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インド産ヒマラヤ水晶いろいろ・4
マニカラン産 アイス・クリスタル

マニカラン産
2006年の新宿ショーではじめて見つけた蝕像水晶
※2006年の6月に見つかった、2006年の夏に見つかったという説明があるが、ちょっと変。なぜなら私はこの水晶を2006年の6月2日から始まった東京国際ミネラルフェアで入手しているから。少なくとも2006年5月以前の発見である。
※1995年に初めて見つかり、その後10年の間に4回しか産出せず、2006年が4回目の産出で、300キロ見つかったという説明もある。(ただし、○○キロしか見つからなかったという説明では、たいていそれ以上の量が流通しているので信用できない気もする)

激しい腐蝕にさらされたのか、柱面はごつごつと穴が空き(写真右)、錐面にはトライゴーニックと呼ばれる凹状の逆三角形「▽」が見られるものもある(写真真ん中)。先端部分は錐面が途中でとぎれて平らになっているものもある。先端部分が無く柱面のみのものも多い。
表面は、磨りガラス状で、鉄分の付着により淡いピンク色を呈している。
※先端が平らになっていることに対して 「c面が現れている水晶」と説明されることがある。水晶でc面があるものはとても珍しいが、厳密にはc面ではないとする説もある。
※ 柱面のごつごつは、腐蝕だけでなく、別の鉱物によって成長を阻害されていたものであるとする説がある。ただし、錐面に「▽」があることから、腐蝕を受けていることも確かである。(海外サイトではGrowth Interference Quartzと紹介しているところもある)

その後「穴あき水晶」「トライゴーニック」「「アイス・クリスタル」「ピンク・アイスクォーツ」「ニルヴァーナ・クォーツ」などの名前でwebショップでも見かけるようになった。一部ショップでは「雪とともに結晶し、採掘されて雪が解けると、その部分に穴があいているように見える」などと説明されていることがあるが、ゆめゆめそういうトンデモ説明を信用しないように
水晶は、地下の数百度の熱水の中で結晶するので、見つかったのが雪の中だとしても、雪と一緒に結晶したはずがありません。(念のため)

アイスクリスタルという名称について

この水晶は「氷河が溶けた下から見つかった」ということでアイスクリスタルと名付けられたといわれています。
ゆえに(海外サイトで見つけた)「グレイシャー(氷河)・クォーツ」の名前もあるのでしょう。

ただし、上にも書いたようにアイスクリスタルのごつごつ溶けた様子は、氷河が原因ではありません
水晶が地中深くで結晶したのち、まだ高温・高圧の環境下にある間に溶け、その後地下の温度が下がったり、地殻変動によって氷河ができるような高度まで押し上げられたのだと思います。

つまり、アイスクリスタルはあのような姿になった後に氷河の下に埋もれることになったのです。

ところが、最近は同じように溶けているようすであるという理由で他産地の溶け水晶を「アイスクリスタル」と呼んだり、アイスクリスタルとは別の呼び方である、「氷のように透明な水晶」という意味の「アイスクォーツ」と混同されている例を見かけるようになりました。

いくら溶けていても、「氷河の下から見つかった」という状況でないならアイスクリスタルとは呼べないでしょう。

またアイスクリスタルは見た目「氷のように透明」ではないですから、「アイスクォーツ」と一緒にしてはいけないと思うのです。

アイスクリスタルはインドのマニカランで採れる「氷河の下から見つかった」と言われる溶け水晶である。
この条件を守っていきたいものです。

※アイスクリスタルの産地について。

アイスクリスタルの産地はマニカランとされています。

マニカランはパルバティー川沿いにあり、「氷河の下から見つかった」という説明に従えば、実際のマニカランという街よりも山の上の方でしょう。
地図で見るとSaraunga氷河というのがあるようですから、なるほどと思われます。

ところが、最近アイスクリスタル(クル渓谷産)とかアイスクリスタルが採れるのは左地図に記した、山の上というよりもっと低い場所であるという話も出てきました。

「氷河の下から……」というのが宣伝文句だったのか、それ以外、広い範囲から採れるのか、謎は深まっています。


ブログで紹介したところ、さまざまな情報をお寄せいただいたので、ここでまとめてみたいと思います。
※ブログにコメント下さった夕凪さん、LUNAさん、ありがとうございました。


●産地はクル地区マニカラン村
マニカランの位置を調べてみたところ、パルバティ渓谷の一角である様子。クル渓谷と紹介しているところや、水晶以外のサイトで「マニカラン渓谷」という表記もあり。ヒンズー教、シーク教の聖地で、温泉地としても名高い場所だそうです。

●表面のピンク色は鉄

●氷河の溶けた後から見つかった(らしい)
 4000メートルの高さで見つかったという説明もあり

●現地では「ブーマンタール」と呼ぶ
(※その後この説明を聞いたことがない)
宗教的な意味合いの言葉らしいが意味は不明。
サンスクリット語でブータ
(bhuta/自然の力と言うような意味。地・水・火・風・空の五大元素をパンチャ・ブータという) という言葉があるそうなので、それらが関係していないかと想像している。また、この言葉に由来するブート、ブータ (死霊という意味) という言い方もあるそうで、このゴツゴツした形から「お化け水晶」のような意味合いだったら嫌かも……。


●一本一本がバラバラの状態で見つかるらしい。
水晶は基本的にクラスターの状態で見つかり、それを分解したものがポイントとして売られることが多いが、この水晶は一本一本がバラバラの状態で見つかるらしい。(追記:その後クラスタータイプのものも見かけるようになった)
まるでブラジルのレムリアンシードを思わせる状況だが、レムリアンシードにはくっついているものもまれにあり、くっついていたことを示す剥離痕を残すものもあるのに対し、アイス・クリスタルには剥離痕が見あたらない。
これは、水晶がクラスターからバラバラになったあとに腐食を受けたと考えられる。
……ということは、氷河の下から見つかるからと言って氷河によってバラバラになったとは言えないはず。(水晶の腐食は、高温下で起こると思われるので。少なくとも地下で、周りが水に満たされた状態で腐食されるはずなので、氷河とは相容れない)

トライゴーニックか否か
とにかく表面に「▽」があればトライゴーニック……という風潮ですが、個人的には水晶が溶けて現われた「▽」を持つものを「トライゴーニック」と呼びたい。 (※トライゴーニックについての個人考察はこちら
それに従えば、このインド産蝕像水晶は、立派にトライゴーニック……のはず。
ただし、最初にトライゴーニックとして紹介されたブラジル産の「▽」月水晶も、石のひとつひとつで感じがまったく違うと言う人もいれば、「▽」が付いていてもパワー的にトライゴーニックではない石があるという話もあるので、自分がどのような石をトライゴーニックであると判断するのか、じっくり考えてみてもいいかもしれません。


●エピドートによる成長干渉?
アイスクリスタルのこのごつごつについては、他の鉱物(エピドート)による成長干渉……という説明を見かけたが、違うと思う。
理由は三つ。
(1)ブラジルのエッチング・クォーツでエピドートが絡んでいるものがあるが、その場合はエピドートが残っているものが多い。対してアイスクリスタルではエピドート(またはアクチノライト)が残っているものを見かけない。
(2)ブラジルのエピドート(またはアクチノライト)入りエッチング・クォーツやそのほかエピドート(またはアクチノライト)が内包された水晶を見る限り、エピドートはルチルやトルマリンのように水晶中にまっすぐ内包される。
これが水晶の成長を阻害したとしても、アイスクリスタルの表面のごつごつのようにはなり得ない。
(3)エピドート(またはアクチノライト)が内包されていたものが抜け落ちた水晶では、そこに多の鉱物が入っていたことを示す、
まっすぐの空洞が残る。これもアイスクリスタルには見られない。

■その後の動向(2008年1月現在)
発売当初はいろいろな名前で呼ばれていたが、「アイスクリスタル」「ニルヴァーナ・クォーツ」の名前に収束しつつあるようす。
また、形も最初は大ぶりな単結晶で、先端が平らにとぎれているタイプが多かったが、その後小さなもの、溶けすぎて欠片状になったもの、先端のとんがりが残っているものも多く見られるようになった。
色についても、当初は全体的にほんのりピンクが多かったが、ちょっと色の濃いもの、ほぼ色味のないもの、逆に鉄さびのように覆われたものも見かける。はっきりとしたスモーキーやシトリン、アメシストタイプは見かけない。(全体で比べると何となく黄色いもの、浅黒く感じるものはある)無色で大ぶりなものもあまり見ない……ような印象もある。
ミネラルショーでは、質を問わなければ大量に量り売りされているので、あまり「希少な」水晶には思えない。しかし、語り、色、トライゴーニックの有無で探すと、数は限られてくるだろう。
■追記 (2009年10月)
まだミネラルショーでは見かけるが、一時の数の多さは見られない。

アイスクリスタルいろいろ
一番最初に手に入れたもの。大ぶりで「▽」付き。若干浅黒い感じだがほんのりピンク。
先端は平らに溶けている。
ほぼ色味なしで小ぶりな「▽」付き。先端が平らに溶けている部分をよく見ると、年輪のように輪状の模様が見える。 錐面や先端のとんがりがほぼ残っているもの。「▽」付き。
先端の触像の具合を見ると、先端が平らに溶けているものは、欠けたり何かに接触していたのではなくて、溶けて平らになったのではないかという気がする。
溶けすぎて水晶と言うよりは「くらげ」?
溶けて層状になっている方向がおもしろい。
とんがって見えているのは錐面ではない。溶けてとんがっているのである。
かつての錐面だろうか?
透明度がある石。溶けかけた錐面持ち。
かなり透明度が高い無色の石。透明無色の「アイスクリスタル」は少ないと思う。 溶けすぎて欠片状になったもの。まるで砂糖菓子の欠片のようでもある。 かなり色が赤黒いもの。もっと赤さび(赤黒さび)に覆われているものがあり、もとはそういうタイプ顔奥、綺麗なものは酸で処理されているのではないかと思える。
 
まるでミルフィーユ!
溶けてこんな層状になろうとは!
天然で穴が貫通していたのでチョーカー(ネックレス?)に。
ごつごつした風合い、ピンク色の色合いいかにも自然の石という、いい感じ。
なんとパイライト入り! この写真でも先端の真ん中あたりにパイライトが見えている。
     
平らに溶けた中から錐面ではないとんがりが覗いているような形 アイスクリスタルとしては溶けが少ない。 側面が大きく溶けてえぐれ、そこにもとんがり部分が現れている 
     
赤黒く、錐面が皮一枚溶けてその下にトライゴーニックが見えている  色はやや濃いめ。 色は淡いが照はよい。
上3つの石は同じ石。手頃な大きさの割には裏技てんこ盛り♪
まず、「▽」が重複連打。重なり合ってびっしり。先端はアイスクリスタルらしく平らに溶けてます。(写真左)
さらには、内部にグリーンのファントム入り(写真真ん中)。
さらにさらに、右写真の矢印のところに溶けた穴が開いています。それがただの穴じゃない。なんと溶けることで、ファントムの面、すなわちかつての錐面が露出して、そこにも「▽」が出ているというダブルファセット。ファントムに目を付けて買ったのですが、よく見てびっくり!!
 こんなのあり〜!? と騒ぎました。

残念なことに、写真ではどうしてもきれいに写らないので、図にしてみました。(右→)


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