宝石鉱物だって 質を問わなければ、ルビーやサファイア、トパーズなどの宝石鉱物に名を連ねる石も、財布と大げんかをすることなく、手に入れることができます。 あくまでも「質を問わなければ」ですが。 しかし、宝石としては価値がない(低い)石でも、独特の結晶や、色合い、母岩との組み合わせなど、石好き心を揺さぶる魅力には事欠きません。 そんなこんなで「宝石品質でなくても十分!」と、小さなルビーやサファイアの原石を手に入れるわけですが、品質を問わなくても、なかなか出会えない石があります。 時折出会えても、他の石に比べてひときわかわいくないお値段だったり。 それは……ダイアモンドとエメラルドではないでしょうか。 え? そんなことはありませんか? 私としては「欲しくても高い〜」とぼやいてばかりなんですが。 それとも「できればなるべく安くてきれいなの、さらにできれば母岩付」などと言っているせいでしょうか。ともあれ、ぼやき続けること○年。 ついにエメラルドがやってきました♪ あこがれの母岩付き これは、6月の新宿ショーの戦利品です。 大きく写っていますが、母岩の差し渡しが7センチほど。 その一部にエメラルドの結晶がくっつく……と言うより埋もれています。 写真はその部分のアップ。画面の上から下までで3センチというところでしょうか。 母岩は、茶色の雲母を押し固めたような感じ。 さわるとキラキラしたものがわずかに指につくので、雲母で間違いないと思います。 一見非常に地味〜な石なので、新宿ショーでも可なり後半になるまで売れ残っていました。 初日は初日で掘る、後半、石が少なくなったら籠の底までじっくり掘る! ……とばかりに店頭で「発掘作業」にいそしんでいた時、何の気なしにひときわ地味な石を手に取りひっくり返してみると……。 ちょっぴりだけれど、紛れもなくエメラルド・グリーン! しかも、じっくりよく見ると放射状に結晶しているように見えるのです! 結晶の形が整っていなかろうと、透明感がなかろうと、これは、あこがれの母岩付エメラルド。 ほくほく(「お買い物心得」に従って内心で小躍り)しながらゲットしたのは言うまでもありません。 帰ってからカメラでアップにしてみると、思ったより透明感もある様子。 これはラッキー! さて、エメラルドはみなさんご存じのようにアクアマリン(水色)やモルガナイト(ピンク)、ゴシェナイト(透明)などと同じベリル(緑柱石)に属する石です。 しかし、ベリルの中では比較的産出量の少ない石でもあります。 それは、同じベリルでも発色原因が違うからです。 たとえば、モルガナイトはマンガン(二価のマンガンイオン)ですし、アクアマリンは鉄(二価の鉄イオン)です。同じ鉄イオンでも電子の状態がわずかにちがう三価の鉄イオンが発色原因になると、黄色のヘリオドールになります。(透明なゴシェナイトは、不純物を含まない純粋なベリルです) これらのベリルは、ペグマタイトという地中から昇ってきたマグマの中で最後にゆっくり結晶した岩石のなかで、長石や石英(水晶)などと一緒に結晶し、比較的大きな結晶も見られます。 一方、エメラルドの発色原因はクロムとバナジウム。 ところが、ベリルが成長する岩と、エメラルドの発色原因であるクロムやバナジウムが含まれる岩は、全く性質が違い、普通は一緒にならないのだそうです。 要するに、エメラルドは、「普通だったら起こりえない組み合わせ」で生まれた石と言うことになります。なるほど、エメラルドが少ないのも頷けます。 そのおかげで、普通はクラック(ひび)やインクルージョン(内包物)が含まれると宝石としての価値は下がってしまいますが、クラックや内包物がないエメラルドはほぼないと言ってもよく、むしろ天然であることの証とさえ見られていると聞いたことがあります。 エメラルドは日々を目立たなくするため、油に浸したりする処理が行われることが多いですが、母岩付のこの石には、もちろんそういう処理は行われていません。 岩の中から現れた、魅惑のグリーン。 産地は、たぶん、アフガニスタンだと思います。 (2006年9月1日、ブログ掲載) |
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