インド産 ヒマラヤ水晶

音で選んだ石




産地はどこ?

「おっ、ちょっとレーザーっぽいですね」
……はい。長さは約13センチ。重さは約100グラム。
  こういう太さのものでもレーザーといってもいいのかなあ……?

「この感じでは、ブラジル産?」
……残念、違います。

「透明度はありそうだけど、アーカンソーって感じじゃないね」
……実物より、ちょっと透明度が高く写っているかも。
  実際は若干表面が白っぽいです。向こう側の指が余裕で見える透明感ですけど。

「ブラジル産じゃないとすると、マダガスカルかな?」
……ブーッ、はずれです。

「え? 違う? じゃあ……中国でこういうの出てたっけ?」
……中国でもありません。答えは
インド
ヒマチャルプラデッシュ州、クル・マナリ産一般にインド産ヒマラヤ水晶と呼ばれるものです。


巨大山脈に線引き?

地図で見ていただくとわかるように、クル・マナリはインドの北部にあります。
(クルもマナリも別々の地名なので、要するにこのあたりで採れた、ということだと思います)
ヒマラヤ山脈の範囲については諸説あり、中には天山山脈なども含めてしまうことがあるようですが、一般には東端はプラマプトラ川、西端はガンジス川またはギルギットとなっているようです。
こうしてみると、クルもマナリも、ヒマラヤ山脈といえばそうとも言える場所にあります。

人によっては「インド産のものをヒマラヤ山脈というのか?」とおっしゃるかもしれません。
実は私もそう思っていた……というか、ネパール産とインド産をなんとなく区別して考えているとことがあります。
地図で見ればかなり離れているので、「ヒマラヤ水晶」とくくってしまうのには抵抗があるのも確かです。
しかし、さらに遠いパキスタンから、今度はガネーシュヒマール産と間違えそうな緑泥入り水晶が出ていたりします。
それに何より、今もなお成長をつづけている巨大山脈に対して、ほんのわずかなエリアの水晶だけを「これだけがヒマラヤ水晶」と決めつけてしまうのも、どうかと思うのです。
ブラジル産などをヒマラヤ水晶と偽るのはもちろん論外ですが、世界の屋根と呼ばれる大山脈ですから、いろいろバリエーションがあったっていいのではないでしょうか。

インド産ヒマラヤ水晶のイメージ

「凛とした」と形容したくなる透明感、天の高みを指す自然の厳しさを写したような形、切り出された岩の風情を伝える緑泥……。
このようなガネーシュ・ヒマール産水晶の特徴に比べて、インド産の水晶たちは、はるかに
「明るく」て「のびやか」な感じがします。
以前紹介した黄色い水晶のところでも書きましたが、インド産は緑泥の色も明るめで、同じ透明な水晶であってもネパール産は
「清冽」、インド産は……ちょっと変ですが「爽快」

……とまあ、インド産ヒマラヤ水晶は、私が思うところのヒマラヤ水晶の特徴をあまり備えていないのですが、この水晶は、そのなかでもさらにヒマラヤ水晶っぽくありません。
買ったお店は「ヒマラヤ水晶」「ブラジル産水晶」とちゃんとシールを貼って区別していたので、シールの貼り間違いさえなければ、産地が取り違えられていることはないと思います。

それにしても……ヒマラヤ水晶好きの私も、いきなりコレを目の前に出されたら、ためらいもなく「ブラジル産」と言ってしまうでしょう。きっと。
それなのになぜ、この石を買ってしまったかというと……。何度目かの「ヒマラヤ水晶欲しい波」のさなかであったということもありますが、決め手は
「音」です。

音が違う!

この水晶、柱面の一部が磨りガラス調になっていて、粉のような結晶がくっついてざらざらしています。
ここを手で触っていると、ザラザラしたところと皮膚がふれあって、かすかな摩擦音がします。
これは、この水晶に限らず、同じようなざわざわした水晶であれば同じことでしょう。
……しかしこの水晶、その摩擦音が心なしか高いのです。

傷つけないように慎重に、他の水晶と打ち合わせてみると……やはり、音が高い。
これは……もしかして「シンギング・クリスタル」とか呼ばれる水晶なのでしょうか。
このシンギング・クリスタルは、俗に普通の水晶よりも硬いとか言われますが、実際にどうなのかはわかりません。
ただ、確かに音の違う水晶というのはあります。
しかもこの水晶のように細長ければすべてそうだというわけでもないのです。

一見普通のこの水晶には他にも見どころがあります。




よく見ると……おや?

まず、左上の画像のように、ファントム入りです。
さらに、最初の画像や右上の画像でも見えているように、ちょうど真ん中あたりに斜めに筋が入っています。

それを拡大したのが下の二つの画像なのですが……、なんと、いったん折れて、ごくわずかズレ、なのにくっついているように見えます。
右下の画像で見えているように、中にはちゃんと「断面」が見えています。

折れたのにくっついているとはなにごと!
……と思っていたのですが、今年になって新しい話を聞きました。
とある石屋さんが、ななめにすぱっと切れたようになっている水晶を指して、
「これは自然に折れた(はずれた)」と教えてくれたのです。

見せてくれた水晶は、確かに外からの衝撃で「折れた」にしては断面がきれいで、セルフヒールドとまでは言えないにしろ、折れて砕けた断面ではありませんでした。

そのときは「自然に折れた(はずれた)」というのがどうやっておこるのか想像もつかなかったので、
いささか納得しかねる思いで効いていたのですが、今回この石をみて、遅ればせながら納得しました。

最初のきっかけが何かはわかりませんが、このような水晶の、今はくっついている「断面」が成長する……つまり、「断面」の部分で新たな結晶が進むことで水晶の先端がぽろりと自然に「折れる」のではないか……と思ったのです。

だとすれば、「セルフヒールド・クリスタル」と呼ばれている水晶の中のいくつかは、「Self-healed」 というよりも
「Self-dependence (独立)」。

セルフヒールド・クリスタルは、「そのまま自己を癒す」とか、自分や他人に癒しをもたらすとされていますが、もしも自ら分離した水晶の場合はどうなんでしょう?


(2005年4月22日、ブログ掲載)

 

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