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見て、比べて、考える。
その17
名前に一言もの申す!

石の名前は、実はいろいろ変化します。
専門的なところでは、石の分類を見直したために、使われなくなった鉱物名もあります。
そのほか、パワーストーンとしての「商品名」になると、一つの石にヒーラーが別々の名前を付けたり、
ヒーラーが付けた名前がいい加減に利用され、もとの石とは似ても似つかない石につけられたり。

名前がいい加減に適用されるのは、個人的に
イヤです。反対です! 問題だと思います。
そこで一言もの申す!


メタモルフォーゼス ロードクロサイト/インカローズ


メタモルフォーゼス(メタモルフォシス)

ブラジルで産出する半透明の塊状石英で、放射線を照射するといったん真っ黒になり、
黒いものを加熱すると一転グリーン・ゴールドに大変化することから
メタモルフォーゼス(変化/変身/変容)という名前が付きました。
グリーン・ゴールドに変化したものはオーロベルディと呼ばれるのですが……
最近変な名前が。
ここでもう一度メタモルフォーゼス(メタモルフォシス)の「変身!」をおさらい。
こんな風に大変身します。
メタモルフォーゼスは多くが半透明白ですが、ピンクがかったものもあり、これは「ピンク・メタモ(メタモルフォーゼス)」と呼ばれます。
変化途中の黒いものは、最近見かけるようになったばかりで、特に名前はありません。
これを「ブラック・メタモ」と呼ぶのはまだしも……半透明白のメタモルフォーゼスを「ホワイトメタモ」変化後のオーロベルディを「ゴールド・メタモ」「グリーン・メタモ」と呼んでいるところがあるようなんですが、これはどうでしょう。

メタモルフォーゼスはもともと半透明白。その前提でピンクのものをピンク・メタモと呼ぶわけです。
わざわざホワイトメタモと呼ぶ意味がわかりません。

オーロ・ベルディをゴールド・メタモと呼ぶのに至っては、はっきり反対です。賛成できません。
オーロ・ベルディというのはオーロ=金、ベルディ=緑という意味で、やや緑がかったこの石の色合いをはっきり表しています。
それをゴールドやグリーンと言ってしまっては、
微妙な色合いが言い表せません。

また、半透明白の方は、これから変化する(変化させられる)からメタモルフォーゼスだけれども、
変化してしまった後(これ以上変化しないもの)をメタモルフォーゼスと呼ぶのは変です。

これらの名前は正式な鉱物名ではなくイメージで付けられたものですから、その由来を大切にしたいもの。
安易に色名を冠して呼ぶのは反対です。

まだ「ホワイト・メタモ」「ゴールド・メタモ」は少数派のようなので、ここは声を大にして
「メタモルフォーゼス(メタモルフォシス)「オーロベルディ(オウロベルデ)」と呼びましょう! と申し上げたい。
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ロードクロサイトとインカローズ

ビーズで人気のピンク色の石・ロードクロサイト。たいていインカローズと呼ばれてます。
ですが……、実はロードクロサイト=インカローズとではないことはご存じですか?
正しくは
ロードクロサイト≧インカローズ。(ロードクロサイトの一部がインカローズと呼ばれる)
インカローズという名前は確かに美しいですが、できれば正しく使いましょう。

まず、インカローズと呼ばれている石が鉱物名をロードクロサイトということをご存じない方もいらっしゃるかもしれないので改めて。インカローズと呼ばれているピンクの石は鉱物名をロードクロサイト、和名を菱マンガン鉱といいます。
インカローズ(別名ロードクロサイト)ではなくて、ロードクロサイトが正式な名前。

ロードクロサイト(インカローズ)と表記されていることが多いですが、ロードクロサイトが全てインカローズと呼ばれるわけではありません。

インカローズとは、アルゼンチン産の、鍾乳石状に成長し、断面には年輪のような縞模様があり、その色と相まって「薔薇の花のように見える」ものにつけられた別名です。
色が薔薇色ではなく、
断面が見た目薔薇のように見えるものこそが本当のインカローズ。
このタイプはアルゼンチン産(の一部)にしか見られないのだそうです。
こちらのサイトさんによると、アルゼンチン・アンデス山脈のカタマルカ地方、カピジータス鉱山はインカの時代は金山、その後銅山として稼働していた鉱山で、ここでは鍾乳石状のロードクロサイトが産出します。断面は美しい薔薇色。
この美しいいしは、インカの時代から「インカローズ」と呼ばれていたのだそうで……アルゼンチン産でなぜインカ?と思っていましたが、場所としてはインカ帝国の範疇、しかもインカの時代からインカローズと呼ばれていたのなら、まさしくカピジータス鉱山の鍾乳石状ロードクロサイトこそがインカローズなのですね。
では、ビーズで見かける縞模様のあるロードクロサイトはどうかというと、他の条件、つまり断面が薔薇になる鍾乳石状でなくて縞模様になるものがあり、たぶんそちらの方だと思います。(つまり縞模様あり=インカローズではない

下の写真はすべてロードクロサイト。実にいろいろなタイプがありますが、この中でインカローズと呼べそうなのはとは、実は上段一番左のタイプ
だけなのです。(ちょっと色が鈍いので、美しいインカローズをこちらでどうぞ海外サイト

つまり、厳しく言うと、ビーズも含めてインカローズと呼ばれている石は、ほとんど「インカローズ」とは呼べない……ということになります。

ええ〜っという声が聞こえそうな気もしますが……ロードクロサイトと言う名称だって「薔薇色石」という意味。縞模様なしのタイプなら、こっちの方がふさわしいと思いませんか?

今さら、正しくない! 改めるべき! とは言いませんが、せめてインカローズとは本来どういう石を指すのか、知っておいてはいかがでしょう。
アルゼンチン産
このタイプが本来のインカローズ
ペルー産 ペルー産
ペルー産 ガボン産 産地不明
南アフリカ産 ペルー産 北海道産
どうです、結晶のロードクロサイトはなかなか個性豊かでしょう?
多くはピンク色ですが、中には赤いもの、意外に茶色のものもあります。
ロードクロサイト=インカローズと解釈すると、茶色いものまでインカローズと呼ぶことになってしまいます。

ちょっと鉱物な話になりますが、ロードクロサイトの化学組成はMnCO3。カルサイトはCaCO3
似てませんか? 実はロードクロサイトとカルサイトはMn(マンガン)とCa(カルサイト)が入れ替わっただけの、いわば親戚石。カルサイトの結晶系が多様であることを考えると、親戚筋のロードクロサイトが個性豊かな結晶形を持つのも頷けます。

ところが……身につける素材としては、ちょっと厳しい石です。
まず、
モース硬度が3.5〜4.5水晶よりガラスより、傷が付きやすい石です。(モース硬度は、割れやすさとは無関係)
また、劈開(一定方向に割れる結晶の癖)が完全なので、当たり所が悪いとぱっくり割れる危険があります。
さらに、
汗に弱いです。汗をかく季節に身につけたり、身につけている時間が長いとつやが消えます

また、ビーズでは縞模様が無く透明感のある薔薇色のロードクロサイトが人気であるため、カルセドニーやクォーツァイトを染めたものがロードクロサイトやインカローズの名前で売られていることがあります。
また「ゴールデン・インカローズ」の名前で売られている石は、ロードクロサイトではなくトリプライトという別の石のようです。
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