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カルセドニー、アゲート、ジャスパー……
多彩な水晶の仲間について




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石の「家系図」もおもしろい

これは水晶、これはアゲート、こっちはカルセドニー……と石の名前を覚えていると、時々思わぬところで引っかかります。
水晶とカルセドニーが仲間? こっちでは水晶を石英といってるし、これってどういうこと?
……実は「天然石」やパワーストーンの分野では、鉱物学的な名称や宝石の名称、俗称などが入り交じって使われています。そのため、石と石とのつながり、人間で言うところの血縁関係、家系図のようなものが連想しにくく、「え?」ということになるわけです。
ある程度石を覚えたら、そのつながりも知っておくと石の見方が広がります。
ここでは石好きさんなら知らない人はいないであろう、水晶の仲間について紹介します。


石英族……共通項は成分(SiO2

カルセドニー、アゲート、ジャスパー、水晶、石英は、基本的に二酸化珪素(SiO2からなる鉱物です。
これらは、専門的には、まとめて
石英族(石英グループ)と呼ばれます。
鉱物というのは、成分と結晶の仕方(結晶の基本パターン:結晶系)によって分けられます。同じ成分でも、結晶の仕方(結晶系)が違えば別の鉱物に分類されます(例:カルサイトとアラゴナイト、カーボナイトとダイヤモンド)。
この考え方では、水晶もカルセドニーも、成分・結晶の仕方が同じなので、大きな分類では同じ鉱物に分類されてしまうのです。

その他たくさんの鉱物の中で話題にするには、細かく分けずにざっくり「石英グループ」として扱っておく方がわかりやすいですが、逆に石英グループの中だけで話をするとなると、石英の仲間はあちこちでたくさん産出しますし、色や形もバリエーション豊か。
あれもこれもそれも全部「石英Quartz)」では、逆にややこしいし、現在のように成分や結晶の仕方で分類するやり方が生まれるより前から、装飾品などに広く用いられ、色などによっていろいろな名前が付けられてきたので、習慣的にその名前で呼ばれているものが多いです。
また、ビーズなどでさまざまな模様や色のものが流通するにあたり、新しい名前(商品名)も次々につけられているようです。つまり、日頃目にする名前は、昔から親しまれてきた呼び方 (鉱物としての区別にはそぐわない場合もある) や宝石名、俗称、新しくつけられた商品名がごちゃまぜになっているのです。

ご多分に漏れず、私も以前に「え?」と蹴躓いたクチなので、その体験を元に、ちょっと整理してみます。


石英族を整理整頓……まずは、結晶の大きさで。

結晶の大きさ……といっても、高さ何センチ、幅何センチ重さ何グラムという話ではありません。
構造だと思ってもらった方がいいかも……。
石英族は、まず、結晶の大きさによって分けられます。

目に見えるほど大きく結晶していることを
顕晶質(けんしょうしつ)といいます。水晶や石英は顕晶質です。
一方、カルセドニーやアゲート、ジャスパーはミクロサイズの結晶が集まった
潜晶質(せんしょうしつ)の石です。
「え? カルセドニーだってしっかり目に見える大きさだけど?」
……と思われるかもしれません。ここで、先ほど言った「何センチ何グラム」という大きささはなくて、
構造と考えた方が良いという話になります。
潜晶質とは、わかりやすく言えば、「目に見えないほど小さな結晶が固まった、つぶつぶ構造」ということ。

同じくらいの大きさの石英の固まり(ぶっかき氷状)とカルセドニーの固まりがあったとします。
このとき構造を比べると、石英の方はぎっちり中身が詰まった大きな結晶のかけらであるのに対し、カルセドニーの方は、ミクロの結晶の集まりです。

 
ぎっちり構造の顕晶質(けんしょうしつ)(水晶・石英)」
つぶつぶ構造の潜晶質(せんしょうしつ)(カルセドニー、アゲート、ジャスパー」
……と考えるとわかりやすいでしょうか。


水晶と石英の違い

まずは
「ぎっちり構造の顕晶質に分けられた水晶、石英です。
英語で言えばどちらも「クォーツ(Quartz)」で、和訳すれば石英ですが、一般的に二酸化珪素の結晶が自由成長し、目に見える大きさの
結晶の姿をしているものを水晶結晶しているものの、地中で成長していた岩の隙間を埋め尽くしてしまい、結晶の形を残すことができずに塊状になっているのものを石英と呼んでいます。
(※鉱物の分野では「結晶している(分子が規則的に組み合わさっている)」のは、言わなくてもわかる当たり前のことなので、結晶の形をしているものを「結晶している」、固まり状のものを「結晶していない」「結晶ではない」と言う場合があるので、勘違いしないようにご注意を)
※水晶の成長のしかた(概要)、岩の隙間を埋め尽くすとはどういうことか……についてはこちら


わかりやすい例としてローズクォーツで説明すると、丸玉やハートなどに磨かれているものは、もともと塊状で産出して結晶の形をしていないので和名では「紅石英」ですが、ごく希に結晶しているものなら「紅水晶」ということになります。

(習慣的に、塊状や磨いて形を作ったものでも透明度が高いと「水晶」と呼ぶことも多いです。例:水晶玉、ビーズなど。透明度の高いものが水晶、不透明なものが石英と説明しているところもありますが、不透明でも結晶の形をしていると水晶と呼ばれるので、結晶の形か、透明度が高いものを水晶と呼ぶ、というのがわかりやすいかと思います)
※水晶の意味で「クリスタル」が用いられていますが、本来クリスタルは「結晶」の意味。アズライト・クリスタルといえばアズライトの結晶のこと。また、キラキラと美しいクリスタルガラスの略でもあるので「クリスタル=水晶」と思っていると、思わぬところで勘違いします。鉱物のラベルでは「Quartz」と記されています。
※水晶を砕いて溶かして固めた「練り水晶」というものがありますが、溶かして固めただけでは結晶していないので「ガラス」です。

結晶しているけれど塊状 結晶の形を残している
英名ではローズクォーツ、和名は石英 英名ではローズクォーツ、和名は水晶

透明度が分ける違い

繰り返しますが、カルセドニー(玉随)アゲート(瑪瑙)ジャスパー(碧玉)と呼ばれる仲間は、目に見えないくらいの細かい二酸化珪素の結晶が集まったものです。
先に挙げた
「つぶつぶ構造の潜晶質です。

もうちょっとくわしくいうと、水晶(石英)は地下深くの高温高圧の環境下で結晶しますが、カルセドニーやアゲートが結晶するのは、もっと温度が低いところ。そのために二酸化珪素は水晶のような大きい結晶にならず、とても小さいものになります。それが岩の隙間などに沈殿して固まったのがカルセドニーやアゲート、ジャスパーです。
この石英系の潜晶質の石をまとめてカルセドニーといい、模様や透明度によって細分化されています。
一般的には、半透明なものをカルセドニー縞など、模様がきれいなものをアゲート不透明なものをジャスパー(※)といいます。厳密には不純物を20%以上含んだ不透明なものをジャスパーとしているそうですが、石の中の不純物なんて、どうやって測るのでしょう。
※鉄鉱物や粘土などの微粒子を含み、特殊な条件で形成された不純な石英の集合体とする説明もあります。

図に表すと下図のようになります。



カルセドニー
半透明:模様がはっきりしない
カルセドニー

カルセドニーは、微細な石英の粒が集まってできた
「つぶつぶ潜晶質」の石の総称です。
そのため、アゲートやジャスパーをカルセドニーであると言っても間違いではありません。
……というとこんがらかるかもしれませんが、長石や、石英など、細かく分ければ色々ある石を大きなくくりで説明する場合は、カルセドニーでアゲートで……というと逆にややこしいのでまとめてカルセドニーと呼ぶわけです。
逆に細かく分けると模様がきれいなものはアゲート、不透明なものがジャスパーと言われ、その場合は、残りの半透明で模様がはっきりしないものがカルセドニーと呼ばれることが多いようです。

半透明で模様なし……そのため、カルセドニーで一番注目されるのは
です。
カルセドニーの多くは色が白っぽいクリーム色で、どちらかというと地味な石ですが、中には美しい色のものがあり、それらには特別に別名がつけられてています。

アゲート
模様がきれい

ブルー・カルセドニー

シーブルー・カルセドニー
●青いカルセドニー
青いカルセドニーで知られているのは、ブルー・カルセドニーシーブルー・カルセドニーです。
秋の澄んだ青空を思わせるブルー・カルセドニーは天然の色ですが、ブルー・カルセドニーよりもちょっと緑っぽい青緑のシーブルー・カルセドニーは、
染めによる色です。

バイオレット・カルセドニー
比較的最近見つかった紫
バイオレットカルセドニーパープル・カルセドニーと呼ばれるラベンダー色のカルセドニーを見かけます。つぶつぶ構造であるカルセドニーは染めやすいので、これも染めかと思えば、なんと天然の色。色の仕組みはアメジストに似ているようです。

クリソプレーズ
●緑のカルセドニー
緑のカルセドニーには2つ名前があります。
一つはくすんだ濃い緑のプレーズ。もう一つはオーストラリアなどで産出する、明るいアップルグリーンのクリソプレーズといいます。(クリソプレーズは直射日光などで退色することがあるそうです。注意!)
プレーズはアクチノライトの細かい結晶によるもの、クリソプレーズはニッケルによる発色と聞いたことがあります。(クリソプレーズはオーストラリアヒスイ、などとも呼ばれることもありますが、ひすいとはまったく別物です!)

カルセドニーはとても染めやすい石なので、染めによる緑もあります。

深い赤の、これが本来のカーネリアンだと思う
●赤いカルセドニー
赤っぽい色のカルセドニーは2種類
あります。
ヘマタイトによる深みのある赤い色のカルセドニーが、カーネリアン(紅玉随)です。
無色のカルセドニーを適度な温度で加熱して赤く変えることができるそうで、ビーズでは加熱着色されたものがほとんどのようです。
このカーネリアンにはっきりとした縞模様が入ると、アゲートに分類され、「縞模様の瑪瑙」を意味する「オニキス」の名称が加わって、カーネリアン・オニキスと呼ばれることがあります。
一方、褐鉄鉱(リモナイト)による、オレンジ〜茶色っぽい赤のカルセドニーが「サード」です。
サードに縞模様が加わると「サードニクス」「サードオニキス」と呼ばれることになります。
本来、カーネリアンは全体が深い赤いのカルセドニーのことですが、一部分が赤いだけのカルセドニーや、サードを含めてカーネリアンと呼ばれていることがあります。



カーネリアンは、本来深い赤のカルセドニーのことです。ところが、昨今のビーズでは淡いめのオレンジのカルセドニーが「カーネリアン」と呼ばれています。
かと思うと無地で濃い赤のビーズが「赤瑪瑙」と呼ばれています。

「赤瑪瑙」は、天然で濃い赤のカーネリアンはビーズにするほどたくさんは採れないので、染めて濃い赤の色合いを出しているものだという話を聞いたことがあります。
染めて赤くしたものは、「カーネリアン」の名前では取引できないので、「赤瑪瑙」
(縞模様がないので瑪瑙という呼び方は混乱のもとですが……)と呼ぶわけです。

一方オレンジ色のビーズのカーネリアンは染めではないようです(加熱処理の可能性はあります)。濃い赤の部分もあるにはあるようですが、その周りの色の淡い部分も一緒にビーズにしてしまい、それらもまとめてカーネリアンと呼ぶために、いつのまにかクリーム色〜オレンジのカルセドニーまでがカーネリアンだと思われてしまっています。
これはちょっと納得できません……。


カーネリアンという名前の由来はラテン語の「肉」だと言われています。命そのもののような血肉の赤い色……やはり深紅の石でなくては。

↑染めではないけどカーネリアンと言うには色が淡すぎる「カーネリアン」

↑色はカーネリアンだけれど、残念ながら染めによる赤らしい

カーネリアン


サード


カーネリアンオニキス


サードオニキス
カーネリアンとして売られていたタンブルだが、この程度の色ではカーネリアンと呼べないかも 光に透かすと色の縞。こういうのをカルセドニーというかアゲートというかはかなり微妙 カーネリアンのタンブル
深い赤が美しいものは、探すとなると意外に見つからない。
茶色っぽい赤に直線的な白い縞模様。これぞサードオニキス

本来のオニキスはすっきり白い縞。


ビーズのオニキスはほぼすべて染めらしい
●オニキスはちょっと複雑。

天然石ビーズでオニキス……という場合、最近では「黒いカルセドニー」を指します。
単色で色のはっきりしたカルセドニーを「ホワイト・オニキス」のように「色名+オニキス」と呼ぶ場合も多くなってきました。

ところが、本来オニキスは縞模様のある石……細かく分ければアゲートに分類される石なのです。
オニキスのもともとの意味は「爪」。黒いカルセドニーに爪の白い部分のようなシャープな縞模様がすっきり入った石のことでした。(左写真上)


それが、いつの間にか「黒い部分だけ」がオニキスと言われるようになり、オニキスが「単色のはっきりした色合いのカルセドニー」の意味に用いられてしまっています。

今さら「正しくないから名前を変えろ!」と言っても混乱するだけですが、本来の意味は知っておいた方がよいのでは。

ちなみに、天然で真っ黒なカルセドニーは実はとても少なく、ビーズに加工されているものはほぼすべて「染め」だということです。

ローズクォーツにそっくりなピンク・カルセドニー
●色はそのほかいろいろと

カルセドニーはざまざまな色がありますが、カーネリアン、クリソプレーズ、プレーズを除くと、たいていは「●●(色名)・カルセドニー」と呼ばれていることが多いようです。
中には、ビーズにしてしまうと一見ローズクォーツと見分けが付かないようなピンクのものもあります。(ピンク・カルセドニー)

●原石で魅力的なものも

また、カルセドニーはビーズなどに加工されているものが多いですが、原石のままでも魅力的な形のものも多いです。↓

また、結晶の形が見えるけれど、かなり小さく密集しているものは、水晶と呼ばれたりカルセドニーと呼ばれたりします。
カルセドニーは磨かれているものが多いが、未加工だと、こんな感じにもこもこのものがある ローズアゲートという名前で売られていたが、これはローズと言うよりピーチ、アゲートと言うよりカルセドニー こんなもこもこもカルセドニーらしい表情 こんな繊細なかたちになることもある。まるで生き物のよう……。
もこもこ、カルセドニー。
中は空洞

このタイプは蛍光するものがある。
もこもこの形の上を透明な層が覆い、キラキラ輝く もこもこしているが、よく見ると結晶の形が見えるような……それでもカルセドニーと呼ばれることもある。 クリソプレーズ。
ニッケルによる発色で、日光によって褪色するとも聞く。

アクセス解析の検索フレーズに「カルセドニーとカルサイトの違い」というのがありました。
どちらも「カル……」で始まる名前ではありますが、
カルセドニーは石英グループの鉱物で和名が玉随。成分は「SiO2」
カルサイトは和名が方解石、成分は「CaCO3」
そのほかいろいろ比べるまでもなく
全く違う鉱物です。
ビーズにすると見た目にているものがあるからといって、お間違えなきよう……。

アゲートらしいアゲート


縞模様でないアゲートももちろんある。まるでヒョウ柄


バンデッド・アゲート
チベタンアゲート
アイアゲート
天眼石



ブルーレース・アゲート


ボツワナ・アゲート


モス・アゲート


デンドリチック・アゲート


ファイアー・アゲート
アゲート

カルセドニーの中で、模様がきれいなものがアゲート(瑪瑙)
その模様の中で一番一般的なものが縞模様でしょう。
これは、岩の隙間の中にミクロサイズの石英の結晶が徐々に沈殿していくうちに不純物の成分が変わり、それが色の変化となって縞模様を作るからです。
しかし、アゲートと呼ばれるものは縞模様ばかりではありません。

●模様の意味するところを知っておく

さて、アゲートの模様もバリエーション豊かなのでいろいろ名前が付いています。
ここで気をつけておきたいのは、この名前にもいろいろなパターンがあるということ。

ひとつは
模様による名前
縞模様ならバンデッドアゲート。これは英語の綴りで書けば「Banded Agate」。Bandedとはバンド(帯)模様のある……という意味。
産地・色に関係なく縞模様(帯なので比較的まっすぐなしっかりした縞模様)ならば、バンデッドアゲート。
天眼石サードオニキスもバンデッドアゲート……というか、バンデッドアゲートだけでもいろいろあるので色や産地で別名が付いているわけです。

縞模様が細く、繊細にくねくねしていたらレースアゲート
それが青ければ「ブルー・レースアゲート」。気が狂いそうなほど細かくて複雑なレース!……なものはずばり「クレージーレース・アゲート」です。
クレージーレースアゲートは産地が限られているようですが、産地ではなくその模様によって付けられている名前です。

そのほか、何かが吹き出したような羽毛のような模様の「プルーム・アゲート」、目玉のような模様があるから「アイ・アゲート」(縞模様を生かして目玉に見えるように削ったものも含む)など模様による名前は色々あります。

産地による名前もあります。
これはズバリ、産地名を冠したものが多いです。たとえばチベットで採れるからチベタン・アゲート、ボツワナ産ならボツワナ・アゲート
たいてい個性的な色・模様であるために産地の名前が付いています。
模様が似ているからといってよその産地のものを違う産地の名前で呼んではいけません。

ここで注意したいのは、たとえばチベット産のアゲートは産地に注目すればチベタン・アゲート、模様に注目すればバンデッド・アゲート、削り方によってはアイ・アゲートまたは天眼石とも呼ばれます。
このように同じ石がいろいろな名前で呼ばれる場合があるので、名前が意味するところを知っておいた方が便利です。


●そのほかにも
縞模様意外にもいろいろなアゲートがあります。緑泥石が苔状もしくは草木状に入っているものが、モスアゲート
二酸化マンガンのデンドライト(しのぶ石)が木の枝のような模様に入っていることもあり、これはデンドリチックアゲートとかモカ・アゲートと呼ばれたり、風景のように見えるものはランドスケープ・アゲートと呼ばれることもあるようです。
珍しいものでは、カルセドニーの層の上に、鉄鉱物の板状結晶がぶどう状に成長して、まるでオパールのような効果を現すファイヤー・アゲート、ほぼ半透明白で微妙な縞模様が光の干渉を引き起こし、美しい虹が見える「イリス・アゲート」いうのもあります。

●パワーストーンの観点からつけられた名前もある
パワーストーンの分野では、模様でもなく、産地でもなく、名前の由来がはっきりしないものもあります。
たとえば、スレイマン。南インド産の白黒アゲートですが、いったいどうしてスレイマンなのか、ショップの説明を見てもわかりません。
個人的にはソロモン(トルコ語でスレイマン)、あるいはパキスタン・アフガニスタン国境沿いのスレイマン山脈と関わりがあるのかも……と思っています。
こういう石は、けっこう値段が高い場合が多いですが、パワーストーンショップではない店では、普通にアゲートとして売られていたりします。


●カルセドニーなのに瑪瑙?
模様なしの半透明で、色も染めっぽくない自然な色合いなのに「瑪瑙」と呼ばれている石(原石)を見かけることがあります。
これは、「金銀珊瑚……」という日本古来の「宝物」の中の瑪瑙、現在のカルセドニーの中で模様があるなしという区別の仕方ではなく、石の中で色がきれいで半透明のものを習慣的に瑪瑙と呼ぶことがあるようです
スレイマン
南インド産の白黒アゲート。
よく見ると白い部分にアゲートらしい模様がある。
インディアン・アゲート
インド産という意味。モス(緑泥)入りや様々な色合いのものが混じっている
クロスアゲート。
天然の模様がうまくクロスになるように磨いたもの。
アゲートか、カルセドニーか、これもビミョー
カルセドニー・ブルーモスという名前で売られていたが、どっちかと言うとアゲート アゲートの縞模様はよく見るととても美しいと思う。 左がアゲート化した珊瑚の化石、右がアゲート化した恐竜の骨。化石がアゲート化することもある。
アゲート化=アガタイズとも呼ばれる
オーストラリア産のアゲート。サンダー・エッグ、アミュレット・ストーン、ウルルズ・チルドレンなどいろいろな名前あり。 オニキスとは本来、黒地に白い筋のアゲートのことだった。
中身はカルセドニーといいたい半透明模様なしだが、表面が蛇皮模様なので、スネークスキン・アゲートと呼ばれる 繊細に曲がりくねった縞模様は、レース・アゲート。もっと複雑だとクレイジー・レースアゲート ダグウェイ・アゲート。
結晶している部分はカルセドニーといいたい感じだが、石全体がおもしろい形状だとアゲートと呼ばれる場合もある
サードオニキスも縞模様なので分類としてはアゲート。

オーシャンジャスパー


オーシャンジャスパー

プラズマ
ジャスパー

ジャスパーは、おおざっぱに言うと、カルセドニーに不純物がたくさん含まれて不透明になったものということになります。
不透明というと、カルセドニーに分類される(ブラック)オニキスや、瑪瑙でも不透明なのがあるじゃないか……と思われるかもしれません。この場合の不透明は、ビーズやタンブルで不透明に見えるというのではなくて、たとえば薄くスライスしたら光に透ける、薄くしても透けないというような違いです。
たくさん見て慣れてくると、なんとなーくわかるようになります。

ジャスパーも、色や模様によっていろいろな名前が付いています。
珍しいところで言えば、マダガスカルの「オーシャンジャスパー」があります。
白や緑、時にはピンクの地にさまざまな丸い模様が現れる、カラフルなジャスパーです。
海の中にあり、潮が引いたときにしか採掘できないのだそうです。
オーシャン・ジャスパーのように、石の中に球状の構造を持っていて、磨くと丸い模様になってあらわれるジャスパーを、「オビキュラー・ジャスパー」ということもあります。
そのほか、よく知られているところでは、濃い緑に赤い点が散っているブラッドストーンもジャスパーの一種です。(※カルセドニーの一種とされる場合もあります)
そして、ブラッドストーンの緑の部分のもっと色の濃いものをプラズマというのだそうです。昨今大人気の薄型大画面テレビではありません(笑)。
赤い斑点模様がない、緑だけのブラッドストーンは、ブラッドストーンではなくてプラズマと呼ぶべきでしょう。

オーシャン・ジャスパー
半透明で構造がよく見える
ジャスパーは地味だと思われるけど、地味は地味なりに美しい ブレシエイテッドジャスパー……というらしい。
brecciateとは、「〜を角礫化する、砕く」という意味
アイアン・タイガー。赤く見えているところがジャスパー(金色がタイガー・アイ、黒がヘマタイト)
オーシャン・ジャスパーの産地の近くで採れるというンババ・ジャスパー ブラッドストーン
写真のようにある程度透けるので、
カルセドニーと呼ぶべきかも?
レッド・ジャスパー
スパーらしい不透明。
ポピー・ジャスパーと呼ばれていることもあるが、本来は、ポピーの花を思わせる丸く赤い模様があるジャスパーのこと

ムーカイト


レオパード・スキン
(レパード・スキン)


ピクチャー・ジャスパー
ジャスパーと呼ばれる別の石

このように、実に様々な模様と名前を持つジャスパーですが、実は、ジャスパーではない石がジャスパーと呼ばれていることがあります。
一見ジャスパーに見える色合いや光沢の石が、実際それがどういう石か確かめられることもなく、ジャスパーとひとくくりにされてしまうのです。
ジャスパー等に間違われやすい石には、泥岩砂岩凝灰岩などがあります。いったんできた岩が風化して泥や砂になり、それが再び固まったのが泥岩・砂岩。これに珪酸分がしみこむと、ジャスパーにそっくりな感じになりますが、本来のカルセドニーやジャスパーは、目に見えないくらい小さな二酸化珪素の結晶が沈殿して固まったものですから、できかたが全く違うのです。
珪酸分がしみこんだ泥岩の一種としてよく見かけるのがムーカイトです。レオパード・スキン(レパード・スキン)と呼ばれているのも石英斑岩(花崗岩の一種という説もあり)と呼ばれる岩です。
ピクチャー・ジャスパーと呼ばれる石の多くもジャスパーではありません
そのほか、流紋岩(ライオライト)花崗岩(グラナイト)も、ジャスパーと同じように扱われていることがあります。
ライオライトは「レインフォレス・トジャスパー」、グラナイトの一種である、通称「ダルメシアン」も、ダルメシアン・ジャスパーと呼ばれていることが多いです
そのほか、サーペンティン(蛇紋岩)や、マーブル(大理石)など、明らかにジャスパーとは質感が違う石でさえも、ジャスパーの名前が付いていることもあります。
ライオライト(流紋岩)
レインフォレスト・ジャスパーの名前が付いていたことがある
ダルメシアン・ジャスパーと呼ばれるが、ジャスパーではない。正しくは花崗岩の一種でアプライトという種類の石。 エキゾチカ・ジャスパーと呼ばれているのを見た石。泥岩が変化したものらしい。 インペリアル・ジャスパーも、泥岩っぽい。
モス・クォーツ、セサミ・ストーン、セサミ・ジャスパーグレー・アゲート……いろいろな名前が付いていたが、これは花崗岩。 ゼブラロックというが、時にゼブラ・ジャスパーと呼ばれている泥岩の一種。 ゼブラ・ジャスパーと呼ばれるが、これもジャスパーではなくてマーブル(大理石)の一種 ちらも売られていた名前はゼブラ・ジャスパー。実物は、ジャスパーには見えない、これもサーペンティンの一種
ブラックストーンはブラック・ジャスパーであるという……だが、それだけでもないかもしれない。 アルガ・ジャスパーという名前で売られていたロシア産サーペンティン別の店では、なんとオブシディアンの名前が付いていた。   ツリー・ジャスパー、またはグリーン・スポット
ジャスパーとではなくてソーシュライト、もしくはドロマイトと言う説が有力。
フリント。縞々で、成分もSiO2。しかし生物由来の堆積岩であるため、チャートに分類される。
アゲートではない。

ローズアゲートという名前で
売られていたカルセドニー




    
           
ただし、区分けはフレキシブル 

……と、ややこしい区分けについてまとめてみましたが、どうやら厳密に区別されているわけではないようです。
(海外では厳密に区別されているが、日本ではかなりルーズという話もあり)
オーシャンジャスパーは半透明なものも多く、模様が美しくても習慣的に「ジャスパー」ですし、(中には、オーシャン・アゲートという名前にしているところもあります)
左のローズ・アゲートは半透明で模様もないのに、カルセドニーではなく、アゲートでした。
ダルメシアン・ジャスパーなど、実は違うという話を聞かなければ、見てもわからないわけで、目くじら立てて「ジャスパーじゃない!」と言わなくてもいいとは思いますが、カルセドニーやアゲート、ジャスパーがどういう石のことをいうのか、ということは知っておいても損はありません。
もちろん、厳密にジャスパーだからこういうパワーがある、という考えの方は、ちゃんと見分ける必要があるでしょうが……。
個人的に……どう見てもジャスパーじゃないサーペンティンやマーブル(大理石)をジャスパーと呼ばないで欲しいです。


加熱着色かもしれない
カーネリアンビーズ。


見るからに染めてる
グリーンのアゲート



こちらのグリーンは、
染めかどうかちょっと微妙



こういう微妙な色でも
染めだった……。



クラック(ひび)に染料を
しみこませた水晶ビーズ
カルセドニー(アゲート)の着色について

前述したように、カルセドニーやアゲートは「潜晶質」と呼ばれるつぶつぶ構造をしています。目に見えないくらい細かなつぶつぶの集合体であるこの石は、やはり目に見えないくらいの小さな隙間だらけの石であるということでもあります。そのため、大変染色しやすく、さまざまな色に着色されたものが出回っています。

カルセドニーの(アゲート)着色は、原石(かたまり)のまま行います。カルセドニーを塊のまま染色液につけ込み、細かな隙間に液を染みこませたあと、加熱して定着させるのだそうです。
(※最近、スライスしたものを染料に付けるという話も聞きました)
そのため染色ではなく着色と呼ばれ、ちゃんと処理されたものであれば水などで色落ちすることもありません。
黒い色には炭素、赤系統には酸化鉄、緑にはクロムなどが使われるそうです。
マゼンタ(赤紫)や真っ青、派手な緑などいかにも染めましたという色合いのものは一目瞭然ですが、シーブルー・カルセドニーのように、一見染めているとはわからないほど自然なものもありますし、無色のカーネリアンを加熱すると、含まれていた鉄が酸化して赤い色合いが強くなるので、加熱によって作られたカーネリアンやサードオニキスもあります。ビーズなどは、ほとんどが処理を受けているようです。

着色されたスライス・アゲートでは、濃く染まった層とほとんど染まっていない層が見て取れます。
これらの差は、層を形成する結晶の大きさによるものです。水晶を染めることができないように、結晶には染料が入り込む隙間がありません。結晶を染めようとすれば表面をコーティングするか、クラック(ひび)を入れてそこに染料を染みこませるしかないのです。
カルセドニーが染めやすいのはつぶつぶ構造ゆえに染料が染みこむ隙間が多いからです。そのため、つぶつぶ構造を形成する結晶が大きくなれば、そのぶん隙間がなくなり、染料が染みこむことができなくて、色づきが淡くなると言うわけです。

ビーズでは、同じような色合いのものが安価に、かつ大量に必要になります。
天然のものは、色合いがバラバラになりがちで、たくさん作ることができてもその中から似た色合いをそろえるには手間がかかります。そのような点からも染めが利用されやすいと考えられます。詳しい考察はこちら

中には「シーブルー・カルセドニー」のように自然界にはない色が作られ、その美しさゆえにもてはやされることもあります。
また、毒々しい色だけでなく微妙な色合いに染める場合もあり、ローズクォーツそっくりに染められたカルセドニーがビーズにされている場合もあります。


オパール


デンドライト・オパール
カルセドニーと
混じっていることがある

オパール

オパールも、実は二酸化珪素によってできている石です。いわば、石英やカルセドニーの親戚に当たる石ですが、ちょっと毛色がちがいます。
まず、鉱物とは「 「地中に天然に産出し、科学的にほぼ均一で一定の性質を有する無機物(多くは固体で、結晶している)」のこと。厳密には天然のものでなければ鉱物とは言わないし、結晶していないものは鉱物ではありません。
ところが、オパールは結晶していないにもかかわらず、例外的に鉱物の仲間に入れられています。

オパールが結晶していないとはどういうことか。
実は、オパールはカルセドニーやアゲートよりもさらに低い温度のところでできる石です。
カルセドニーでさえ、温度が低いために顕微鏡サイズの結晶しかできず、それが沈殿して固まったつぶつぶ構造の石でした。
そこからさらに温度が低いと……とうとう二酸化珪素は結晶することができず、顕微鏡サイズの丸い粒になって規則正しく並んで固まります。それがオパールです。
この丸いつぶの大きさと、規則正しく並んでいるという構造が、オパールの遊色効果を生み出しているのだそうです。

オパールは、石英やカルセドニーに比べて軽く、柔らかいのが特徴です。カルセドニーと混じっていることもあります。
ところが、ここにもややこしい石があり、ピンク・オパールと呼ばれている石は、厳密にはオパールではないのだそうです。

カメレオン・オパール
普通の状態では写真のように不透明だが、水に浸すと10分ほどで透明になる
キャッツ・アイ・オパール
キャッツアイ効果を持つオパール
メニライト
この、まるで生きているような、へんてこな形の石は、実はオパール。
ボルダー・オパール
一応、遊色♪
透明な中に遊色が浮かぶものをウォータ・オパールと呼ぶ場合がある。 シェル・オパール
貝の化石がオパール化したもの。貝の形に削ったフェイクもある。(多分これも)
オレゴン・オパール
このふんわり半透明な感じが「オパレッセンス」
グリーン・オパール
遊色はないが、美しいオパールをオパライトと呼ぶこともあるらしい。
ハイアライト(玉滴石)
もこもこした形は、まさしく滴がそのまま固まったよう。
オパライズド・ウッド
オパール化した木の化石。アゲート化をアガタイズというのに対しオパール化をオパライズという。
ペルーのブルー・オパール。緑と青が混じった感じがとても美しい。 ペルーのピンク・オパール。オパールと名前が付いているが、実はオパールではないらしい。

雲母がしっかり見える
「リアル・アベンチュリン」


こちらは黄鉄鉱か何かが
含まれているように見える



ヒマラヤ・アベンチュリン
といわれる石は、
色が濃くてきらきら



アベンチュリンとして
売れていたが、
全くきらきらなし
クォーツァイト(クォーザイト)

さらにややこしいのがクォーツァイト(クォーザイト)です。
アベンチュリンと呼ばれる石がありますが、アベンチュリンは、小さな破片状のヘマタイトなどがたくさん内包されて、きらきら輝く効果を持つ石英(水晶)のことでした。
(こちらのサイトさんに写真があります。)
現在、アベンチュリンというと、緑色の、インド翡翠の別名を持つ石を指します。
この石は、「フックサイトを内包したクォーツ(石英)」と説明されていますが、実は石英ではありません。

石英が風化して細かな砂となり、地殻変動の熱や圧力などで変成作用を受けて固まった岩……
珪岩(クォーツァイト)と呼ばれるものなのです。
成分は二酸化珪素が主なもので、細かな石英からなるつぶつぶ構造の石ですが、カルセドニーが細かな結晶の集まりであるのに対し、クォーツァイトは、風化した結晶……つまり、結晶のかけらが集まったもの、つまり、いったん結晶した石英から再び作られた(天然の)リサイクル石というわけです。
ですから、クォーツから生まれた石であるけれど、クォーツといってしまうのは実は正しくありません。

この中にフックサイトが含まれてきらきらして見えるものがあるので、アベンチュリンの一種として扱われていましたが、本来のアベンチュリンの産出がとても少なくなってしまったので、このグリーン・アベンチュリン……正確にはグリーン・アベンチュリン・クォーツァイトがアベンチュリンを代表する石になったのです。

ところで、、アベンチュリンの名前の元となったアベンチュレッセンスという言葉は、きらきら輝く効果を現すものです。
つまり、きらきらした効果を持つ石でなければ、アベンチュリンではありません。
緑色のクォーツァイトで、インド翡翠と呼ばれていても、きらきらしていなければアベンチュリンではないのです。
ところが、残念なことに、現在アベンチュリンとして売られている石の多くがきらきらしていないにもかかわらず、アベンチュリンの名前で売られ、フックサイトが認められるきらきらしたアベンチュリンの方が、わざわざ「リアル・アベンチュリン」という悲しい名前で売られています。
リアルなんて言わなくても、こっちがちゃんとしたアベンチュリンなのに……。


※最近このグリーン・アベンチュリンをクォーツァイトという代わりに「緑化フックサイト」と言っている説明を見かけました。
フックサイトそのものがクロム白雲母、つまり、クロムで緑色になった白雲母という意味なので、「緑化フックサイト」というと、緑色になった緑の雲母という、変な意味になります。
しかも、フックサイトだけでは雲母ですから、アベンチュリンにはなりません。
インド翡翠の別名を持つ半透明緑のグリーン・クォーツァイト
キラキラしていないのでアベンチュリンとは呼べない。
ブルー・クォーツァイト。
キラキラしているような、していないような、かなり微妙な感じ。
レッド・アベンチュリン。
レッドといいながらオレンジ。アベンチュリンと言いながらキラキラ感皆無。レッドアベンチュリンは染めてあるという説もある。
レッド・アベンチュリンとかモスコバイトと呼ばれる。
確かに赤くてきらきらしているが、これがクォーツァイトなのかどうかが不明。モスコバイトなら、雲母だけなのでアベンチュリンとは呼べない。

「モスコバイト」とは「白雲母」のこと。
白雲母にも赤い色のものがあるが、たいていは白っぽい色だから白雲母だといわれているわけで、上の写真のようなワインレッドのものを、堂々とモスコバイトと呼ぶのはちょっと抵抗がある……。
何か別の呼び方はないものだろうか。

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