はまると恐いぞ、ガーネット。 形、色、産地。 いずれもバラエティー豊かで美しく、ほどほどに手が届く数の多さとお値段の鉱物というのは、はまるとこわいコレクション・ターゲットです。 大きくくくれば同じ鉱物なのに、「あ、見たことがない形」「この色きれい!」……と、次から次に欲しくなっちゃうのは、すでに水晶で経験済み。 フローライトについてはやや自制しなければなりませんが、同じく形、色、産地の三拍子そろったカルサイトやトルマリンにさほどはまっていないのはなけなしの良識というものかもしれません(笑)。 ガーネットもそんな「良識ガード」にひっかかっている鉱物ではあるのですが、かつてメキシコ産のみで幻のガーネットと言われていたレインボーガーネットが何と日本で見つかったとなれば、これは見逃すわけにはいかないでしょう! 気合いで虹を写す 写真のガーネットの大きさはおよそ8ミリ。 右下の画像で爪の大きさと比べていただくと、大きさの見当がつくと思います。 大きな結晶をつくるガーネットもありますが、レインボーガーネットでは大きな結晶はほとんど見つからないのだそうです。 しかも、こんな小さな結晶の中で虹が出るのはほんの一部分。 それを写すには根性あるのみ! 石の角度を微調整し、普段は使わない三脚を持ち出し、デジカメにルーペをあてがって、超マクロな視界で虹を探し、おなかに力を入れ、息を止めて、気合い一発シャッターを切る! ルーペ+カメラの最大ズームなので、ほんのわずかの手ぶれも命取りなのです。 写真の1カットを撮るためにどれだけピンぼけの山を築いたことか……! ガーネットいろいろ さて、写真にもあるようにレインボーガーネットは、アンドラダイトと呼ばれるガーネットの一種です。 実はガーネットは、15種の鉱物をまとめるグループ名です。 よく聞く名前にはグロッシュラー スペサルチンなどがありますが、はっきりいって私にはどれがどれだかほとんど見分けが付きません。 ガーネットの和名はご存じざくろ石。 結晶が集まった様子がざくろの実のように見えるというのでその名がありますが、ガーネットの各種の和名はこんな感じです。 グロッシュラー(灰礬ざくろ石) パイロープ(苦礬ざくろ石) アルマンディン(鉄礬ざくろ石) スペサルティン(満礬ざくろ石) アンドラダイト(灰鉄ざくろ石) ウバロバイト(灰クロームざくろ石) 例によってロマンに乏しい名前ですが、少なくともざくろ石であるということは一目瞭然です。 さらに、礬(ばん)はアルミニウムを意味し、以下同じように灰(かい)はカルシウム、苦(く)はマグネシウム、満は(マンガン)です。 これを覚えていると、少なくとも何を含むガーネットがわかるというわけで、これはこれで合理的かも…… このほか名前を聞くヘソナイトは透明で褐色のグロッシュラー、同じくグロッシュラーで緑色のものはツァボライトです。 レインボーガーネットが属するアンドラダイトは灰鉄ざくろ石なので、カルシウムと鉄を含むガーネットなわけですね。 レインボーガーネットの虹色のメカニズムは、結晶の表面が何層もの薄膜構造になっていて光の干渉がおこるためだそうです。 この構造はガーネットの結晶が生成された後に熱水による融蝕作用を繰り返し受けたためと考えられています。 レインボー・ガーネット第2弾はこちら (2005年5月23日、ブログ掲載) |
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