「ど」。 パキスタン産のアクアマリンです。 昨年(2005年)末までのアクアマリンに対する印象は、「きれいだけれど」でした。 「ど」が意味するところは、 きれいだけれど、高い。 きれいだけれど、結晶の形はあまり面白くない。 だから、 きれいだけれど、手が伸びない。 要するに、 きれいだけれど、KURO的には魅力が今ひとつ。 しかし、パキスタン産のアクアマリンに出会って、印象はきれいさっぱり覆りました。 アクアマリンって、色も、形もこんなに個性豊かだったのか! 目から鱗とはこのことです。 180度転換 これまで、アクアマリンというとカットされてアクセサリーになっているか、透明度や色はすばらしいけれど全面ポリッシュされた結晶か、未加工原石でもえんぴつみたいな六角形の結晶だけ……という感じでした。 しかし、水晶にくっついているものあり、放射状結晶あり、いくつもの結晶が固まった、ベリルバージョンのカテドラルあり、色も、薄いの、濃いの、インクルージョンのあるなし……。 水晶のようにとは行きませんが、なかなかどうしてやるじゃん、アクアマリン! 水晶ではお目にかかれない透明な淡い青の結晶が作り出すバリエーションは、蒸し暑さにあえぐ今の季節と相まって、心にぐぐっとヒットしました。 内包物が何だ さて、写真の石は長さ3センチほど。 アクアマリンとしてはやや淡目、パキスタン産としては若干濃いめの色合いです。 表面や裏側に白雲母がくっつき、ショールも内包されているので、かなり透明感があるのに、雲母やショールのせいであまり美しくは見えません。 しかし、「美しくは見えない」というのは、宝石鉱物としては、ということ。 インクルージョン水晶好きの目から見れば、これはアクアマリン・ガーデン! ルーペでじっくり見るポイントが増えたと言うことで、マイナス点ではありません。 表面にこびりついているところは、正直ちょっと惜しいと思いますが、そのおかげで、大きさも色も透明度もあるアクアマリンが手元にやってきてくれるなら、むしろプラスかも(笑)。 この石を選んだ決め手は、大きさ色合い、透明感の他にもう一つあります。 それは「手ざわり」。 一番大きく透明な柱面が妙につるつるすべすべしているのです。 単に凹凸がなくてすべすべ……というのとはちょっと違う、むしろ微妙な凹凸が気持ちいい感じ。 「なんだか気持ちいい〜」と良いながらよくよく見たら、写真に写っているように、柱面に六角形の模様が幾重にも浮き出ていました。 その様子は、さながら水晶でいうところの「レコードキーパー(レコード)」。 鉱物学的に言うなら成長丘。 どうして柱面 ……ちょっと待って下さい。少し変です。 水晶に浮き出る凸状の△は、成長丘という名の通り、水晶が成長していくときに現れる結晶の表情です。そしてそれはファセット(錐面)にできます。 アクアマリンは水晶と同じように断面が6角形の結晶を作りますが、先端は平らです。 水晶と同じような成長丘なら、この平らな面に出るのではないでしょうか。 (事実、先端の平らな面に六角形の盛り上がりがあるアクアマリンがあります) どうして、柱面に六角形模様なんだろう? アクアマリンでは柱面にも成長の痕跡が現れるのでしょうか。 それともこの結晶は特別に、柱面から新たな方向への成長をはじめたのでしょうか。 あるいは、成長丘ではなくて蝕像なのでしょうか。 私に言えるのは、お店で見たたくさんのアクアマリンの中で、こういう模様があるのはたぶんとても少ないということです。 不思議だなー、不思議だなーと良いながら、その模様を写してみたら、なんだか雨だれの波紋のよう。 今の季節にぴったりです。 (2006年7月24日、ブログ掲載) |
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