪と同じ程度か、ヘタをすると、爪で傷が付くほど軟らかいのです。 直射日光に当たるところに置いておいたら曲がってしまったという話を聞いたほどなので、取り扱い要注意! この石の魅力である白い縁取りも、実は湿気に弱いこの石が、わずかにダメージを受けているためらしいのです。 これ以上ダメージを受ければ、結晶の表面が白く濁り、つや消しになってしまう可能性があるので、 大事に保管しなければ。 石好きさんとしては、ジプサムよりもセレナイトとしてなじみ深いかもしれませんね。 セレナイトは、ギリシャ語で月を意味する“Selenites”、もしくはギリシャ神話に登場する月の女神“Selene”にちなむと言われています。 さらに面白いことに、この石は、セレスタイト(天青石)、エンジェライトなどとも関係があります。 そもそもセレスタイトは、海水や塩湖の水が蒸発することによってできる、ストロンチウムを含む鉱物ですが、あの神秘的な青い色のもとでもあるストロンチウムが硫化カルシウムに置き換わり始めると、同じく神秘的でありながら不透明なエンジェライトになり、ストロンチウムと硫化カルシウムが完全に置き換わってしまうと、ジプサム(石膏)に、ジプサムから水分子がなくなるとアンハイドライト(硬石膏)へと変化するそうなのです。 セレスタイトといい、エンジェライトといい、セレナイトといい、いずれも繊細な美しさそのままに、軟らかく傷つきやすいのには泣かされます。 2006年1月4日、ブログ掲載 |
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